第12話 戦間期の大統領(第1次大戦終結~第2次大戦開戦)
第1次大戦から第2次大戦までの戦間期の大統領はいずれも共和党であった。
29代のウォレン・ハーディングは任期中に病死した。彼は自分に親しいものを閣僚、政府高官に登用したので、彼のもとでは汚職やスキャンダルが発生した。最も有名なスキャンダルはティーポット・ドーム事件*で、大統領がからむスキャンダルとしては、ウォーターゲート事件と双璧をなすといわれる.
*注 内務長官アルバート・B・フォールは、海軍保有の油田海軍保有の油田を、安く民間企業に賃貸した汚職事件。フォールは収賄罪で逮捕され、大統領顧問団の一員として初めて刑務所に服役することとなった。
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ハーディングの後を継いだのが副大統領だったカルビン・クーリッジで1923~29年まで職にあった。彼の大統領職中にアメリカ合衆国は著しい経済成長を遂げ、その期間は「狂騒の20年代」*と呼ばれている。排日移民法は彼のもとで成立している。
*注 「狂騒の20年代」禁酒法で始まり大恐慌で終わった。
大量生産・大量消費・大衆文化、今の生活スタイルがほぼ出来た年代である。20世紀前半、アメリカ資本主義は急速な発展を見せた。アメリカ合衆国の1920年代の経済成長の中で、大量生産・大量消費が行われ、アメリカ人は物質的な豊かさを経験した。それを牽引したのが自動車産業であり、フォード社のT型モデルがベルトコンベアシステムで大量生産され、価格の低下によって一般大衆が購入できるようになった。同時に関連した石油産業が急速に成長し、道路建設やタイヤ産業も興った。また月賦販売が一般化して、セールスマンが花形職業として脚光を浴び、宣伝業も一大市場となった。このような大量消費社会の形成を反映して、文化の面でもラジオや新聞などのマスメディアが発展し、音楽・演劇でジャズの流行のように大衆化が著しく、また新たな大衆娯楽として映画なども生まれた。1920年代は経済の繁栄を背景とした、「ローリング・トゥエンティ」といわれる現代大衆文化が開花した時代でもあった。
ガソリンスタンド、モーテル、摩天楼、タイプライター、トーキー、ダンスホール、チャールストン、「フラッパー」(現代娘)、ペッティング、チャールズ・リンドバーグ、ベーブ・ルース、失われた世代、アーネスト・ヘミングウェイ
これらはこの時代を象徴する流行や言葉や人名である。
次のハーバート・フーヴァーは1929年3月4日に行われた大統領就任演説で「今日、われわれアメリカ人は、どの国の歴史にも見られなかったほど、貧困に対する最終的勝利日に近づいている……」と語った。その年の10月にウォール街の株価大暴落が起き、アメリカは未曾有の大不況に突入する。フーヴァーは「不況はしばらくすれば元の景気に回復する」という古典派経済学の姿勢を貫き、政府による経済介入を最小限に抑える政策を継続した。大恐慌になんら手を打たなかった大統領として評価は最低ランクである。
そこで登場してくるのが民主党のフランクリン・ルーズベルトである。
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