第90話:志願者

「どうか御願いします、私達をスライム・ゴブリン従魔クランに入れてください」


 目の前で4人の若者が最敬礼してくれている。

 この国で不遇な立場にいたスライム従魔士だという4人だ。

 一番安全な街道の始まり、国境から街道を使って俺を追いかけてきたのを、最初の砦町を警備していたヒュージスライムが見つけて報告してくれた。


 普通なら先を急ぐ俺達に追いつく事など不可能なのだが、サクラが身体の一部を細く長く伸ばして4人を確保し、身体を縮めて連れてくるという離れ業をやったので、非常識な速さで連れてくることができた。

 その分4人の若者が必要以上に俺達を畏怖してしまっている。

 まあ、他国に置くスライム従魔士なら、これくらい畏怖してくれていた方がいいかもしれないから、このままでいてもらおう。


「俺個人としては、君達をスライム・ゴブリン従魔クランに入れるのは構わないが、この国の上層部に睨まれるかもしれないが、その覚悟はあるのかね」


「「「「あります」」」」


 4人同時に大きな声で返事してきた。


「もう今までのような生活は嫌なんです」

「このままでは家族に迷惑をかけ続けてしまいます」

「今のような生活をしていては、好きな子ができても告白もできません」

「いい想いをしたいとは言いませんが、いつもひもじい思いをするのは嫌です」


 この国のスライム従魔士は、スーニー王国よりも辛い立場なのかもしれない。

 何とかしてやりたいが、クランに加えたらこの国の上層部に難癖をつけられて、逮捕処分されてしまうかもしれない。

 それに、この若者達がこの国の上層部が送り込んだスパイの可能性もある。

 いや、国の上層部だけではなく、商人がスパイを送り込んでくる可能性もあるな。


「君達には、国や貴族や商人が送り込んだスパイの可能性がある。

 だから無条件に迎え入れるわけにはいかないから、いくつか条件を付ける。

 それでもクランに入りたいのか」


「「「「はい、入りたいです」」」」


「では、まず国にも故郷にも二度と戻れない覚悟をしてくれ。

 生活は保障するから、連れてきたい家族や恋人と一緒に来てくれ。

 全員一日三食と住む家、年三度の衣服支給を保証する。

 仕事は街道にある砦町の維持管理と街道警備だ。

 君達が使いこなせる最高のスライムを貸し与える。

 だが逃げたり裏切ったりしたら、君達はもちろん家族も殺す。

 それでもいいのなら、一度帰ってから戻って来てくれればいい。

 この街道の最初の砦町に、君達のためにヒュージスライムを駐屯させておく」


 4人とも困惑しているようだが、どんな決断をするのだろうな。


「スライム・ゴブリン従魔クラン・スライム班」

従魔師:1名・アレックス・リークン

従魔司:1名・アルペーシュ(137頭)

従魔士:207名


「主なスライム」

レベル2キングスライム :1頭(常にアレックスと共にいる・教都遠征用)

レベル3ロードスライム :1頭(大魔境の大ダンジョンに居座る)

レベル3ロードスライム :1頭(王都防衛用)

レベル2ロードスライム :1頭(王都と大魔境の間で輸送任務)

レベル2ロードスライム :1頭(サクラと大魔境の間で輸送任務)

レベル2ヒュージスライム:1頭(父親と弟の幽閉役)

レベル2ヒュージスライム:1頭(大魔境で狩りをして公爵家の資金稼ぎ)

レベル2ヒュージスライム:1頭(大魔境で狩りをして公爵家の資金稼ぎ)

レベル1ヒュージスライム:13頭(クラリス・アレックス街道砦町築城)

「個体から成長した特別なスライム」

ヒュージスライム:19頭

ヒュージスライム:1頭(アルペーシュに貸し出し中)

ビッグスライム :87頭

ビッグスライム :4頭(アルペーシュに貸し出し中)

「各種特殊スライム」

アシッドスライム :432頭

マジックスライム :374頭

ポイズンスライム :4948頭

ポーションスライム:1925頭

ウッドスライム  :2456頭

ロックスライム  :2107頭

ブロンズスライム :42頭

アイアンスライム :107頭

シルバースライム :9頭

ゴールドスライム :7頭

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