第40話 魔物の群れ

一方、第一国連科学魔法学校にゲートが繋がっている主要都市の近くでは魔物が大量に出現していた。


「おうおう、大量だな」


クロード、ゲート付近、学校の職員、才波は転移魔法陣からあふれ出てくる魔物を見ていた。


「さてと、こちらもやりますか」


才波の髪も天月の様にマナの光によって溢れていた。


いつもならゲート付近にはそこで商売を行う人たちで溢れかえっているはずだが、今は才波の周りには人ひとりいなかった。バジリスク、サイクロプス、ワイバーンとA以上の魔物しか、いなかった。


魔物たちは目の前にいる才場に襲い掛かろうとするが、圧倒的なマナの量によって、瞬時、倒されるが、魔物は即死しておらず、ゆっくりと再生しようとしていた。魔物を再生できない様にすればいいのだが、転移魔法陣からは、魔物が続々と溢れ出てくる為、そういうわけにはいかなかった。


「ダルすぎだろ、あんまりこの力、あぶねぇから使いたくないんだけどな」


才波の周りが黒いマナに包まれる。そのマナに触れた魔物はバタバタとその場に倒れ、絶命していた。


「あらよっと」


ゆっくりと転移魔法陣に近づいていった、才波は剣のMEDであっさりと転移魔法陣を破壊した。


「こっちは終わったな」


胸元のポケットから煙草を出すと才波は炎魔法で火を着け、煙草を吸った。才波は紫煙を吐き出しながら、周りを見渡した。


「この魔物たち、どうすんのかね」


まぁ、そこら辺は別に奴が考えることだと思い、自分の仕事は終わったとばかりに才波はゲートをくぐって学校に戻っていった。


魔物たちは再生することも出来ずに死んでいったのには理由がある。ドラゴンとドラゴンに認められた者ドラゴン・クォリファイドは一つの特殊能力がある。才波の能力は死、マナに触れたものを殺す能力だ。その能力の前では魔物たちの再生能力など、無意味だった。


日本のゲート付近でも同じようなことが起こっていたが、意外にも混乱は起っていなかった。同じように転移魔法陣から魔物が出現したが、その時点で迅速に魔物専門の特殊部隊が出動し、市民の避難と魔物討伐がなされた。再生能力も冷静に対処された。瞬時に回復されるわけでもないので、すぐに火炎放射機が持ってこられ、迅速に処理されていた。


「全く、こりゃ、また、残業だな」


周りの状況を見ていた鮫島に悲痛な声の無線が入る。


『そんなこと言っている暇あったら、さっさと魔物倒してほしっす』

「ははは、頑張って魔物のデータを転送しろよ、新井」

『天月君のAIが無かったらとっくに、パンクしているとこっすよ』

「それに関してもあいつに感謝だな」

『一般市民の避難は8割完了っす』

「早く、10割にしろ、そうしないとお偉いさんからの大型兵器を投入できんぞ」

『了解っす』


無線を切ると、鮫島は目の前に魔物たちを確認して指示を出した。


「さて、あんまり、中の者に迷惑をかけるわけには行かんな、おら、お前ら気合入れて前線を押し戻せ、魔物を無理に殺さんでいい、足止めに徹しろ」


鮫島の指示の元、隊員たちが魔物を押し返していく。しばらくして、新井の無線から市民の避難が完了したことが告げられる。


「おし、お前ら、大型兵器の使用許可が出た、あいつらにたらふく食らわせてやれ」


隊員たちはスーツケースのようなものを取り出した。それにマナが流されると、スーツケースがミサイルの発射台に変わった。それが幾つも設置され、準備が完了される。


「殲滅しろ」


鮫島の合図でミサイルが発射され、魔物たちが灼熱の業火にさらされる。それに転移魔法陣も巻き込まれ、あっさりと破壊された。


辺りが焦土と化している中、鮫島の元に無線が入る。


『魔物の反応。消失確認したっす』

「わかった、引き続き、監視を頼む」

『了解っす』


無線を切ると鮫島からは思わずため息が出た。


「全く、最近は平和だったのにな、何かの前触れかね」


そんなことを憂いながら、鮫島は焦土と化した場所の消火活動をしなければと、消防に連絡を取るのだった。

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