第2話 鬼柏田植え踊り

「あ、そう言えば今日は鬼柏田植え踊りの練習日だよね〜」とニナは言う。

鬼柏田植え踊りとは、田植え作業をモチーフにした芸能である。

鬼柏では、源内棒テーテーツキと中太鼓、早乙女さおとめに影太鼓を鬼柏継承部のメンバーが担当し、寄せ太鼓や太鼓以外の楽器の演奏、歌などを地域の方々である鬼柏田植踊保存会の皆さんが担当している。

保存会の皆さんと学生の年齢差は、まさしく祖父母と孫のソレである。

以前は、学校で学生達だけで練習をしていたのだが、現在はそれなりにちゃんとできるようになった為、若篠宮公民館で練習をしている。

ちなみに、俺は運動オンチなので、踊りではなく影太鼓をやらせてもらっている。

役割が決まっていて、ニナが継承部としての活動にあまり積極的ではなかったため、マネージャーとして頑張っている。

…欠員が出た時は、その人の分をやらなくてはならないということになっているので、大変そうだなとしみじみと感じている。

田植え踊りと言うのは、若篠宮の近くでは、八ッやんべ木本きもとなどにも存在する。

各地区の田植え踊り毎に、踊りや歌詞、リズムや口上こうじょうが異なるのが面白い。

何故、田植え踊りにおける差異が生じるのか調べてみたいと思っている。

実は、若篠宮と言うのは地区名…というかは地名のひとつであり、地区の名前は吉木館よしきだてと言う。

明治の町村合併により、当時の吉宮よしのみや、木本、南部館なんべだて三村さんそんのそれぞれより1文字ずつ取って付け、吉木館村となり、昭和の市町村合併により、吉木館地区となった。

以前の人口は3千人程度であった。

現在の地区の人口は、約1万9千人。吉木館小学校はマンモス校であり、なんと児童数が1000を超えるのである。

この地区には、様々な伝承があるのだが、それはまた後ほど話したいと思う。

-続く-

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