夏休み前に 五

真紘まひろ麗緒れおの仲の良さを見て、紅天くれあはほんわかとした温かい気持ちになった。


「そういえばお二人はどちらの高校に行かれてるのですか?」

「僕と麗緒はネモフィラ学園の生徒だよ〜」


ネ、ネモフィラ学園…?!

あの資産家たちが勢揃いの業界きってのトップクラスエリート高ですよね…。

そうでした、同居させて頂いていて麻痺していましたが彼らは栄西家の家柄の方々でした。


「庶民学生にはこの制服の価値もわからなくて当然か」

「悪かったな。庶民学校出身で」

「選んだのは個人の自由だし、麗緒には関係ないと思うんだけど?」

「こらぁ麗緒〜、羨ましい気持ちはわかるけど八つ当たりはダメだよ〜」

「まあまあ二人たも怒る気持ちもわかるけど琥珀も空颯も麗緒の性格はこうだって分かってるじゃ〜ん」


真紘とジョウは二人を麗緒と琥珀を宥め庇いながら優しすぎる注意をした。


「―帰る」


麗緒はそう言いスタスタと帰ってしまった。


「みんな気分悪くしてごめんね…」


私の言葉のせいでとても空気が重くどんよりとしたオーラです…。


まさか学校名を聞くことが麗緒の機嫌を損ねかんさわるとは思わなかった。


この空気とオーラをなんとかしなければ…。


「か、買い物…続行しましょう!」

「そうだよ〜!ほら、空颯も琥珀も紅天ちゃんの海辺で着る服一緒に選ぶんでしょ?」


二人はとても気まずそうな顔をしていた。


「僕がいたらあれだし出直してくるねっ」


そう言い帰ろうとする真紘を紅天は手を引っ張り止めてしまった。


「あっ…」


真紘もびっくりしたが紅天もびっくりしていた。

自分でも思い切った行動に出たと焦った紅天。だが今帰らせてしまうと一緒に行くと誘い了承してもらった海辺も白紙になりそうな気がしてならなかった。


今行かせたらすれ違いになるような気がします…。


「よろしければ気晴らしに一緒に買い物…行きませんか?」

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