第2話 もう仕事辞めてもいいですか。
ハローワークでとりあえず3年間は村の清掃をすることを決め、訓練用の道具を揃えることにした。
えーっと、、、所持金は238G、、、。
自分は一度強く手にした金を握りそして、深く大きな溜息をついた。
まあ武器の一個、防具の一個は買えるだろうと思いつつ、この所持金で何が買えるのか、少しの期待を胸に村の武具屋へ向かった。
ガチャッ
武具屋の中にはたくさんの洗練された防具、剣、弓などが飾られてあった。カウンターには、頭に赤の頭巾を被ったおばさんが立っていた。
「いらっしゃい! ん? お客さん初顔だね。 」
「どうも。」
俺は無愛想な返事をしつつ、店員に自分の所持金をポケットから取り出してカウンターに置いた。
「おばさん。この金で買える狩人用の弓をください。」
「おばさん!? 私はまだ28だよ。」
冗談を言ったつもりなのか、俺は婆(ばばあ)の返しに嫌悪感を感じたので、無視をした。
「で、ばば、、おばさん。どの弓が買えますか?」
「ないね。さっさと帰んなクソガキ。」
武具屋のばばあの機嫌を損ねてしまった。そして、こちらに弓を構えてきた。俺は急いでカウンター上の金を取り店から出た。
ばばあは、本当に矢を放ってきた。その矢は店の前の家の壁に刺さり、間一髪であった。
この店には二度と行かないことを決め、壁に刺さった矢を入手することができた。
今日は大人しく村の清掃をすることを決め、仕事先へ向かった。
指定の受付場所へ行くと古い物置部屋のような建物があり、本当にここなのかと疑問を抱きながら近づいてみると、外側に受付カウンターがあった。
「あのーすみません。 村の清掃の仕事をしにきたのですが、、、。ここで合ってますか?」
受付カウンターに受付係らしき、おっさんがいた。
見た目はそこら辺にいるような普通のおっさんであった。
「あぁ。 合ってるよ。 これがテメェの清掃区画。 あとこれが清掃道具と清掃着。」
普通の見た目と想像以上に無愛想な対応であった。
俺は言われるがままに、清掃着に着替えて清掃区画の路地裏へ向かった。するとそこには、同じ清掃着を着た、顔の整っている黒髪ポニーテールの女がいた。
「あのーすみません。自分ここの清掃区画なんですけど合ってますかね?、、、」
「、、、」
女はこちらを見る気もせずに黙々と村の清掃に励む。
俺は仕方なく、その場に清掃道具の塵取りを置き、ほうきだけを持って掃除を始めた。すると、女不満そうにはこちらを睨んで言ってきた。
「あなた。 本当に女心が分からないのね、、、 普通、レディに知らない男が近づける距離は、最大でも4mよ。あなたは何? 私の知り合い? もうそこは2mじゃない。さっさと散りなさい。」
たまにいるツンデレ女だった。清楚感溢れるその容姿には似合わない言葉に少し動揺してしまった。
なんでこんなに面倒臭い奴らがたくさん村にいるんだと俺はかなり距離を置いて、再び清掃に取り掛かった。
日も暮れて、勤務時間が終わったので再び受付カウンターまで戻り、日給を貰いに戻った。そこにはさっきのツンデレ女がいた。俺は目を合わせないように、受付のおっさんから日給を受け取った。
「これがテメェの給料。」
俺はかなり働いたので、日給もその分かなり期待していた。そして、もらった金を封筒から出して確認をする、、、
「520G!? 少なすぎる。 おい。おっさん、ハローワークでは800Gって見たぞ!」
「うちは年功序列制度。 帰れ。」
俺は虚しさを感じ、横にいた女の日給をみた。
1、2、3.100G!?俺は劣等感を感じ腹が立った。
「おい。 お前、なんでそんな金が貰えたんだ? このおっさんとそういう関係なのか??」
「バ、バカ言わないで! 私は一流の戦士になるために、お金貯めていて、8年この仕事に就いてるの。だから、あなたみたいな新米とは違ってこのくらい貰って当たり前なのよ。フンッ!」
「8年もこんな仕事を続けるとはご苦労なこった。」
俺はそこまでして、戦士になりたいのかと、呆れてその場を去り、家に帰った。
「ただいま。」
家を入ってすぐ、玄関に親父と母さんが涙を流しながら俺を出迎えてくれた。
「富成!お前は本当に成長したな!父さん嬉しいぞ!グスッ。グス。」
「そうよ、富成あなたは成長したわ!グスッ グス。疲れてると思うから、早くお風呂に入りなさい。」
俺はとりあえず母さんに言われて、風呂に入った。
明日は試験に向けての練習をしようかな、、、。
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