第77話:街道づくり・クラリス王太女視点
「サクラ、聞いていますかサクラ」
「はい聞いております、クラリス王太女殿下」
「私はアレックス様のお役に立ちたいのです。
今回の街道づくりでも、何かお役に立ちたいと思っています。
ですが今のところ全く何もお役に立てていません。
サクラはアレックス様のお役に立てることを思いつきませんか。
手柄を奪うようで悪いのですが、思いつくのなら、それを私に譲ってくれませんか、お願いしますサクラ」
「大丈夫でございますよ、クラリス王太女殿下。
私が献策しても受け入れてもらえないですが、クラリス王太女殿下が口にされたらアレックス様が認められる案がございます。
それを提案されれば、クラリス王太女殿下の望みはかないます」
「まあ、それはよかったわ、どうかその案を教えてくださいサクラ」
「街道に旅人が休める宿や休憩所を一定距離ごとに設けるのです。
ですが設備の整った宿や休憩所を無人にしておくと、盗賊などの悪人が拠点にしてしまい、旅人が襲われてしまう可能性があります。
宿と休憩所を管理運営し、街道を巡回するビッグスライムを駐屯させるのです」
「まあ、それはとてもいい案だと思いますが、他国にビッグスライムを駐屯させるのは国際問題になるのではありませんか」
「はい、国や貴族として兵力を置くといえば、国際問題になります。
ですが、道をつくった権利者として、宿や休憩所を設けて道づくりの費用を回収する事は、普通の事だと思います。
まして宿と休憩所で得た利益からちゃんと税を納めるのなら、王家や国も面目が潰れる事を最小限に抑えることができると思います。
ただ他国との交渉は一筋縄ではいきませんから、クラリス王太女殿下の力量が問われることになります」
「アレックス様の名声を高めるためなら、困難に怯む私ではありませんが、自分の能力を過信して失敗するわけにはいきません。
手を貸してもらえますか、サクラ」
「お任せください、クラリス王太女殿下。
ここまでくる間に急いで成長させたスライムが数多くいます。
道づくりの間に得た獲物が予想以上に多かったので、余裕を持ってレベル1のロードスライムを合体統合させることができます。
クラリス王太女殿下がロードスライムに包まれて交渉されれば、この国の国王も重臣も唯々諾々と認める事でしょう。
何よりアレックス様だけでなく、クラリス王太女殿下もロードスライムを従魔にできると勘違いする事でしょう」
「いいのですか、サクラ、主人でもない私のためにそこまでして」
「大丈夫でございますとも、クラリス王太女殿下。
クラリス王太女殿下は主人であるアレックス様の大切な妻ではありませんか。
アレックス様と全く同じとはいきませんが、できる限りの協力をさせていただきます、どうかご安心ください」
「ありがとうサクラ、これでアレックス様の役にたてます」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます