ここからが始まり 七

「あの、お二人とも私を探していたようでしたし私の能力ご存知なのですかっ?」

「うん。千鶴ちづる紅天くれあちゃんを連れてきてって頼まれてね!」

「…俺らの秘密を知っている代わりに自分の秘密を言ったんだって?」

「……はい」


頷く紅天に「あんた馬鹿だね」と黒髪高身長である栄西さかにし 優鶴ゆづるはそう呟いた。


「あんた本当馬鹿。兄さんに何利用されてるのさ!兄さんの恐ろしさを知らないで…」


怯える様子。手が震えるのを自分で抑えていた。オーラでは恐怖それにつき、心情声では「もっと自分を大切にしてくれ」と言っていた。


「優鶴、大丈夫?!ごめんね、優鶴が取り乱しちゃって。放課後、またここで会おう。この前行った千鶴と僕らの家に連れていくよ。千鶴が直接言いたいことがあるんだってさ」


両方の心配をし気配りが上手な栄西 ジョウと怯える彼に紅天は言った。


「大丈夫です、それでは放課後にまたお願いします!」


そう微笑み紅天は去っていった。


「……俺よりあの人……」

「……うん」


去り際に紅天を見て二人は何かを感じ思った。



御手洗と言って少し時間を取りすぎました…。喜織ちゃんと美紗緒ちゃんに申し訳ないことをしました…。


「お二人ともすいませんっ」


二人は片付けれるものを片付け、もう食べるだけとなっていた。そんな中一口も食べず紅天を待っていてくれた。


「あら紅天。大丈夫よ」

「だいぶこもってたけどお腹大丈夫か?」

「はい。すっかり良くなりました」


二人の優しさにしみじみと沁み申し訳ないと思う紅天だった。


「そうそう、それでさ父さんがさ」

「あら。それは喜織、お父さんに一つやられたじゃないの」


ふと思います。

二人の何気ない会話、笑顔、能力のこと受け入れたうえで私の傍にいてくれること。全部本当に奇跡ですっ。


食事をしているときに二人の笑顔をみて思った。

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