第27話 魔物の発生理由

「魔物はどのように発生するか、知っているか、服部」

「いえ、わかりません」


勉強していない服部に向かって才波先生はあきれたため息を漏らした。


「お前は、いつ勉強しているんだー」

「すみません」

「では天月、答えて見ろ」

「はい、魔物は大気中のマナを吸って発生すると言われています」

「正解だ、では、アトランジュでは町の近くで魔物の発生が起こらないように何をしている、服部」

「わかりません」

「そんなに胸を張ってこたえるな、次、天月」

「モーリュと言われる、大気中のマナを吸ってくれると言う植物を置いています」

「正解、服部はもうちょっと勉強に精を出してくれると俺としても嬉しんだが」

「善処します」

「先生――何でこんなアトランジュ側の常識、問題をやるのでしょうか、私たちには必要ないことです」


アトランジュ側の生徒が講義の声を上がるが、才波先生はまぁ待てと手で諭した。


「お前ら、気持ちも分からなくはないか、地球側の生徒には必要な知識なんだ、お前たちも今後、地球側の常識を教えることになる。その時は地球側の生徒も飽きずに聞いてくれると助かる」

「何でそんなことをするんでしょうか」

「まぁ、そう思うのも当然かもしれんが、しいて言えば、お前らがそこに行った時、困らない為だな。教えてはいるが日常生活では教科書に載らないことばっかりだ。端末の情報だけでは不十分なことが多い。そう言う意味では、お前らが現地でガイドをしてくれることが一番なんだが、例年、そういう光景はあまり見られないんでな」


才波先生は遠回しに、お前らはあまり協力しないのが残念だと言っている様だった。そこで授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。


「まぁ、あとは現地に行って学ぶことだな、結局、それが一番だ」


最後のそんな一言を残して、才波先生は教室を去って行った。


「天月、天月、アトランジュに行く予定を決めようぜ」

「それなら、まずは解体の講義だな」

「まじでやるのかよ」

「助言は素直に聞いといた方が身のためだぞ」

「はい、すみません、ちゃんとやります」


話している2人の元に霜月がやってきた。


「2人とも、何の話をしているの?」

「丁度、良かった、霜月さんも誘おうと思っていた所なんだ」

「アトランジュに魔物を倒しに行くにあたって、解体の講義を受けるんだとよ」

「解体の講義?それって必要なの?」

「霜月もそう思うよな――」


霜月からも疑問の声が出たことによって服部が反対の声を強くした。


「先輩からの助言だ、大人しく聞いといた方がいい」

「そうなら、受けましょう」


しかし、一瞬で意見をひっくり返されてしまった。


「意見、変えるの、早すぎません、霜月さん」

「他人の声に耳を傾けないことは愚か者がすることよ、服部君、貴方は愚か者になりたいの?」

「なりたくありません」

「賢明な判断ね」

「それじゃ、午後から、早速申請をしに行こうか」

「そうね」

「なぁ、それよりもあれはどうするんだ?絶対付いてくるって言うと思うぜ」

「・・・」


天月は何を言われているのか、わかっているがゆっくりと現実逃避をするように服部から視線を逸らした。


「目を逸らしても問題は解決しないぞ」

「俺は1回、断ったんだ、もう俺にはどうしようない」

「もう一層、受け入れちゃえばいいじゃない」

「絶対嫌だ」

「何で、そこだけは子供なのよ」

「彼女が来る前に受付に行こう」

「まぁ、そうするしかないか」

「できないと思うわよ」

「やる前から、諦めたら終わりだ」

「そんな台詞はこんな所じゃなくて、別のところで言ってほしいわ」

「右に同じ」


しかし、天月はガンと首を縦に振る気はなかった。

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