第6話:優しさに触れるとき
学校も終業式が終わり、明日から夏休みになる。ただ、この夏休みは彼女にとっては初めての夏休みになる。そして、お母さんのところに久しぶりにお友達のお母さんから連絡が入り、彼女は久しぶりに幼稚園の友達と遊べることになった。
実は彼女は幼稚園の友達と遊ぶのは卒園して以来だった。そして、遊べると知った彼女は学校から出された夏休みの課題をひたすらこなしていた。
そして、約束の日になり母親と集合場所に向かった。すると、真っ先に駆け寄ってきたのが菜々ちゃんという幼稚園に入ったときから考えが大人で、周囲の友人たちからも慕われていた子だった。そして、みんなのところに連れて行ってくれて、他の子達とも久しぶりに会えてどこか嬉しそうだった。
そして、みんなで遊園地に行ったときに事件が起きた。それは、明莉と同じ学校に通っている同級生がメリーゴーランドのところにいたのだ。しかも、彼女が以前に嫌がらせを受けたこともある男子だったため、明莉は菜々ちゃん達に「ちょっと真ん中言ってもいい?」と言って真ん中に入り事なきを得た。
ただ、菜々ちゃん達は彼女の行動を心配になっていたようで、「明莉ちゃん学校楽しい?」と聞いてきたが、明莉は終始無言だった。
そして、遊園地での楽しい時間もあっという間に過ぎ、みんなでご飯を食べに行った。すると、菜々ちゃんが学校生活について話し始めた。周囲のみんなは首を縦に振りながら話を聞いているが、明莉だけは首を縦に振れなかった。
そして、明莉に話の番がきて、明莉は今学校が楽しくないこと、彼女がされていることなど色々と話していた。すると、みんなから「あーちゃんは学校違うから知れて良かった」と言ってくれたのだ。実は隣の地区の学校に通っていると意外に情報が入ってこない。その上、幼稚園の卒園生はみんなバラバラになってしまい、連絡手段も親同士でしか取れないため、なかなか今どのような状況なのか?彼女はどうしているのかなどはなかなか知る事は難しい。
そして、彼女がいじめを受けていると言うことを知ると「何かあったらママに言ってね。私たちも力になるから」と言ってくれた。
その時、彼女は胸に溜まっていた辛かった気持ちが一気にあふれ出し、久しぶりに目に涙を浮かべ、彼女は震える口から「みんなありがとう」と言葉を伝えた。
彼女は学校に入ってから一緒に遊ぶような子もいなかったし、友達はいたが、いじめっ子達の標的になっても困ると思い、なかなか言い出せなかった。
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