第15話:無双
俺はロードスライムの身体の中に入ってゴブリン達に向かった。
索敵線を構築していたC級斥候が見つけてくれたゴブリンだ。
忍者が見つけた国規模のゴブリンの大集落が、全員で人間の国に襲撃をかけてきたのか、それとも養いきれない人数だけ巣別れしたのか、全く分かっていない。
C級の斥候程度では、1000匹を超えるゴブリンの群れを正確に偵察するのは、あまりに危険過ぎるから確度の低い情報になってもしかたがない。
「いい食事と経験値稼ぎにはなるけれど、無理をするんじゃないぞ」
俺はこれからの事を考えてロードスライムに話しかけた。
しばらくは人間の社会には戻らない気になったのと、ロードスライムに言葉が覚えられるのか、会話ができるようになるかの実験だ。
人間社会に戻らないというのは、適度にゴブリンの集落を襲う気になったからだ。
今回のゴブリンの移動が一定数の巣別れなら、全滅させてもゴブリンキングに気付かれない可能性がある。
定期的に狩ってロードスライム進化の経験値稼ぎにさせてもらう。
「ゴブリンとホブゴブリンは、武装解除してスライムの経験値稼ぎに使ってくれ。
ビックゴブリンでもスライムが勝てそうな奴は、両手を潰して使ってくれ」
この世界の攻撃は、攻撃を受ける側の防御値を攻撃する側の攻撃値が超えた分だけが、ダメージとして体力を奪う仕組みになっている。
防御値が100の敵に100の攻撃を与えても、何のダメージも与えらない。
技では乗り越えられないスキル差能力差というモノが存在する
だからいくら剣術スキルを得て剣で武装させても、基本の能力に圧倒的な差があると、攻撃が全く通用しない。
レベル10のスライムの場合は、剣で武装していないとレベル1のビックゴブリンには全く攻撃が通用しない。
だが逆にいえば、レベル50のスライムには、レベル1のビックゴブリンの攻撃は全く効果がない事になる。
ロードスライムが一度強さを確認したビックゴブリンなら、安心してスライムと戦わせることができる。
特に剣術と槍術のスキルを得ているスライムなら、確実に勝てる。
「それぞれに合った敵を斃させていくとまるで無双状態だな。
高レベルスライムを厳選しておいたから、ビックゴブリンが相手でも安心して見ていられるが、これではロードの方の進化が遅くなるな、悪い」
俺は素直にロードスライムに謝った。
高レベルスライムはどんどんレベルがっているのに、ロードの方は斃せるゴブリンが高レベルビックゴブリンかヒュージゴブリンだけになってしまっている。
手当たり次第に出会ったスライムと合体統合させているから、徐々に能力が高くなっているが、増えた分だけ高レベルスライムを分離しているから直ぐに下がる。
斃したゴブリンもベビースライムやリトルスライムに食べさせているから、ロードには何の役得もない。
だがそのお陰で、ずっと気になっていた事がまた1つ分かった。
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