過去と紅天 三

「あら〜、仲がいいねえ。空颯あそうもそう思うんでしょ?」

「………」


千鶴ちづると空颯が起きて居間に行くと琥珀こはく紅天くれあは居間で肩を寄せ合いながら寝ていた。そんな二人を見て空颯は不穏なオーラを出した。


「おい馬鹿、起きろ」

「いってぇな!!ああ?!」

「ん…」


空颯が琥珀を起こすと共に同時に紅天も目覚めてしまった。


「ほらてめぇの起こし方が悪いせいでこいつまで起きちゃっただろ」

「お前がそんな大きい声出すからだろ」

「てめぇが殴ってきたんだろ?もう少しまともな起こし方あんだろ」


起きてからすぐに喧嘩をする二人を見て紅天は朝から体力があることにすごいと関心をしていた。


「さすがお二人です…!」

「いや関心しないで?!二人とももっと違うところに体力使いなさーい」


ズレた感覚を持つ紅天にツッコんだ。

「はぁ…」と苦笑いして呆れた。


「咲元さん、こいつになにもされなかった?」

「はい?なにもされませんでしたよ…?」


いやらしいこと…?琥珀さんが?


あまりにも想像がつかなく、頭の中にははてなマークが沢山浮かんだ。


「おま…俺のことなんだと思ってんだよ」

「野獣」

「はぁ?!てめぇ本気で喧嘩売ってんのか??」

「勝手にそう思ってるのはそっちだろ?」


言い合っていると「ぎゅるるる」と二人同時になった。空腹だったようだ。


「今、朝食お作りしますね!」

「まったく、仲がいいんだか悪いんだか分からないね〜」


「仲良くない!」と「仲良くねぇよ!」が同時に言い重なった。


「おいてめぇ何俺とハモってるんだ?ああ??」

難癖なんくせをつけるのはやめろよ。お・ま・え・が重なってきたんだろ」

ピキピキと怒りを積もらせ二人は不穏なオーラを出した。


大丈夫でしょうか…。


紅天がキッチンで料理をしながら心配しているが、二人のやりとりを見て面白がる千鶴はにこにことご満悦のようだった。

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