第48話:スライム従魔士クラン設立
俺は冒険者ギルドから得た情報をもとに、集められるだけのスライム従魔士を集めて、クランに参加するように勧誘した。
俺が出せる条件は、彼らが従魔にできる高スキルスライムの貸与だ。
だが相手にも厳しい条件を求めることになる。
なんといってもキングスライムが得ている全ての能力が使えるスライムだから、勝手に合体統合させて能力を盗まれては一大事だ。
クラリス王太女殿下とティン国王陛下とも相談して、裏切ったら絶命するような強力な契約魔術を交わすことが、クランメンバーになるための条件になる。
「次の方どうぞ」
「はい、スライム従魔士のアルペーシュ入ります」
次に入って来たのは、十人並の顔をした中肉中背の男だった。
髪色もこの世界によくある金髪で、瞳の色も碧眼だ。
オドオドとした態度ではないが、とても自信に満ちているとは言い難い。
天職がスライム従魔士と分かってからは、ずっと不利な仕事をしてきたのだから、態度に自信が感じられなくて当然なのだ。
どれほど努力しても、仕事に合った天職スキルを持っている者の成長速度にかなわないから、常に劣った成果しか上げられない。
だからと言って自分の天職であるスライム従魔士を仕事にしても、満足に食べていくことができないのだ。
「ではアルペーシュ、最初に確認しておくが、私のスライムを貸し出す代わりに、スライムを勝手に合体統合させたり分離させたら死ぬ契約を結ぶ覚悟があるのだな」
俺はいつも通り最初に一番大切な確認をした。
「はい、合体統合の意味は分かりませんが、分離の意味は想像できます。
大切なスライムを貸してくださって、仕事まで斡旋してくださるクランマスターに逆らう気は全くありません。
ただできれば、契約を交わす前に従魔にできるスライムを確認させてください。
私の能力では優秀なスライムと契約できないかもしれません。
食べていけないスライムを従魔にする代償に、死の危険のある契約は結べません」
思っていた以上に優秀な男のようだ。
この世界に1番多い容姿だから目立たないだけで、キングスライムの中に入ってもビクビクしていないし、1番大切な事を見抜いて確認するだけの知能もある。
これまで面接してきた中で1番優秀なスライム従魔士かもしれない。
「よく言った、その慧眼と慎重さはとても大切なモノだ。
契約書を交わす前に、どれくらいのスライムを従魔にできるか確認しよう。
だがその前に、アルペーシュの天職とスキルを確認させてくれ。
それと、今はスライムを従魔にしていないのか」
「お褒め頂き光栄の極みでございます。
これが教会から発行された天職とスキルの魔皮紙です。
それと、私は今スライムを従魔にしていません。
大して餌が必要なわけではありませんが、今働かせていただいている商店では、スライムを連れて行くことが許されませんでした」
今アルペーシュが働いているのは食品を扱う商店だから、スライムに商品を盗み食いされないための対応だろうが、従魔が主人の命令を聞かずに盗み食いをする事などないのに、偏見が強いのだと思いながら、天職スキル魔皮紙を確認した。
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