第6話 美穂さんと3年ぶりの再会
次の引っ越し先(明大前のボロアパート)を決めたころ、富雄が
「新宿の三角ビルの焼き肉屋に行こうぜ!珍しい人に会わせてやる」
と私に自慢げに言ってきた。
富雄なりに、上京3週間で引っ越す羽目になった私に気を使ってたのかもしれない。
私は喜んで、人生初の住友三角ビルに行く事にした。
私は当時最も自分でおしゃれと思っていた、ヘンテコなグレーのジャケットと、京王ストア代田橋店の2階の日用品売り場で買ったシャツを着ていざ!新宿に出向いた。
そこで出会ったのは、驚くべき事に、白馬で出会った長澤美穂さん(当時23歳)だった。
美穂さんはさらに美しくなり、ミニスカの丈はさらに短くなりエロさを増し、童貞だった私は心ときめいた。
その日まで、文通やデートを重ねていた富雄との関係を私は深く知らなかったが、何かあるだろうとは思いつつも、多少二人の関係に遠慮しながら焼き肉を食べた。
美味かった。
生まれて初めての高層ビル、静岡にあった焼肉食い放題の店「ミスターバーベキュー(二時間千円)」でも無い、高級焼肉。
そして絶世の年上の美女美穂さん。
私は完全に舞い上がっていた。
22時を過ぎたころ、会計を済まそうとすると富雄はカッコよく伝票をさっと持ち、なんと年上の美穂さんと私の分まで支払いを済ませていた。
19歳で上京したばかりの私にとって、富雄のスマートな行動はカッコ良かった。
3人で1万円は超えてたはず。
富雄は昔から、そういった気遣いをする男だった。
でも決して金持ちではなかった。
週5回、経堂のうなぎ屋でバイトをしていた男だ。
私は掃除屋で週4日バイトをしていた。
同じようなもんだった。
その後、私は家に帰ったが、富雄と美穂さんは、新宿のどこかに飲みに行ったようだ。
二人は既に付き合っていたのだろうか?
今でも知らないし、聞いてもいない。
その帰り道の会話で、私の引越を手伝いに、富雄と美穂さんが来てくれる事になった。
4月22日は代田橋のアパートから追い出され、リヤカーで荷物を運べる近くのアパートへの引越の日。
しかも偶然にも私の20歳の誕生日だった。
手伝いに来てくれた美穂さんは尻がはみ出そうなホットパンツを履いていて、その姿は異常にエロかった。
引っ越し作業は大変で丸一日かかったが、私は美穂さんの尻ばかり見ていた。
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