第8話
アイはしばらく自分の意識の中に沈み込んだ。目を瞑り、息を整え、そのままじんわりと闇の中に身をひたし、闇が自分を包み込むのを待った。
なにも見えず、なにも聞こえなくなった。いつしかアイは意識を失い、在るものはただ虚無になった。いや、なんとはなしに下方に身体が落ちていく感覚だけがあった。自分の重みが、周囲にある闇をかきわけ、ゆっくりと、ゆっくりと移動していく。羽根が落ちるときのような左右への行ったり来たりはなく、アイの身体は、ただゆっくりと、まっすぐ下へと落ちていくのだ。
アイは意識を取り戻し、びくりとして目を見開いた。物理的に瞼が上がったわけではないが、アイの意識は確かに覚醒し、眼球と網膜に代わる、別のなにかの力を借りて周囲の風景を視認することができた。
自分の頭上に、なにか大きな光のかたまりが見えた。それはどこか優しい、じんわりとした明るさでアイの全身を照らし出していた。光に浮かび上がった自分の下半身を見て、アイは一瞬間だけぎょっとした。見慣れたはずの自分のか細い腰が、灰色の、なにか分厚い装甲板のようなものに覆われている。その向こうには膝小僧と足の先が見えたが、どちらもさらに分厚く強靭そうな黒いジョイントパッドに覆われていた。
しかしアイはすぐに気づいた。自分はその装甲を身に
それはまさに、アイの分身だった。地球上の中央制御室から遠く48億キロメートル離れた場所にいる、この優れた無機の
太陽系の辺縁にぽつんと浮かぶ冥王星系は、決して暗黒の中に沈んでいるわけではなく、数光年も彼方からの
そしてアイは気づいた。自分の身体はいま、その盟主たる
アイは落下しながら
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