第19話:調査・クラリス王太女視点
私は王国の正規家臣と私的な配下を使って、リークン公爵家を調べさせた。
こんな事もができるのも、アレックス様のお陰です。
アレックス様が父のティン国王に、私が私兵を持つべきだと言ってくれたのです。
王国史上初めて女王となる私には敵が多いし、利用しようとする者も現れる。
今父に忠誠を誓っている者ですら、利用しようとすると言ってくれたのです。
王家王国ではなく、私個人に忠誠を誓う者を今から育てた方がいいと、父のティン国王に献策してくれたのです。
「アレックス様に仕えていた者と連絡がつきました。
天職の確認でスライム従魔士という結果が出たアレックス様は、リークン公爵家の恥として内々で処刑されるはずでございました。
ですが側近の方々が一致団結して反対されたので、大魔境への追放に止められたのだそうでございます」
「それでは助命になっていないではありませんか!」
「それが、アレックス様直々に側近衆にそうするように命じられたそうです。
そうでなければリークン公爵が暗殺を強行するだろうからと。
それに、大魔境に追放になった方が強くなって戻って来れるからと、アレックス様は申されたそうでございます。
ただ卑怯なリークン公爵は、ジェームス殿の側近を遣わしてアレックス様を殺そうとしたのだと、アレックス様の側近の方々は憤っていました。
アレックス様を殺そうとしたジェームス殿の側近ですが、行方不明になっている者が四人いるとの事でございます。
ノア、ジャック、チャール、レオという剣士や槍士なのですが、未だにリークン公爵家に戻らず、リークン公爵も密かに探しているようでございます」
最弱で役立たずの天職と言われるスライム従魔士なのに、強くなって戻るという言葉は、アレックス様の言葉にしては少々おかしいですね。
幼い頃からずっと交流を続けていたアレックス様でなければ、私でもスライム従魔士が天職と分かった人を王配に迎えようと思わなかったでしょう。
それほどスライム従魔士という天職は大外れなのです。
本当にアレックス様の天職はスライム従魔士なのでしょうか。
まずそこから調べるべきでしょう。
それとノア、ジャック、チャール、レオという四人ですが、アレックス様が返り討ちにされたと思いたいですが、それは幾らなんでも願望が過ぎますね。
本当にアレックス様の天職がスライム従魔士ならば、四人の戦士職に勝てるはずがないのです。
しかも従魔のスライムすらいなければ、スライムを盾にして逃げる時間を稼ぐことすらできません。
でも、あの慎重なアレックス様が、限られた時間しかなかったとはいえ、従魔のスライムを用意していなかったのでしょうか。
「リークン公爵領の教会支部に圧力をかけなさい。
本人にしか教えてはいけない天職と能力を、リークン公爵に教えてアレックス様殺害に加担した罪で、教会関係者を全員逮捕して王都に連れてきなさい。
それと側近の者達に、アレックス様がペットとしてスライムを飼っていなかったか聞いてきなさい」
「承りました」
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