第86話:意見具申・クラリス王太女視点
「差し出がましいようですが、意見具申させていただきます」
私達の話し合いにサクラが加わってきました。
アレックス様から尋ねられてもいないのに、サクラから話しかけるのはとても珍しい事ですから、サクラもとても重大だと判断したのでしょう。
サクラには何か名案があるのかもしれません。
「アレックス様、今より多めのスライムを分裂して、それこそクラリス王太女殿下を運んだロードスライムのうち、1万頭のスライムを100万頭のベビースライムに分裂して、彼らをスライムのまで成長させればいいと思います」
ええっと、サクラの言っている事が可能だとしたら、100万頭がサクラと合体統合したら、サクラはいったいどのような状況になるのでしょうか。
アレックス様から教えていただいた今までの常識から考えれば、レベル10のキングスライムになるか、キングスライムの上位種に進化するかになります。
キングスライムの上位種なんて、想像もできません。
「サクラの意見を採用するとしたら、恐ろしいほどの食糧が必要になる。
とてもではないがそんな事は実現不可能だぞ、この国の生き物を全て食べる気か。
いや、岩や砂、木々や草花でもベビースライムをスライムに成長させられるな」
アレックス様とサクラは何を話しているのでしょうか。
サクラの意見具申を受けて、アレックス様は何か気がつかれたようです。
ですがそれが何なのか全く思いつきません。
私はまだまだアレックス様の妻に相応しい能力を持っていません。
サクラとフェリシティに学ばなければいけない事がまだまだたくさんあります。
「はい、アレックス様が思い浮かべておられる通りです。
100万頭のベビースライムは、岩や土、木々や草花を食べるだけでスライムに成長することができるのです。
生物を食べるほど早く成長する事はできませんが、荒地を真直ぐ深く食べ進めれば、いずれは大地の力をふんだんに含んだ所まで行くことができます。
大魔境から運ばれる食糧はそのまま利用してベビースライムをスライムに成長させれば、岩や砂を食べて成長させているベビースライムとは別に、今までと同じ早さでスライムを増やすことも可能です。
それに今の私には、ロックスライムとサンドスライム、ウッドスライムとグラススライムの能力を身に着けています。
私から分離したスライムは全員同じ能力スキルを引き継いでいます。
彼らに守備を任せれば、ベビースライム達が殺される不安もありません」
「確かにその通りだな、本体のサクラに大雑把に道をつくってもらい、仕上げをベビースライムに食べさせながらやる事は可能だな。
だが即断する事はできないから、今しばらく待ってくれ」
アレックス様が即断できないくらい難しい事なのですね。
私ならこの状況でどう決断したでしょうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます