解りたい 四

「そ。千鶴は俺らの中でも料理一番するんだけど全部を黒焦にする天才だよ」

「兄さんは料理センスの欠片すらないんだ」

「黒焦げにしたり味へんてこなのしか出た経験しかないから、失敗したときのために俺らは代わりのお惣菜を買うの」


五人の皆さんは料理されないんでしょうか…?


「他の方は料理されないんですか?」

「琥珀と俺がたまにするくらい。兄さんとジェンにやらせたら毎度こんな感じ」

「ちょっと…?!僕も千鶴と同じなわけ!」

「え、無自覚だったの?」


張り切って楽しく作っている千鶴を紅天は思い出した。


もしかしたら私、少しは役立てるかもです…!



さっそく紅天は実行をすることにした。


「千鶴さん、良ければ夕食のお手伝いさせてください!」


勢いよく言い「私、役に立ちますんで!」と目で言う紅天にふっと千鶴は吹き笑った。


「それじゃあ俺下手だし一緒に作ってくれる?」

「はい!喜んでお受け致します!」




「今日の夜ご飯は何にされますか?」

「そうだなぁ、俺でも作れそうな料理とかってある?」


今まで何度か紅天くれあは見てきたが全部黒焦げなのしか見てこなく何を作ったのか分からかった。だが、今まで何を作ってたんですか?なんて作ってくれてた人に失礼だと思い訊けなかった。


焼いたりする物は焦がすということは確かです。揚げ物なんてもっと危険です。


「炊き込みご飯、うま煮とお味噌汁とかはいかがですか?」


和食を提案した。

うま煮と味噌汁は焼いたりしないので黒焦げになる確率は低いと紅天は思ったのだ。


「よしじゃあ、今日の晩飯のメニューはそれにしよう」

千鶴ちづるさんは料理お好きですか?」

「好きだけどやっぱり下手だからね。料理のセンスや才能がないんだよね」


ふとした質問に苦笑し答える千鶴。

千鶴に悪いことをしたと紅天は自分の心の中でいた。

それと同時にそんなことないと思った。

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