第76話おっさんの全てとオリジナルな仲間たち

 召喚

 リィス


 召喚

 ペル


 召喚

 キュリ


 3つの魔法陣が床に描かれた瞬間。

 手の平サイズで桃色のツルンとした柔らかくも、張りのある滑らかボディをぷるっと揺らしながら、つぶらな瞳を向けるオリジナルスライムのリィス。


 リィスと同様、小さくくりっとした名前の由来ともなった黒真珠のような漆黒のつぶらな瞳と、ふかふかで光沢のある毛を持ちちいさな牙が愛くるしいビッグバットサイズの蝙蝠。大蝙蝠のペル。


 そしてその骨身に闇の支配者足り得るアンデットの大魔導師リッチの骨を宿し進化したスケルトン。スケルトンメイジユニークのキュリが特注のフードを深々と被り、大事そうに杖を抱えていた。


 ここに初めて3体の融合魔物フュージョンモンスターが同時に召喚された。


「まっ魔物!」


 ルファが驚き声を上げ、私とリィス達の間へと入り構える。


「怖がらないで。これが私の能力の一つ。彼らは味方だよ。」


 そう言うと警戒しながらも、元の場所へと戻った。


 召喚と同時にステータスを確認したが、リィスとペルは昨日と変わらず、キュリはかなり順調にレベルが上がっていた。

 墓地で随分頑張ってたようだ。


 種族:スケルトンメイジユニーク Lv25

 名前:キュリ

 スキル

 骨結合

 夜目

 炎属性魔法

 ★闇魔法

 ★魔力増加(大)

 ★魔力回復(小)

 ★魔骨


「25レベルですか、頑張りましたねキュリ」

 最近出番のなかったキュリのレベルアップが凄かった。こんなにレベルが上がるほど墓地にスケルトンはいないはずですが……?


 カタカタカタカタ


 そう思い思案にふけるていると、キュリの思念が骨音とともに伝わる。


「そうですか。散らばっていた骨も結合していったんですね。新しく覚えたのは10レベルで闇魔法、15レベルで魔力増加、20で魔力回復、25で魔骨ですか。やはり魔法関連のスキルが多いね。キュリは優秀な魔道士さんですね。ところでキュリ?魔骨ってなんですか?」


 カタカタ!


「ほう。骨に魔力を蓄積できるんですか!そりゃ便利ですね。しかも魔力を蓄えた骨は強度が増すんですね。」


「あの……。さっきから何を話しているんですか?ご主人様」


 キュリと話していると、ルファが怪訝な目で見てくる。


「えっ?なんか伝わってこない?」


「いえ…カタカタ言ってるだけですね。」


(マスター。ボク達の声はマスターにしかわからないよ!)


「そうなんですね。リィスの念話もですか?」


(いまはそー。とくにボクは音が出せないから揺れてるみたいにしかみえてなーい)


「キィキィ」


「なるほど。マスターだし、私の魔力の一部で生まれているから違いがあって当たり前……って事ですね。」


「あ…あの。ご主人様。皆様がカタカタとかキィキィとか…プルプルしているのは、何かお話を?」


 たしかにルファにはこの光景が音を鳴らしているか、揺れているようにしか見えないらしい。


「あぁごめんねルファ。そうだよ。あまりこの子達も呼べないからね。紹介するね。オリジナルスライムのリィス。大蝙蝠のペル。そしてスケルトンメイジユニークのキュリね。みんな私の能力で誕生した私の大切な仲間だよ。」


「よっよろしくお願いします。ご主人様の奴隷のルファです」


 ぺこりとお辞儀をするルファ。


「……」

「キィキィ」

「カタカタ」


 それに答えるように、リィスが一生懸命体を左右に振り、他の2体がよろしくと声を出した。


 うん。だいぶ賑やかになってきましたね。


 お互いに挨拶が終わり、ルファもリィス達に慣れてきた。


「さてそれじゃあもう一個の能力をみせようか。」


『融合』 キュリ


 融合を唱えた瞬間。その場にいたキュリが光となって重なる。


 実は初めてだったキュリとの融合は終えたが、驚いたことに部屋の鏡を見てもあまり外見的変化はなかった。少し青白くなったくらいだろうか。


 さすがスケルトン。変わったとしたら“骨”なんでしょうね。


 しかしキュリとの融合は外見的以上の変化をもたらした。

 全身を巡る魔力の量、質が共に跳ね上がったのだ。


「おぉ魔力がかなり上がりましたね。凄いです。それこそ骨の一つ一つに魔力が蓄えられているのがわかりますね。」


 それぞれの指先からビー玉程の火の玉を出す。


 うん。イメージ通りに自在に魔法が使えますね。こんなにスムーズに魔法がだせるのであれば、アレが出来そうですね。


『解除』


 一通り、やれる事を試しキュリとの融合を解く。


「ルファ。これが私のオリジナルスキル。『融合』だよ。今のは魔石から創り出した融合魔物。フュージョンモンスターとの魔物融合。モンスターフュージョンね。これが普段隠している私の能力。今のところ言いそびれたのもあって、師匠にも師範にも言ってないかな。」


 そこでステータスカードを出しルファへと見せる。勿論非表示にはせず、全てをさらけ出した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る