第2話 奇妙な天才のその後と物語の序章
陸軍大学校首席卒業者、嵯峨惟基少佐。
彼には追って『陸軍中尉』への降格処分と、『東和共和国、甲武国大使館勤務二等武官』への配属変更の通知が出された。
三か月後、『甲武国』は『ゲルパルト帝国』と『遼帝国』との『祖国同盟』を理由に、『遼州星系同盟』と地球軍の連合軍との泥沼の戦争に突入した。
その『物量』が勝負のすべてを分けた戦いは、後に『第二次遼州大戦』と呼ばれた。
開戦の三日後、妊娠中の妻を伴って、嵯峨は任地の東和共和国に赴いた。『甲武国』の駐留武官として『東和共和国』の首都『東都』の大使館に勤務する生活が始まった。
『中立不干渉』を国是とする『東和共和国』に赴任した嵯峨は平穏な暮らしを送っていたとされる。
しかし、開戦の四か月後、彼は勤務先の大使館に入ったまま、突如消息不明となった。
嵯峨が『甲武国』に帰還したのは、『祖国同盟』の崩壊から3年後だった。
『テロ』事件で死亡した、妻の墓の前で呆然と立ち尽くす嵯峨を知人が目撃したと言う。その時から彼の『嵯峨惟基』としての人生は再開した。
嵯峨惟基はその3年後、9歳の娘を連れて、『甲武国』を出国し、かつての軍人生活を始めた因縁の地、『東和共和国』暮らし始めた。
時は流れた。その17年後、平和な時代が遼州星系を包み始めた時代から物語は始まる。
『遼州星系』はどこまでも『アナログ』な世界だった。
遼州星系を訪れた『地球圏』の人々は遼州星系の印象をそう言った。
そして中でも『東和共和国』は、まるで20世紀末期の日本を思わせる世界だったと訪れた地球人達はその奇妙な光景に首をひねるばかりだった。
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