完全に『パイロット失格』の新人登場

第3話 運命を決める『配属辞令』

 神前誠しんぜんまこと少尉候補生は目の前の配属辞令を手にして、一人ブツブツつぶやいていた。


 周りに人がいないのを確認するとそれを読み上げる。


「遼州同盟会議・遼州同盟司法局 実働部隊 機動部隊、第一小隊に配属する……ってなんだよ、遼州同盟司法局って?」


 誠は『司法』と聞いて『司法試験』を思い出す。


 『司法試験』と言えば『弁護士』を思い出す。


 『弁護士』と言えば『サスペンスドラマ』で犯人を追い詰める人だと思った。


 誠は大卒のわりに社会常識の欠如した偏差値教育の生み出した『理系脳』の持ち主だった。


「公務員で『司法』関係者と言えば『警察』か『裁判所』じゃん。どっちもパイロットはいらないと思うんだけどな……」


 そう言って誠は周りを見る。


 朝の出勤時間と言うこともあり、通り過ぎる人も少なくはない。それでも誠を気にかけることなく、大柄の誠をかわして自動ドアを出たり入ったりしていた。


 誠は再び辞令に目をやった。


「それに、実働部隊……って何?」


 そう言いながら誠はただ困惑していた。

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