第42話 新たな友達
天月の研究室
天月は静音を仮眠室のベットに寝かせ、とある所に電話を掛けた。
「もしもし、鮫島だが」
「鮫島さん、今、ちょっといいですか?」
「なんだ?こっちも落ち着いたが後処理で忙しいから手短に頼む」
「わかりました、行方不明になった学園の生徒を保護しました」
「それって、柳静香のことか」
「はい、そうです」
「それで、俺に何をして欲しんだ?」
「そっちでたまたま保護したことにして欲しいです。後、女性の人と服一式の用意もお願いします」
「・・・わかった、新井に連絡しておく」
捜索を打ち切ると言った手前、心苦しいんだろう。
「お願いします」
電話を切ると、気を失っている静音に上着の代わりに毛布を掛けた。
「ここには、こんなものしか、ないんだ。これで我慢してくれ」
静音を毛布で包むと、自分のMEDを装着した。そして、静音を抱えると、入り口に移動した。マナ障壁で静音を包むと天月は高速移動で警察署に向かった。
誰にも見られることなく警察署の屋上に到着した、天月は直ぐにMEDを解いて、中に入っていた。階段を下りていくと、新井さんが天月を出迎えた。そのわきには女性警官が控えていて静音をすぐに連れて行った。
「お疲れさまっす、天月君」
「大変な時にすみません、新井さん」
「いえ、これも警官としての職務何で気にしないでほしいっす」
「彼女の事を頼みます。もしかしたら、精神的に不安定になっているかもしれません」
「彼女をどこで見つけてきたのかだけ、聞いていいですか」
「恐らく、敵の魔物の研究所、彼女はそこで人体実験の材料にされていました。そこは破壊しましたが、もう、もぬけの殻でした」
人体実験と言う言葉で新井は露骨に嫌悪の表情を浮かべたが、そのまま話を聞いていた。
「・・・わかったっす、彼女の事はケアが必要かもしれないと後で耐えておくっす」
「あと、恐らくですが、研究所で魔物に再生能力を付ける研究をしていたのではないかと思います」
「それについては、こちらで実物と対時済みっすね、その情報だけでもありがたいっす、因みにその研究所の場所はわかんないっすか」
「すみません、特殊な方法で移動したので場所はもう分かりません。何なら、すべて破壊してきたので行っても何もないと思います」
「謝らないでほしっす、天月君はなんも悪くないんすから、むしろ、こっちが諦めていたのに女子生徒を見つけて来てくれて、感謝しかないっす」
「いえ、もっと早く彼女を助けてれば、すべて上手くいったかもしれないんです」
「そんなこと言ったら行けないっす、彼女が無事に帰ってきただけでも、十分すごい事なんっすから、もっと天月君は自分の事を誇っていいっす。むしろ、誇ってっす」
「すみません」
「ほら、またあ、謝っているっす、まぁ、今日の所は帰って、ゆっくり休むっす」
「わかりました」
「また、何かあったら、遠慮なく頼ってほしいっす」
「ありがとうございます、新井さん、それでは失礼します」
天月は別れの言葉を告げるとMEDを付けて、来た時と同じ様に帰っていった。
後日、静音は元気に学校に来ていた。
「あ、天月君」
「久しぶりだな、静音、もう大丈夫なのか」
「うん、問題ない」
「そうか、それは良かった」
「・・・記憶はあるの、でも大丈夫」
「何で、そんな気持ちのいいものでもないだろ」
手術台の光景を見た天月には、静音が到底大丈夫だとは思えなかった。
「・・・天月君の声が聞こえた」
「え?」
「・・・なんか、それで大丈夫になった」
「???」
「もういい」
天月には静音の言っていることが分からなかった。そんな顔をしていると静音は拗ねて、どっかに行ってしまった。
「おい、どこに行くんだよ」
「知らない」
追いかけて声を掛けるが、静音はそのまま歩いて行ってしまった。
「おいおい、あの状況はなんだよ」
「簡単な話でしょ、もう一人、チームメイトが増えるってだけよ」
「そんな修羅場を耐えろと」
「それはその状況を作った天月君、言ってくれない」
影から2人の事を見ていた服部と霜月は完全に面白がっているが、チームメイトが増えるは変えようのない事柄の様に見えた。
流星の奇跡 スリーユウ @suri-yuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。流星の奇跡の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます