第4話 練習あるのみ!!

 今日、俺は人生で初めて朝に起きた。そして、少し肌寒く感じる朝に、俺は自作した的の10mほど離れたところに立っていた。

 親父が俺のためにと作ってくれたこの弓で頑張ろうとかなり発奮していた。そして、初めて弓の弦を引くつもりであった、、、。

 本当にそのつもりだけで終わってしまった。原因はこの弓の重量であろう。この弓は昨日親父が言ったように、鉄でもなく、銅でもなく、まだ未知の金属を使用しているため、性能も品質もイマイチ分からないことが多すぎる。しかし、今この弓について分かることは、、、、今の俺には到底扱える代物ではないということだ。今後俺がこれを扱える気もしなかった。この弓の重量は大体60kgあたりであろうか、成人男性一人分の重さは感じた。


 俺は途方に暮れている中、誰かが俺に近づいてきた。


 「アンタ、こんな朝早くから何してるの?」


 一昨日会ったツンデレ女だった。


 「お前こそ、こんな朝早くから何してんだよ。」


 「私は暇なアンタと違って戦士検定の練習よ。もう私はあと一週間後に検定があるから準備してんの。ところでアンタ凄そうな弓持っているけど、狩人にでもなるつもり??」


 「あーそうだ。 なんか文句あんのか??」

 

 「別に文句はないけどその弓の材質が気になるわ。ちょっとみせて。」


 俺はこの女がこの弓の材質がわかるのかと疑問に思いつつも、この弓を素直に手渡した。


 「うーん、、、。これは見るからに、、、初めてみた!魔器鉱石ね!どこで手に入れたかは知らないけど、かなりの希少メタルよ!これは魔力をこの弓に伝えることによって、取り回しがよくなると思うわ。ところでアンタは魔力が使えるの?」


 女はこの弓に対する賞賛の嵐をしたあと、俺に対して魔力は使えるのかと、疑問をそのまま表情に出してきた。実際使えなかった。俺は人生で初めて耳にする言葉が二個も連続で出てきて、動揺した。魔器鉱石?魔力?なんだそれは、、、と思いつつ、その女の疑問に答えてやった。


 「使えない」


 「ア、アンタまともにこの弓のことも知らずに、ずフッ ずっと練習してたの?? フハハハハハハ!イヒヒヒヒヒヒッ! 」


 女は腹を抱えて、地面に転げまわりながら笑った。俺は物凄くこいつを弓で射抜いてやろうと思ったが、なにも俺にできることがなかった。


 女の笑いが尽きたあと、ゆっくりと起き上がった。


 「バカにしてごめんなさいね。これでも、アンタ頑張っていたのよね。 お詫びにこれを渡しておくわ。」


 女はそう言い、石質のなにか眼のようなものを渡してきた。


 「これはね、見た目の通り石眼ストーンアイといって、魔力をこれに注ぐことによって様々な色がでるの。青は普通。 赤は凄い。 この二種類しか私は知らないけど、もっとたくさん色が存在するって本でみたことがあるわ。あっ。 一番大事な魔力の出し方を教えてなかったわね、アンタ全ての行動を無意識にしているでしょ、例えば朝起きて顔を洗ったり、朝食をとったり、実際自分自身が知らないだけで本当は既にアンタは魔力を取得しているわ。だからその自身が持つ魔力を意識して、その眼に注いでやればいいの、具体的に言うと、アンタのできる全ての集中をその眼に注いだらいいの。あと最後にこの眼は非売品でどこでも手に入るものじゃないから絶対に終わったら返してね。健闘を祈るわ! じゃあね!」


 女はいろんなことをベラベラと喋ってこの場を去っていった。そして、俺は魔力を自在に扱えるために女が言ったように、魔力が使えるようになったあと、これを道具屋で売ってやろうと決意をした、、、。


 

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