第3話 高校の同級生 塚田富雄

修学旅行で始まった夏休みはあっというまに終わり二学期が始まった。


富雄は私に

「俺、美穂さんと文通してるんだぜ!」

と私に威張ったが、その時の私はブルマーの似合うテニス部の女子のお尻に夢中で、富雄の美穂さんとの話は真剣に聞いていなかった。


その後も富雄から

「バイクで東京に行って美穂さんに会って来たぜ!」

「美穂さんの大学の文化祭に行って来たぜ!」

など、私に気を使ってたからなのか報告してくれたが、私はブルマー少女のお尻に夢中で、富雄の美穂さんの話は聞き流していた。


富雄とは仲が良かったが、いつもベタベタ一緒にいる仲良しでは無く、休みの日に遊びに行く事も無かった。

ただ、ブラバンでトランペットを担当する富雄の姿はカッコよく、スマートに女子をナンパし17歳にして既に童貞を捨てていた富雄の事を尊敬していた。

富雄に誘われ近所の女子高の体育祭に二人で学ランで出かけ、なぜか主賓のテントに二人で座り見学をし、新体操部の発表会で目の前に突き出されたレオタードのお尻は今でも忘れられない。


私は英語の先生が嫌いで、先生は私に目を付け、授業中些細な事で、数回私を廊下に立たせた。

修学旅行の白馬で川遊びをした時、たまたまその英語の先生の回りに悪友達が集まった時、富雄は私に鋭い表情で目くばせをした。

私はすぐに気付き

「せえ~のお~っ!」

と掛け声をかけると、悪友たちは一斉に英語の先生に水をかけだし、彼をビショビショにして懲らしめた。

富雄は私に、その先生への復習のチャンスを与えてくれたのだ。


喧嘩も数回した。

私がふざけて自転車で富雄の大切な12弦ギターケースをド突いて、真剣に怒鳴られた。

あまりの富雄の怒り様に、私はビビった。

私が模試の結果を富雄に見せなかった事で、しばらく絶交したこともある。

私が見せなかったのは、クラスの成績順位が45人中41位だった現実にショックを受け、受け答えが出来ないほど、動揺していたからだ。

その時、私は目眩がして天井がグルグル回り、富雄に成績結果を見せられなかった。

そして無理やり見ようとした富雄の頭を殴った記憶もある。

その後、富雄は怒り、しばらく私を無視していた。


許してくれたのは1カ月後、体育の授業でサッカーの試合をした時、富雄が

「主水!行くぞ!!!」

とパスを回してくれた時だった。

35年後の同窓会で、成績表を見せなかった理由を富雄に話すと1分くらい笑ってくれた。

彼もまた、その事を気にしていたのだ。


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