第94話:戦闘経験値・クラリス王太女視点
凄まじい戦闘で、正直怖くて逃げ出したくなりました。
サクラに包まれ護られているとはいえ、ファイターキングオークの迫力は凄まじく、サクラ達から支援を受けたファイターキングゴブリンが防戦一方でした。
伝説で恐怖の大王のように語られているあのファイターキングゴブリンがです。
つまりファイターキングオークは伝説以上の存在だという事です。
私が恐怖して逃げ出したくなるのも仕方がない事だと思うのです。
「サクラ、ファイターキングゴブリンは強くなり過ぎていないか。
ファイターキングオークは生かしておいても大丈夫か」
アレックス様が、とても重要な事をサクラに聞かれています。
サクラに御しきれないようなモンスターを生かしておくのはとても危険です。
ファイターキングゴブリンは少々強くなっても、サクラより格下のロードスライムでも管理運用できると思われます。
ですが、ファイターキングオークは危険過ぎるかもしれません。
上手く手先に使えれば、ファイターキングゴブリンと同じく最高の威圧になるでしょうが、自国を滅ぼす危険もあります。
「ご安心くださいアレックス様、今体内で急速にファイターキングオークとプリーストロードオークのスキルを覚えております。
体内で少々暴れさせることで、戦闘経験値も得ております。
このまま数日過ごせば、余裕でファイターキングオークを御すことができる強さに成長する事をお約束いたします」
「それは素晴らしいな、サクラ。
だがくれぐれもファイターキングオークの扱いには気をつけてくれ。
少しでも危険だと思ったら、利益を捨ててでも殺してしまえ。
もう少しサクラが強くなってから、ファイターヒュージオークをファイターキングオークに進化させればすむことだからな」
「承りました、アレックス様。
少しでも危険だと感じたら、ファイターキングオークを殺しますので、ご安心してください」
アレックス様とサクラの話を聞いて、ようやく安心することができました。
アレックス様はとても慎重で賢い方ですね。
単にファイターキングオークを殺してしまうだけではなく、サクラが進化したら次のファイターキングオークを育てる事まで見越しておられます。
私ならそこまで考えつかなかったかもしれません。
それにしても、サクラがファイターキングオークから得られるという経験値は、いったいどれほどのものになっているのでしょうか。
ロードスライムがファイターキングゴブリンとの戦闘で得られる経験値は、サクラを数日でキングスライムに進化させるほどのモノでした。
もしかしたらサクラは数日で次の段階に進化するかもしれませんね。
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