夏休み前に 二

「結局着いてくるんだねぇー」


ジョウは二人をじっと見た。

喧嘩しやり合っていた二人だが、紅天の海で着る服を買いに行くときいて喧嘩をすぐに止めジョウと紅天に着いていったのだった。


「はぁ…。せっかく紅天と二人でデートできると思ったのに」


((阻止成功))


二人は拳でハイタッチならぬハイグッチをした。


「デデ、デートなんてそ、そんな烏滸おこがましい限りでっ…」


デートという単語を自分に使われた瞬間に紅天の顔は真っ赤になり異常におどついた。


「お前デートくらいしたことあんだろ?」

(咲元さんは元の顔がすごく整っていて可愛いし確かに過去に恋愛経験の何個かあってもおかしくない)


琥珀の言葉に確かにと共感した思った空颯。だが、彼女はその言葉に目を逸らした。


「一度も…そういった経験がなく……」


三人はびっくりした。その顔、スペックでどうして付き合ったことがないんだ、と。


学校でも喜織と美紗緒がいなかったら言い寄られたり男子生徒に絡まれたりすると思ったからだった。

女子には人気高いが男子には信頼はされていても女子目線として見られない喜織と男女ともに謎が深いと思われる美紗緒。二人は敵に回すと色々と面倒だ。

そんな二人が紅天を囲むように護っていたから今まで安全だったんだと三人は思った。


三人は思った。あの二人の影響力すごい、と。


(そういえばあいつら確かに俺にも最初近づくなってオーラ出てたしな)


琥珀は納得をしていた。


(男子たちも近寄り難くなるんだ…。二人の前では接し方少し気をつけよう…)


ジョウは少し冷や汗をかいた。


紅天は高嶺の花の美人というよりか近寄りやすい、親しみやすい可愛い子という種類の女子だった。


「で、でも私がその…御付き合いとかしたことないのは当然のことでっ、その私なんかが御付き合いできる器じゃないことも知っていますしっ…」

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