第27話:合流スライム城

 端的に話そう、トーマス達と合流することができた。

 幼い頃から仕えてくれていた側近達とその家族が大魔境に来てくれた。

 愚かな父、リークン公爵は俺の側近を始末しようと最前線に送り込んだが、トーマス達はジーナ伯爵領に侵攻したゴブリンを全滅させる大手柄を立てた。

 スーニー王家はそれを評して王国騎士に取立てたのだ。 

 リークン公爵に家族や一族を人質を残す事は許さないと厳命して。


「よく来てくれたね、トーマス。

 トーマスがロードの中に入れるのは前回の件で分かっているけど、他の側近達や家族や一族はロードの中で暮らすことができるかな?」


「ロードは移動するわけではないのでしょ?

 だったらロードがスライムだと打ち明けなければよいのです。

 しばらく暮らしてからなら、正体が分かっても気にならないでしょう。

 これほど快適な家は、この国のどこを探してもありませんから」


 まあトーマスの言う通りだよな、こんな快適な家は前世以来だ。

 公爵家の長男として、この世界の最新設備を贅沢に使用した城に住んでいたけど、水洗便所に自動お湯張り浴槽、魔術発火調理器なんてなかったからな。

 火魔術と魔石を組み合わせた魔導調理器はあったけど、ロードが覚えた魔術を駆使して体内に創り出してくれた設備にははるかに劣る。


 12人の側近と家族、それに人質にされては切り捨てる事のできない一族、全員で600人と少しの大人数だ。

 普通の開拓村で100人程度の規模だから、そこそこの都市に匹敵する。

 人口が1万人を超えるような都市は、国を代表するような大都市で、普通の国なら20都市前後しかないだろう。

 スーニー王国で言えば、人口が1000人を超える都市は200都市もないのだ。


「では全員にロードの中に入ってもらってくれ。

 中央の広場を中心に、7階建ての家が数多くある。

 1家族に食堂1部屋に風呂が1つ、狭いが1人1部屋が与えられる。

 最初にトーマスを含めた12人に家の使い方を説明する。

 その後で一族の家長には12人の側近から説明してくれ。

 分からない時には遠慮せず私に聞いてくれ」


「承りました、でも大丈夫でございます、何かあれば私が説明します」


 トーマスには再会した時にスライム城の中を色々と説明したから。

 ロードがいかに素晴らしい存在なのか伝えたくて、くどい説明になってしまった。

 いや、あれは完全な自慢だったな。

 あの時の俺は前世の猫可愛がりの迷惑飼い主になっていた。

 まあ、ロードが素敵で可愛い存在なのは間違いないのだから、それも仕方がない。


 もう直ぐレベル3になるロードは、推定体重が1500トン近い。

 普通の状態でもそれに見合うだけの体積がある。

 それを内部に人間が住むための空間を設けたら、とんでもない大空間を創り出せるから、600人どころか3000人くらいなら余裕で収容できる。

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