学祭前のトラブル 三
二人は紅天の提案を根から反対する女子たちに対抗し議論した。ああだこうだと言い合う険悪な空気の中、紅天がとても気まずくあたふたとおどついた。
(咲元さんすごくおどついてるな、この状況どうにかする方法…、でもあの子たちが言うように予算も考えなきゃだし)
そんな紅天を見て空颯は考えた。そして、一つの案を出した。
「確かに予算のことは考えないといけないね。いくらかかるかとかも予算も兼ねて計算してくるからまだ期間まで時間あるしそれから決めるでもいいかな?」
否定的だった女子たちもその笑顔と美貌にうっとりとして甲高い声で頷いた。
「けっ、なんだよ。空颯の言うことにはほいほい縦に首振ってさ」
「紅天が他の男子にちやほやされてるのが気に食わなかったんでしょう」
「皆さんの言ってた通り予算とかもありますし、私のは一提案なので気にしてないのですよ!」
「お前、予算計算するとか言ってたけど絶対足りねぇだろ?」
ロングホームルームが終わり放課後、ロッカーを見た紅天。週一の金曜日はロッカーを整理するよう心がけていた。
「あ、本を返さなければいけませんでした…」
うっかりをした紅天は本をロッカーに置いたままにしていて本を借りたはいいが読むことを忘れていた。
…読んでないですが、期限ですし本を返しに行かなければ…。
本を返しにいくことにした。
…借りすぎました。
分厚い本を二回持って歩くか考えたが、構内の建物とはいえ図書館は建物的には繋がっていなかった。いちいちというのはとても遠く無駄足だった。だが、かといって紅天は本を入れる袋は持ってきていなかった。
「五つくらいならなんとか歩いて…」
と、横着をしただった。
フラフラして歩く紅天を見かけたのは耀だった。耀は素通りしようと思った。無視してそのまま行こうと思った。が、あまりにもフラフラ歩く紅天が危なっかしく足を止め、紅天の本を持つことにした。
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