第16話:成長と進化
「ありがとうロード、お陰で食事だけでベビースライムがリトルスライムになる事も、リトルスライムがスライムになる事も分かったよ。
後はスライムが食事だけでビックスライムに進化するかだけど、これは無理そうだから早々に諦めて、スライムを分裂させる。
レベル2のスライムを分離してくれ、ロード」
スライムが増える場合は出産ではなく分裂という手法が使われる事は、古来からの常識として広く知られていた。
俺から言わせれば、分裂と分離の2つがある。
同時にその分裂にも2つの方法がある事も、長年の経験で知られている。
1つがレベル2のスライムがレベル1のスライム2匹に分裂するケースだ。
この場合覚えたスキルは分裂した2匹のスライム共に覚えている。
もう1つの方法が、レベル1のスライム1匹とレベル1のベビースライム100匹に分裂する方法だ。
この場合は、分裂前に覚えていたスキルをそのまま覚えているのはレベル1のスライムだけで、100匹のベビースライムは覚えていない。
どちらの分裂で数を増やすのかは、スライムが置かれている状況による。
あまりに強大な敵に襲われている場合は、数多く分裂して1匹だけでも逃げきろうとするし、安定した環境で分離するならスキルを覚えさせた状態で分裂する。
「ロード、1000匹くらいベビースライムを分裂させて、ゴブリンを食糧にスライムまで成長させてくれ。
それだけで新しいヒュージスライムを生み出すことができる。
スライムになった子をロードに合体統合させたら、ロードのスキルを覚えてくれるし、これができれば無限に成長できるだろう」
ロードからうれしそうな感情が伝わって来た。
ロードも仲間を増やしたいと思っているようだし、新しいベビースライムやリトルスライムを仲間にするにも数が確保できない。
以前に仲間にしたベビースライムとリトルスライムは、普通の子達は全部スライムに成長してしまっているし、していない子は特定のモノしか食べさせないようにしている実験中の子達ばかりだ。
俺はキングゴブリンに気付かれないように、巣別れしたゴブリンの群ればかりを襲って経験値稼ぎと食料確保を行った。
5つのゴブリンの群れを全滅させて確信した、今回のゴブリンの移動はキングゴブリンの計画的な巣別れだと。
群れの数は1000匹を少し超える程度で、群れの長はプリーストヒュージゴブリンと決まっていて、2匹のシャーマンビックゴブリン、2匹のプリーストビックゴブリン、6匹のファイタービックゴブリンが補佐にいる。
しかも6匹のファイタービックゴブリンには、剣術スキル、槍術スキル、弓術スキル、投擲スキルを持った者が必ず1匹は含まれている。
どう考えても他の種族と生存競争に勝たせるための計画的な役割分担だ。
「キングゴブリンは相当な知恵者だ、気をつけて対応しないと負けて殺されることになるぞ、ロード」
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