第35話:圧勝・クラリス王太女視点
アレックス様の指示通り、敗走してしまった領主連合軍を、私の私兵団を使って暴徒化するのを防ぎました。
恐慌状態に陥った領主連合軍が、王家直轄領や貴族領の民を襲ってしまったら、多大な賠償問題が発生するだけではすまないのです。
内戦を勃発させる引き金になるかもしれないのです。
「怯えることはありません、ゴブリン達は私の婚約者、アレックス様が壊滅させてくれています。
だから安心してついて来ればいいのです。
普段戦いの鍛錬をしていない、強制徴募兵はここに残りなさい。
私についてくるのは、貴族家の子弟と陪臣騎士と陪臣徒士だけです。
貴族や騎士や徒士なら、臆病風に吹かれて敵前逃亡はしないでしょう」
王国の2個騎士団に加えて、傭兵団と冒険者に護られている私は、威風堂々とした態度で敗残の領主連合軍を前にしています。
私の強い視線を受けきれずに目を背けるのは、強制徴募兵より先にゴブリン達から逃げ出した憶病者でしょう。
まあ、私だって、ゴブリンに慰み者にされるかもしれないと思ったら、味方を見捨てて逃げ出してしまうかもしれません。
「第2騎士団はここに残って強制徴募兵を見張っていなさい。
誇り高い地位にある貴族連合軍の幹部は、私を道案内して露払いしなさい。
逃げ出そうとする者は、敵前逃亡の罪で射殺します。
第1騎士団は卑怯者を見逃さないようにしなさい。
そんなに怯えることはありません、もう大丈夫です。
すでにアレックス様から、ファイターキングゴブリンを捕らえたという連絡を受けています、安心しなさい」
私が何を言っても、一度死の恐怖に囚われたモノを奮い立たせるのは至難の業でしたが、それでもやらなければいけません。
この連中に、アレックス様の雄姿と強さを見せつけ、王国中に広めさせるのです。
特にリークン公爵家とその派閥に加わっている貴族には、思い知らさなければいけないのです。
アレックス様がリークン公爵家を継ぐためには、彼らの心を、当主のカイトと後継者候補のジェームスから引きはがさなければいけないのです。
ジェームスがこの戦いで死んでくれていればよかったのですが、味方の友崩れを誘発するくらい、誰よりも早く逃げ出したので生き残っています。
今回の露払いの際に殺してしまいましょうか。
でもここで犠牲者を出してしまったら、アレックス様の名声に傷がついてしまうのでしょうか、正直迷いますね。
(フェリシティ、ジェームスを殺してしまってはいけませんか)
(クラリス王太女殿下、そのような卑怯な事をしなくても、アレックス様のリークン公爵家継承は揺るぎません。
カイトとジェームスが抵抗しても、アレックス様のロードスライムが簡単に滅ぼしてくれますから、なんの心配もございません)
小声でフェリシティに相談すると、即答してくれました。
確かにその通りですね、迷う事などありませんでした。
抵抗すれば攻め取ってしまえばいいのです。
その方がアレックス様の名声も高まります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます