第48話おっさんの異世界“初”討伐と語りかける魔石
「う〜ん。ジメジメして酷い臭いです……。」
この匂いもこの依頼が不人気の要因なんでしょうね。
次の日、アシッドスライムを求め街の下水へと、やってきた。
一応、ギルドには大ネズミ討伐の依頼という事で下水の鍵を借りてます。
なのでアシッドスライムだけじゃなく、大ネズミも探さないとですね。
下水道の入り口から、下水が流れる脇の道を歩き奥へと進むと、すぐにアシッドスライムは見つかった。
アシッドスライムは光を嫌うらしく、下水道の入口付近など光が差し込むような場所にはいないと聞いていましたが、意外にすぐいるものですね。
ドロリとしたアメーバ状の体をズルリズルリと這わせ、体内に内蔵のような物や核だけでなく、取り込んだばかりであろうゴミや骨などが浮かび、城で見た人工的に作られたと言われているスライムとは違い、お世辞にも可愛くはない。
『ストーンバレット!』
開いた手の平からイメージした通りの、菱形の石の塊が放たれる。
ブチュっと水が弾けるような音がなり、その場にはゴミと魔石が残された。
『殺傷耐性』スキルが付いた事で、前と段違いに魔物を狩る事に忌避感はなく。訓練通りに魔力も循環できスムーズに魔法が撃てる。
前は魔力循環すら頭から抜けていましたからね。スキル様様ですよ。
「それにしても……臭い……。」
アシッドスライムが弾けると、辺りに下水の匂いが立ち込める。
鼻と口を覆う用に生活魔法で消臭の魔法を掛けた布を巻き、なんとか匂いに耐えながら魔石を集める。
『融合』
10個目の魔石に11個目となる魔石を融合させる。
直感によって既に11個の融合が可能なのはわかっていますが、ギルドでアンナさんから10個以上の魔石合成は出来ないと聞いていますからね。
少し安心しました。
「よし!」
11個目の魔石融合に成功する。
まずはいけるとこまで行ってみましょう。
『ストーンバレット!』
『ストーンバレット』
『ストーンバレット』
『ストーンバレット』
下水の
実際、物理攻撃が効きづらく、臭いも付くため、非常に人気のない依頼で、アシッドスライムはかなり産まれていた。
つまり取り放題なのだ。
『ストーンバレット!』
湧き出たアシッドスライムの3体を貫通させ、魔石をしまう。
「少し面倒になってきましたね。慣れてきましたし、使ってみましょうか」
少し広い空間の中央に、誘引ポーションを投げ、瓶を割る。
この薬の注意点としては、入り口が一つしかない場所で使う事。
その注意に従い誘引ポーションを割ると、大量のアシッドスライムが道を埋め尽くすように雪崩れ込んできた。
「うわー。大ネズミも来てますが、アシッドスライムに取り込まれてませんかあれ?」
誘引ポーションは、魔物を限定して誘うものではない。あくまでも弱い魔物を引き寄せる。
そして同時に誘引された大ネズミは大量のアシッドスライムによって取り込まれていた。
というよりも我先に取り込まれていっている感じだ。狭い通路を埋め尽くすスライムの壁。それに飛び込む大ネズミ。
なんともシュールな光景……。
『ストーンレイン』
大量のアシッドスライムを引きつけ、部屋に到達したスライムと、通路を埋めるスライムに石の雨を振らせる。
土系の魔法は炎などと違い、属性+物理攻撃が付与されアシッドスライムも大ネズミも同時に押し潰していった。
誘引ポーションの効果は非常に短かく、今回の魔物達を一掃すればしばらくは来ない。
地面には大量の魔石に加え、消化前の大ネズミの死体が散乱していた。
「おぉ。大ネズミの依頼も完遂ですね。上手いことアシッドスライムが取り込んでくれたおかげで、良い足止めになりました」
これだけの光景でも以前のような恐怖心や嫌悪感はない。
これがスキルの補正ですか……。
「キィーーーー」
おっと大ネズミですか。
誘引ポーションではなく、臭いにつられて来た大ネズミが1匹、部屋へと飛び込みカピパラ程もある大きな体で体当たりしようとジャンプする。
正面から来る大ネズミに向かい剛棒を構えると、頭に向かい回転を加えながら突き出した。
ゴっ!!
「おわっ!」
頭を一突きすると大ネズミの頭が爆ぜる。
まぁ剛棒は非常に重いですからね。攻撃力も高いのでしょう。今なら一角兎も楽に倒せそうですね。飛び込んできたところに一突きです。
斬る角度も、斬れ味も気にせずただ突くか殴るだけ。楽チンですね。ホント剛棒様々です。有難う御座います師範。
汚れた剛棒の血を払い、一人師範に感謝する。
その後は、大ネズミの死体で誘いつつ、スライムにはストーンレイン
大ネズミには剛棒で討伐し、魔石を回収する。
魔石を取ったネズミの死体はスライムが消化してくれますからね。一石二鳥です。
大ネズミの素材?
剛棒で爆散させてる時点で諦めてます。皮とか肉が売れるらしいですけど、下水に落ちた肉は遠慮したいですね。
いずれ必要になったら専門の方に任せましょう。綺麗に取ってくれるみたいですから。
そんな感じで、大ネズミの魔石は全部で22個たまり、10個融合を2個と2個融合を1個で売却する予定だ。
そして、アシッドスライムの魔石が100個目を目前にした。
右手に99個分、左手に1個を持った瞬間だった。
ビリっ
両手から脳へと響く、いつもよりも強い直感を感じた。
あの
やさしく語りかけるように
早く『融合』して欲しいと。
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