第69話おっさんの野外料理と新たなスキル
それにしてもスパイダーネットは結構使えますね。
まだ時間はあるようですし、折角なら……。
スパイダーネット!
湖に網スパイダーネットを投げると、10匹程の魚が網に入っていた。
湖の魚ゲットです。これは虹イワナですね。まぁ魚の名前は元の世界の由来が強いですね。間違いなく前の転生者の影響でしょう。
これは食べるのが楽しみです。
融合が解除され、元の姿に戻る。ちょうど5分。融合限界が来たようだ。
「ありがとね。リィス」
(どういたしましてだよ〜マスター)
頭を撫でると色が濃くなる。撫でられて嬉しいのだろう。体全体がプルプルと震えている。
生活魔法『乾燥』
生活魔法『着火』
組んだ焚き木が魔法によって良い感じに乾燥し、一瞬で火が回る。
この辺がファンタジーって感じですね。普通ならこんな生木に火は着かないですから。
それにしても生木の枝をまとめて乾燥し、火をつける。キャンプに重宝する魔法ですね。
枝を魚を刺し、そのまま焚き火近くの土に刺す。
そしてローレルとバジル、オレガノなどのハーブと同じ効果の薬草をまぜ
生活魔法『乾燥』
「これを乳鉢で……そして最後に塩と混ぜて…完成!オリジナルミックスハーブです」
こういう事は融合では出来ませんからね。
師匠のお陰で、こういう薬膳や薬草についてかなり詳しくなりました。
なので、山に入れば香草に使える植物は至る所で手に入ります。
焼いている間に、横を見ればリィスとペルが遊んでいた。
普段は下水ですからね。こういう青空の下では気分が随分違うでしょう。
頭にペルを乗せて、まるで姉妹のようです。
あぁスライムであるリィスも大蝙蝠のペルも女の子です。私の融合は偏った何かを感じますが……。
まぁいいでしょう。
可愛いですからねうちの子達は。可愛いは正義です。どこかの誰かが良い事を言っていました。
可愛いは正義。
私もそう思います。
パチパチと魚の脂が弾け、あたりに香ばしい香りが立ち込める。
「おっいい感じですね。リィスー。ペルー。ご飯ですよ」
焼けた魚を皿に乗せる。
2匹は融合魔物のため、食事を取る必要はないが、なんとなく一緒に食べたいと思った。出来ればキュリもと思いますが、自由に呼べるほど回数が増えてないですからね。今後の課題です。
(おいしいよー)
「キキキー」
その甲斐あって、美味しそうに魚を食べるリィスとペル。
たしかにこの虹イワナは旨い。虹色にうっすら輝く皮と身の間の旨味がパリパリっという音と共に口一杯に広がる。身自体は淡白な味わいだが、皮、脂、塩の旨味が身と調和し絶品ですね。
ただ魚を食べてると時折リィスの触手が伸びて、湖に浮くブルースライムを捕らえて吸収する姿はなかなかシュールですが。
しばらくして、見える範囲のブルースライムがだいぶ減ったころリィスの触手の動きが止まった。
(マスター。ブルースライムから新しいスキル貰ったよー)
「えっ新しいスキルですか?」
(うん。『水生成』だって。ほら)
その名の通り、リィスの作り出した触手の管から勢いよく水が出る。
水生成ですか。野営や融合に便利なスキルですね。生活魔法でも出せますが、一々魔法を唱えないといけないですし。
「あっそうだ。その水を細い管を通すように圧縮して勢い良く出してみてください。」
(ん?こう?)
そういうとリィスが、触手の管を細くし高圧力の水を飛ばす。
スパン
というような音がなったような錯覚を覚えるほど、綺麗に切断された草。
その綺麗な断面が、その水の斬れ味を物語っていた。
「おお〜」
(草が切れたー スパーって スパーって)
リィスが喜びの舞を踊る。
まぁプルプルしながら左右に揺れるだけですけどね。
ふふ。喜んでますね。アクアカッターと言ったところでしょうか。リィスの新しい武器の完成ですね。
「そうですね。じゃあ。次は水のボールを作って下さい。この位の」
そう言ってハンドボール程の大きさのボールをリィスに作って貰う。
(こんなかんじー?)
「そうです。その中の水を高速で回転させて、そのままあの木にぶつけてください」
(いくよー)
リィスの作り出した水の球の中に渦が出来る。そしてそのまま木へと撃ち出された。
ゴバッ
(わー。木がこなごなだー)
リィスの作り出した水球が木に当たった瞬間。中の渦の力で当たった部分の木がえぐれるように、破壊された。
「おおー。これもなかなか使えそうですね。」
滝壺に出来る渦は大木も破壊すると聞いたことがありますが、ここまでとは思いませんでしたね……。
やりすぎましたか?
(すごーい)
「キキー」
2つの技に、その場で踊るリィスとペル。
まぁ喜んでるからいいですね。身を守る技はいくらあってもいいでしょう
しかし、それだけでは終わらなかった。
リィスがアクアカッターと渦玉を試し、喜びの舞を踊り終えると、ペルがおもむろに草へと飛び、口を近付ける。
「キィーー」
ヴィッッという独特な音がなった瞬間。
スパンっと草が真一文字に切断された。
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