ここからが始まり 四
玄関前でのこと。
「ごめんね〜。ホントあいつら態度悪くてさぁ」
「こちらこそ今日は突然お邪魔したうえに空気悪くしてしまいすいませんっ。それからあの場で庇って頂き本当すいませんでした」
ぺこぺこと平謝りをする紅天に言った。
「…本当ごめんね。あいつらも自分に余裕がないんだ…」
紅天は知っていた。彼らのその余裕のない気持ち、そしてそれが超能力者であるということ。その能力を持ち制御しながら社会に馴染むことは困難であり、なんとか精一杯に必死にもがいての思いでここまで来たということ。
私もそうだったので十分に承知しているつもりです。
しゅんとし、とても困った彼に紅天は言った。
「大丈夫です!私にもありましたので彼らの気持ちは少しは理解できていると信じたいです。お気遣いありがとうございます!」
「…君は優しいんだね」
…?
彼の笑顔には哀しみがあった。
そして彼は何処と無く辛そうでその心情声は聞こえてはこなく、読めなかった。
「じゃあまたね」
「はい。また」
歩いていて紅天は考え始めた。
「またね」と言われたがまた会うことはあるのだろうか、と。
ただの言葉の成り行きですかね〜
すぐに考えることをやめた。
やめるのが早すぎるのである。
「…またね、だよ」
紅天が去ったあとボソッと千鶴はそう言った。
学校でもちろん彼ら三人と関わることはなかった。
「紅天って本当なんでもできるよなあ。勉強も運動も料理も」
今は調理実習の時間であり三、四人が一グループとなり決められた食材で調理をしていた。
「本当ね。羨ましいわ」
「お二人とも同じようなものですよ」
「え?!おま、美紗緒…勉強できたのか?」
喜織と美紗緒は紅天の能力、テレパシーのことを知ったうえで今会話をしているのだ。
つまり喜織は紅天が美紗緒が本当は勉強できるとテレパシーで読み取ったと思った。
「あら失礼ね。私はまだ本気を出していないだけよ」
「普段から本気出せよ…」
「補習は面倒くさいけれど追試は簡単でいいわよ」
「…そりゃあ追試だしな。難易度低くしてるしな」
今日も相変わらずボケとツッコミが調子のいい美紗緒ちゃんと喜織ちゃんです。
美紗緒ちゃんのクールボケと喜織ちゃんの的確かつ面白いツッコミは最高なのです。
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