第49話:スライム従魔司
俺は手渡された魔皮紙を見て驚いた。
天職がスライム従魔司になっていたからだ。
彼にも同じ文字が見えているはずだが、それとも違うのだろうか。
「アルペーシュ、私には君の天職がスライム従魔司と読めるのだが、君にはなんと読めているのだ」
俺はキングスライムが創り出してくれている机の上に指で字を書いてみた。
口で発音するだけでは士と司と師に違いがないからだ。
「はい、私にもスライム従魔司と読めています」
アルペーシュは本当に賢い、俺の意図を察して同じように指で字を書いてくれる。
だとしたら、何故アルペーシュは疑問に感じないのだろう。
「士と司では明らかに違うと思うのだが、その差を教会では何と言われたのだ」
そう言いながらも、俺も自分の時の事を思い出した。
従魔の対象がスライムである以上、士も司も師も同じなのだろう。
「はい、教会の長年の経験では、士よりも司の方が上位職だとは教えてくれましたが、多くの匹数を従えられても、所詮はスライムでしかないから、従魔司として生きるのは早く諦めるようにと教えられました。
試しに多くのスライムを従魔にしてみましたが、大して役には立ちませんでした。
十数匹集めた時点で、他の魔獣に見つかってしまい、命からがら逃げました。
その時にほとんどのスライムが殺されてしまいました。
次は慎重に集めたスライムを成長させようとしましたが、成長させる前に強い魔獣に見つかってしまい、同じ事でした。
2度は生き延びることができましたが、3度目には殺されるかもしれないと、スライム従魔司として生きる事はすっぱりと諦めました」
アルペーシュの判断は正しかったと思う。
弱いスライムしか従魔にいない状態では、強い魔獣に襲われたら殺される確率の方が高い、2度助かったのは幸運以外の何物でもない。
それにしても、教会の神官に諦めるように言われたにも関わらず、自分で確かめようとした態度は素晴らしい。
これは最高の人材をクランに迎えられたのかもしれない。
「では最初にビックスライムを従魔にできるか確かめてみよう。
ビックスライムにも2種類いるから、その両方を試してもらう。
その後で、スライムなら最高何頭まで従魔にできるのかを確かめる」
俺は最初に、100頭のスライムが合体統合したビックスライムをアルペーシュが従魔にできるか確認したが、できなかった。
だが、1匹のスライムからビッグにまで進化したスライムなら、従魔契約を結ぶことができていた。
一旦アルペーシュにビッグスライムとの従魔契約を解除させて、次にスライム何頭まで従魔契約ができるか確かめてみた。
アルペーシュは137頭のスライムと契約が可能だった。
もしかしたらスライム従魔司は100頭以上のスライムとの契約が可能なのかもしれない。
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