過去と紅天 二

寝るのはこれだから嫌いなのです…。


夢でうなされ起きたのは真夜中の二時過ぎだった。

全身が震える中、居間に行きホットミルクを飲むことにした。


ホットミルクを手に取り座るが物理的にテーブルに手が震えて零してしまった。


あっ…。やってしまいましたっ。ナプキン…。


「お前、零して何やってんだよ」

「?!琥珀こはくさん、いつの間にっ…」

「さっきから居たんだけど」

「そうなんですね」


零した牛乳を拭く紅天くれあの手を琥珀は止めた。


「っ…?!ど、どうなされたのですかっ、私にできることあるのならなんでも言って下さいねっ」

「お前、そんなんだからダメなんだよ」


ダメなことは私が一番知っているつもりです…。


「寝れてない顔してる」

「えっ…」

「普段から寝れてない顔してるけど最近はもっと寝付き悪いみたいだな」


紅天はどんなに寝なくても寝付きが悪くても顔つきが変わらなく気づかれないことが大抵だった。昔通っていた精神科の病院の先生にもそれは気づかれなかった。


どうして気づくのですか…。

精神科の先生にも「寝れてるみたいですね」って言われていましたのに…。


琥珀は普通に紅天が普段から寝れてないことに気づいていたのだった。


「だ、大丈夫ですよ!寝ても寝ても眠いのは毎日のことですし」


心配をかけないように笑う紅天に「はぁ…」とため息をつき、琥珀は言った。


「……お前のその笑い方すっげームカつく。新谷しんたに槇原まきはらの前ではそんな笑い方しねーだろ。お前、もっと楽にしろよ、」


紅天の肩に頭をくっつけ顔は見れなかったがその時の琥珀はかなり照れていた。


「手…ありがとうございます」


そっと震える手を握ってくれた琥珀に紅天は微笑んだ。


「お前はその呑気そうな顔の方がしょうに合ってる」

「あと、沢山の優しいお言葉ありがとうございます!!お陰で元気出ました!」

「そうか」


優しく笑う琥珀に「笑ってくれるようになりましたね」とヘラヘラと言い笑う紅天に「…うっせ」と小声で照れた琥珀だった。

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