第47話おっさんの魔法適性と魔道書のあれこれ

 結局洗いざらい全てを話し、落ち着きを取り戻した所で話はスキルスクロールに戻った。


 散々謝られたが、こうして生きているのは師匠のおかげですからね。


 私としては何も言う事はないのです。


「使っても問題ないよ。」


 不幸中の幸いか。

 魔力操作がLv3まで上がった事で、問題なく『土属性』も『生活魔法』も使えると言う事だった。


「師匠。スキル屋で ※要適性。責任持ちません。という注意書きがあったんですが私には適性があるのですか?」


「ん?そうじゃな。数少ないヌシの特典じゃな。ヌシの属性適性は無。0じゃなくて無なのじゃ。つまり特化はしていないがどれも使えると言った状態じゃな。この世界に信仰も血族もない。まっさらな異世界人ならではの属性適性じゃな。ちなみに属性魔法のスクロールはスキルブックと違って、魔法操作がないと使えんからな。特に生活魔法は魔法操作がLv2は必要じゃ。冒険者共には使える者が少ないのも当然じゃよ。くっくっく」


 えっ?わかっているなら教えてあげないのでしょうか?


 そんなことしたら商売あがったりだと……。


 世知辛い世の中ですね。

 魔法操作Lv2になっている人にこっそりギルド職員が薦めるそうです。知識は武器。ということでしょうか。

 騙される方が悪いんですね。気をつけます。


 ちなみに、スクロールとブックの違いを教えてもらいました。


【スクロール】

 ある程度の適応、及び魔法操作のスキルがなければ使えない。使ってダメでも煙となって消える 消費型の超高価な魔道書


【ブック】

 収められている複数の魔法を最低限のレベルで全て習得可能。魔法操作のスキルも同時に取得する為、字さえ読めれば使用可能。4属性で国宝級 1属性でもスクロールとは桁が2つは違う。消費型の超々高級な魔道書


 最大の違いはスクロールは、覚えるまでが難しいが成長力がある。


 ブックは誰でも魔法が使えるようになるが、自由度が少ない。

 と言うことにあるらしいです。


「自由度?」


「そうかヌシにはまだ教えておらんかったの。どうせ属性魔法が使えんから後回しにしておったのじゃ。よいか。ブックの魔法は作った者が込めた魔法を使えるようになる。それに対しスクロールは土属性魔法を使えるようになるのじゃ。つまりは魔法をイメージでつかえるのじゃな。そしてブックの魔法。例えば『ファイアボール』などはファイアボールと言う魔法を本人の魔力任せに発動する。要は力任せに放つのじゃな。あの勇者にはその事も説明してやったんだがの。迷う事なくブックを選びおったわ。」


「なるほど」


 何となくわかりました。

 つまりセイドウくんは、読んだ本に収められていた魔法しか使えないということなんですね。


 そういえば風属性の魔法も刃状にした魔法しか使ってきませんでしたね。勿論各属性1個ずつではないと言っていましたから他にもあるでしょうが、自由に作れるものじゃないと。


 魔法はイメージ。それが言えるのは自力で覚えたものか、スクロールで覚えたものだそうです。


「では早速。」


 テーブルの上のスクロールの封を剥がす。

 するとスクロール全体に魔力が纏う。どうやらこの封が魔力を封じていたようですね。


 そしてスクロールに描かれていた魔法陣を見た瞬間。魔法陣がひかり、煙となって消えてしまった。


「ステータスカード」

 2本のスクロールが消えたのを確認し、ステータスカードを手に取る。


 名前 タクト・マミヤ

 年齢 17

 スキル 融合 採取Lv2 魔法操作Lv3 棒術Lv1 殺傷耐性Lv1 土属性魔法Lv1 生活魔法Lv1 ステータスカード

 輝度 43


 おう。覚えられました。ほんと一瞬でしたね。

 正直スクロールが煙となって消えた時には驚きましたが、これで私も立派な魔道士ですね。


「覚えられたみたいだね。魔法はイメージさね。想像力を働かせるんだよ。あの勇者には解らなかったようだけどね。そうだ。食事でもしていくかい?」


 聞けばセイドウくんは、4属性をスキルブックで覚えた後、聖属性をスクロールで覚えたが力任せに放つだけで師匠の言う事は聞かなかったらしく、師匠が少しご立腹でした。


「えっ師匠の手作り料理がまた食べられるんですか!有り難く頂戴します」


「ふん。何言ってんだいこの弟子は」


 馬鹿だねぇ。

 と言いながらもどこか上機嫌な師匠。


 小さな少女の姿の師匠に料理を作って貰うという光景はなかなかのあれですが、この際それは置いておきましょう。師匠のご飯が食べれる。


 それが重要です。


「そら。食べな」


 テーブルいっぱいに並べられた料理の数々。


 どれも訓練中に私が好きだと言ったことのある料理が並んでいます。覚えていてくれたんですね。師匠。


「いただきます!」


「ところでこれからどうするんだい?マイナス補正もなくなったしゴブリンにもう一度挑むのかい?」


 3分の2ほどの料理が私の胃に消えた頃。師匠が口を開いた。


「ほうでうすね。いぼらくあ「ちゃんと飲み込んでから喋りな!まったく」」


 ふむ。ほうばり過ぎたようです。美味いのがいけないんです。まったく。


「すみません。あまりに美味しくてつい……。しばらくはレベル上げと、ちょっとした実験をしたいので弱い魔物を大量に討伐したいと考えてます。」


「弱い魔物ねえ。そうだ。せっかく属性魔法を覚えたんだ。スライム狩りなんてどうだい。城下街の下水なんかにゃアシッドスライムが必ず繁殖しているからね。効率よく数は稼げるし街にも貢献できると思うよ。それとこれを」


 ありがたい事に、弱いスライムが下水路に大量に発生しているらしく、修行ついでに行ってみることになった。


 そして渡されたのは怪しげな瓶に入った桃色の液体。


「同時にこれを蒔けば大量のアシッドスライムが寄ってくるよ。属性魔法は範囲攻撃が出来るからね。魔法がうまく撃てるようになったら試してみるがいいさ。」


 食事後、帰る前に誘引ポーションと呼ばれる弱い魔物を引き寄せる薬と、その作り方を教わる。


【誘引ポーション】

 フェアリーリーフ+蜂蜜+水


 たったこれだけで、作れるらしい。それから数本融合し、

 師匠に礼を言い。家を後にした。


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