魔王様。初めの村へ来るのはやめて下さい。

kuroodin

序章 冒険前編

第1話 仕事探し

 俺はたくさんの"理不尽"を知っている。例えば、なにもやってもないのに急に上司に怒られたり、恋愛では顔で判断されたり、血液型で性格を判断されたりと、まだまだあるが、、、今、俺、西木富成は、人生最大の理不尽と遭遇してしまった、、、。



 最初の村を出た俺の目の前の草むらに魔王が立っていた、、、。



 

 

 俺は西木富成。まだ無職で独身の引きこもりだ。俺は今日も家に引きこもり23年。生まれてから今日までずっとこの家の中。この家が俺の友達といっても過言ではない。たまに買い出しで外に出るくらいで親の小遣いで生計を立てていた。どの世界でも引きこみはいるだろうと、自分に暗示をかけ親には散々働け、働けと言われてきた。そして、今俺は毎日欠かさずにやっている、携帯ガラケーゲームのログイン報酬を受け取っている最中であった。

 携帯はこの世界感を壊しているような気もした。


 「コラッ! 早く働け! バカ息子!」


 いきなり親父に殴られた。


 「何すんだよ。親父! 」


 「お前。今日中に、仕事を見つけれないと、この家から出て行ってもらうし、晩飯も抜きだからな。」

 

 「分かった、分かった。じゃあ仕事見つけるだけね。その前に、今月の小遣いちょうだい。」

 

 再び親父に強く殴られた。


そして、俺は今日初めて村のハローワークに行くことに決めた。


 


 「あのー、、、俺にできる一番給料の高い仕事ってありますか??」


 「ちょっと履歴書を見せていただけますか。」


 俺を担当してくれている男は眉間に皺を寄せ、深く考えている様子だった。

 

 「年齢23歳。 幼退。独身、、、。うーん、、、。」


 男はどんどん俺の個人情報を周りに晒していく。

 そして、少し時間が経ち、俺にもできる給料の高い仕事をいくつか紹介してくれた。


 ・鍛冶屋の手伝い 1,200G

 

 ・民家の家事   1,300G


 ・貼り紙      900G


 ・ビラ配り     900G


 ・村の清掃     800G

 

 ・下級冒険者   2,300G

 

 迷わず俺は下級冒険者の項目に指をさした。すると、俺を担当してくれいている男は質問をしてきた。


 「別に構いませんが、役職別に訓練経験はありますか?」

 

 「いやー、、、 ないですね、、、。」


 男は俺に呆れた顔をして大きな溜息をついた。そして、男は下級冒険者のことについて説明してくれた。


 「いいですか、富成さん。この下級冒険者には役職分けがされていて、まず初めに、狩人、魔法使い、戦士、ヒーラーと基本4つの役職があります。因みに、富成さんのご要望はありますか?」


 自分は戦士がいいと思ったが、あまり筋力に自信はなかった。しかし、目は人一倍良かった。また、遠距離で攻撃すれば有利だろうという、単純な発想だった。

 

 「じゃあ、狩人でお願いします。」

 

 「分かりました。では狩人で話を進めてさせていただきますね。 狩人。 それは、弓を使い、遠距離戦で得意とされる役職、基本は味方の援護になりますが、別に狩人単体でも大丈夫だと思います。しかし、狩人には遠距離武器所持の認可が必要で、狩人5級の資格が必要です。また、富成さんは未経験だと思いますので、最低でも3年の訓練が必要でしょう。」


 俺はかなりめんどくさがりなので、このままニート生活を続けようと思ったが、また親に散々言われるのは御免だったので、一応、男に質問してみた。

 

 「因みにどんな試験なんですか??」

 

 「年に一度、村にある冒険者学校で的に十回矢を放ち、何本矢を当てれるかというものと、72時間の断食、24時間の座禅、基本短剣の使い方。そして、得意技の披露の5つの課題の総合得点で階級を定めます。」


 「あー。そうなんですね。ちょっとその試験内容は自分に自信が持てないので、明日また来て相談してもいいですか?」


 正直俺はめんどくさがり屋という性分だったので、こんなめんどくさい試験はご免だった。


「富成さん。あなたは独身でしょう。狩人1級までいくと王宮の舞踏会の参加資格を得ることができます。そこには多くの厳選された美しい女性しか参加できませんので、もしかしたら、、、。」


 「へぇー、、、 そうなんですね。ありがとうございます。」





  俺は今日から狩人の厳しい修行に励むことを決めた。

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