第45話おっさんの物騒なスキルと融合実験

 宿に戻りステータスカードを確認する。

 10万トールもそうだが、それをもらう為に出した際にスキルが増えているのが見えたからだ。


 名前 タクト・マミヤ

 年齢 17

 スキル

(融合) 採取Lv2 魔法操作Lv3 棒術Lv1

殺傷耐性さっしょうたいせいLv1)

 ステータスカード

 輝度 43

 残高 291,500T

 その他

 冒険者 F

 ∈ S



 10万トールちゃんと増えていますね。


 それに新たなスキル『殺傷耐性』ですか。


 スキルはある程度調べましたがこんなスキルはなかったですね。


 念のため非表示にしましたが、これはなかなか物騒なスキルです。

 これも師匠行きですね。


 それよりも『魔法操作』がLv3に採取がLv2ですか。頑張りましたね私。


 これはお褒めの言葉をいただけるんじゃないでしょうか。


 確かスキルを覚えるにはその行動を繰り返すのと、師事すること、そしてスキルスクロールなどの魔道具を利用する事でしたね。


 そんなに殺傷を繰り返してはいないんですが……どちらかと言えば逃げ回ってましたし。


 どう言うことでしょう?


 それに新スキルと2つのスキルのLvアップが同じタイミングというのも何か違和感を感じますね……。


 まぁいいでしょう。

 次はスキルスクロールですね。


 ギルドで貰った筒の中から2枚の丸められたスクロールを取り出し、赤い蝋で封をされたスクロールを観察する。


 このような魔法書によく使われる羊皮紙で作られたスクロールは、魔法的な何かを感じるものでもなく、使い方もよく分からなかった。


「ん〜。よく分からないですね。開けても大丈夫なんでしょうか?」


 スキルブックとは違うんですかね。あれは本の形をしていますし、やはりただ読めばいいのでしょうか。あっ適正がいるんでしたっけ?


 まぁ分からないことは、お師匠様にきいてみましょうか。


 スキルスクロールを床に置き、続いての戦利品である魔石を取り出す。


 討伐報告をするために持っていた魔石を魔石布から3つ取り出す。この小さいサイズの魔石布でも200以上の魔石を収納出来るから便利ですね。


 残りの一つは、勿論自らに融合し崩れ去った物だ。


 直感


 両手にその魔石を掴んだ瞬間。3つの魔石にスキルが反応する。


 しかも今回は同じ魔石でも前回のように、無理やりな感じはなく。手のひらの魔石が通常通り融合できる事を示していた。


「この感じどこかで……あっ!」


 そうでした。

 城の井戸のスライムの魔石ですね。あれを持った時も融合が反応してたじゃないですか!


 あの時は、魔石は師範に渡す必要がありましたからね。試すに試せませんでしたが。


 あれから数時間経った。

 いえ、そのうちの3時間弱は気絶していたんですけどね。

 気付けば昼の時間をとっくに過ぎていた。


 結果を言えば、魔石の合成は出来ました。

 ただし1つずつですが……。


 最初に試したのは3つ同時の合成。それができれば楽ですからね。


 結果はごっそり魔力を持っていかれ、気付けば3時間弱経っていました。あれはもう勘弁です。


 召喚時に城で最初に融合した時よりも酷い、魔力の吸われようでした。


 ただ最初に試したという事もあり、直感に従えば出来る気がするんですけど……。

 熟練度や魔力量の問題でしょうか?結構魔力も増えたような気がするんですけどね。


 師匠に言われた通り、魔法陣の敷き布の上で、毎日ほぼ使い切ってますし。


 あれからギルドに魔石を持って行ってわかったのは、3つを1個ずつで合成した3個分の魔石は、魔石7個と同じ価値で引き取ると言われました。


 これは『錬金術』スキルに魔石合成というものがあり、合成した個数によって価値が跳ね上がるんだと教えてくれました。


 冒険者登録時に『融合』を隠しているだけに、錬金術スキルを持った知り合いがいると思われているらしく、優秀な方ですね。とアンナさんが言っていた。魔石合成は難易度が高いらしい。


 ちなみに魔石の価値として

 1個合成 1個分の価値として以下

 2個合成 4

 3個合成 7

 4個合成 9

 5個合成 11

 6個合成 15

 7個合成 17

 8個合成 20

 9個合成 23

 10個合成 25個分の価値となるようです。


 そして、これ以上は測定不可同一。となるだけでなく現状錬金術での魔石合成の限界が10個迄のようで、これ以上は存在しないというのが常識のようでした。


 専属となったアンナさんは私が異世界人と知っていますからね。こちらの常識な事でも、それとなく説明してくれます。本当に良い人に出会えました。


 有難いですね。


 師匠に会うため宿へと戻る。

 ん?何故宿かですか?


 それは私は城を追い出された身ですからね。今更城門潜って師匠に会いたいって言っても聞いてもらえないからですよ。

 私が城にいた記録はない事になっていますからね。


 部屋へと戻り、雑貨を詰め込んだバッグから魔法陣の描かれた敷物と指輪の魔道具を取り出す。


「じゃじゃじゃじゃん。転移リング〜〜」


 おっと思ったより恥ずかしいですね。これは。


 取り敢えず部屋を見渡しますが誰もいないですね。よかったです。誰も見てないですね。

 この寮には気配を絶って近付く人がいますから……。


 魔術の訓練時に使う敷き布とは違う魔法陣の描かれた敷物を敷き、その上に立ち転移リングを指につける。

 ブカブカだったリングは、指を通すと輪が縮まり丁度良いサイズになった。


 この指輪と敷物のセットは、超短距離だが登録したポイントとポイントを行き来できるようになる魔道具で、効果は師匠の家からこの宿で限界に近い。今は青白く光っている転移リングだが、試しに街の外で出したが何も反応しなかった。


 この手の魔道具は王族が自分の部屋に戻るのに使う魔道具として有名で、使うにはそれなりの制限があり作れるものも限られているため、今のところは悪用されたケースはない。


 ちなみにこれはその簡易版で、かなりの制限があるため乱用は出来ない。


「では行きましょうか」


 左手につけたリングに触れる。


「転移」


 青白く光ったリングの光が、足元の魔法陣へと伝わり魔法陣が光で描かれた瞬間。


 景色が宿から一転し、見慣れた師匠の家の物置に変わった。

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