第120話:報復準備・クラリス視点

「さて、俺も父親になった事だし、親としての責任を果たさないといけない。

 女房子供を護るのが父親の一番の責任だと思っている。

 今までのような甘い顔をしているわけにはいかない。

 ここは断固とした態度で皆殺しにする。

 そうすれば俺の家族に手をだそうとする馬鹿はいなくなるだろう」


 アレックスが本気で怒っています。

 言葉遣いが荒くなるくらい激烈な怒りです。

 頼もしさと同時に恐怖すら感じる怒りです。

 もうサクラの能力を持ったスライムを奪った事など大したことではない。

 ブロアーと私を護ることしか考えていないようです。


「承りました、アレックス国王陛下。

 具体的にはどのような手段を選ばれますか。

 周辺国も威圧し恐怖を与えるには、私以外の分身を全てキング級にして、周辺国を破壊しながら移動させ、最後に教都を滅ぼす方法がございます」


 サクラがとても恐ろしい事を提案します。

 正直将来の事が気になります。

 ブロアー産んでから、将来の事がとても気になりだしました。

 今まではそれほど気にならなかった、アレックスが死んだ後の事です。

 アレックスの支配がなくなったサクラが、人間に対してどのように振舞うのか、最悪の可能性を思い浮かべてしまうようになったのです。


「それも1つの方法だろうが、それだと一番殺したい教皇と枢機卿団に反撃を悟られて、逃げられてしまう可能性がある。

 誰にも見つからないように教都に潜入して、一気に皆殺しにしたい」


 いけません、このまま暴走させてはいけません。


「ちょっとまって、アレックス。

 事を仕掛けた教皇と枢機卿団を皆殺しにするのはいいけど、教都に住む全住人を皆殺しにしては恨みが深すぎわ。

 ここは狂信者だけを殺す事にしましょう。

 何十万人もの恨みをブロアーに向けられるのは嫌よ。

 殺戮を行う前に教皇と枢機卿団の悪事を暴いて、恨みが彼らに向くようにして」


「ふむ、そうだな、遅発性の呪殺兵器を教団が持っている可能性もある。

 限りなく低い可能性だが、ないとは言えないな。

 信徒全員が狂信者ならその時改めて皆殺しにすればいい事だしな。

 サクラ、周辺国にも教団にも悟られずに教都に潜入する方法はあるか」


 よかった、思いとどまってくれたようです。

 ブロアーが生まれて張り切ってくれているのでしょうが、少々過激すぎます。


「アレックス国王陛下が思い描いておられる方法が一番でしょう。

 ビック級のスライムを誰にも気付かれない未開ルートで送り込みます。

 合体統合すればキング級七体が誕生するくらいのビック級を送るのです」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る