ここからが始まり 三

「まさか…」


空颯は自分の中で一番有り得て欲しくない考えがぽっと頭の中に浮かんだ。


(いや、そんなはず…。でも、それじゃなきゃ説明もつかない…)


「はぁ〜、ごめんごめん」


息を整え彼は言った。


「まだ気づかないわけ?鈍感だね〜。わざわざ紅天ちゃんが証明してくれたっていうのにさぁ。紅天ちゃんはテレパシーを使える超能力者なんだね」


千鶴の煽りに反発しようとした琥珀も手が止まり、自分にとって一番有り得て欲しくないことが当たり顔をしかめる空颯。一番興味無さそうにし眠そうにしていた耀がぱっちりと覚め紅天の方を向いた。


「ああえっと…、だからその!私もこの能力を周りに知られたくないんです。私が皆さんの能力を知っているように皆さんも私の能力を知れば言わないって証明できるかな…と思いまして、」

「君は前々から俺らの能力を知ってたってこと?」


空颯はをして言葉に紅天は「はい…」と頷いた。

空颯はさっきよりも警戒し、とても冷たい眼差しで紅天の顔を見ていた。


彼らと目が合うとかなり心が痛くえぐられそうです…。


そう。超能力者としてテレパシーを使えるということは何でも伝わり聞いてはいけない情報も聞きたくない心情も感じ読んでしまうということ。

そしてそれを感じ読んでしまったとしてもその心の中で何を思おうがその人の自由なのだ。

自由だからこそ何を心情声で言われても感じ読んだとしても反論できないのがテレパシーを使える人として辛く一人で受け入れなきゃいけない苦しさでもあった。ただ人の心を読めて相手の感情が分かれてラッキーというではない。

彼らが思っていることはとても非道く彼女の心に刺さる物だった。

紅天は下を向き下唇を噛んだ。


泣いてはいけません…。彼らは私に知られたことを誰より不安がり心配しているのです。不服になられるのも仕方がないこと…。


そんな紅天の様子を見て千鶴は言った。


「彼女をそんなふうに見ない。君らだって能力のことで苦しいことあるだろう。能力が違えど彼女は君たちと変わらないのだよ」

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