解りたい 三
「……確かにです…」
「俺らはあいつらとは別校舎だしな」
「そうだね〜。ほらー、僕らって能力生まれつきだしさぁ?コントロールして出さないようにはしてるんだけどお互いもしもバレたら面倒なことになるでしょ?」
あの三人はお互いをそれぞれ見張り合ってるんだよね!とジェンはケラケラとひょうきんに言った。
お互いを見張る…。それはどんな気持ちなんでしょうか。
一緒にいて楽しくない、ただお互いがお互いの能力を出さないで一日を過ごせているか見張る。
それは気持ちのいいものではないことは確かだろうと紅天は思う。
「いつか五人で仲良くなれる日が来るといいですよね!」
「まあ〜…入学当初前からあんな感じだったしなあ…」
「…難しいだろ」
「私も頑張ってみますので!」
あまり気が向かないし無茶だと顔と心情声では言っていた。そもそもなれるわけないと諦めている様子だった。
ここに住む皆さんがテーブルを囲んで座り楽しく喋るのはまだまだ先かもしれませんね…。
「おはようございます」
千鶴さんの家に住み始め数日。休日の朝、五時のこと。この家では家事分担役割が決まっていた。
「紅天ちゃん、休みの日なのに朝早いね」
「おばあさんの家に住んでいたときは朝食作るために早起きしてたのが癖になったみたいなのです」
「家事全部やってたの?」
「はい!なので千鶴さん、できることがあればなんでも言ってくださいねっ」
「うん、ありがとう。でも今日はせっかくの休日だし休んでて」
千鶴は紅天を気遣いそう優しく言った。
千鶴さん張り切って朝食に挑んでますが…。
毎日食パンと得体の知れない黒焦げになったものが出てくる。
もしくはコンビニやスーパーで買ったお惣菜。六人でいたときはどちらかを毎日並べていたらしい。
「これ…毎回千鶴さんこんな感じなんですか?」
思わずジェンと優鶴にコソッと紅天は訊いてしまった。
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