2
2
雲一つない快晴、絶好の旅立ち日和の空の下で……。
「ぎゃぁぁぁぁ!!! ツクルさん!! 助けてツクルさぁぁぁん!! ヘルプミーっすよ!!」
巨大なGと名のつく昆虫達から逃げる、『問題』と言う概念しか生み出すことしか脳がない宇宙人の少女がいた。
追いかけてはいるものの、購入した馬車を引っ張っている『パリカール』と言う名の馬と、同速で走っているからか追いつかない。
俺たちは今、スターラインから『サンタロール』と言う街を目指し旅をしている。
スターラインで受けた輸送クエストも兼ねて、宇宙船修理に役立ちそうな資源と技術を見つける為に。
旅立ってから1日半後にこの『ビッグ
ちなみに体格もそうだが、こいつらはただのGではない。
動きは通常のGより鈍く、かじる力は無くなって丸呑みする捕食方になっている。
だが全長5mの体格を誇り硬度も並の岩を越えるほどの。
繁殖期になると群を作り、食って体力づくりするため街を襲撃してくるなんてこともあるらしい。
家畜の山羊なども丸呑みに出来るため、人なんかも余裕で丸呑みに出来るであろう。
現に街と勘違いし襲撃を受けた村の人が全滅すると言った報告もある。
見た目はデカすぎるGだが、スターライン近辺にいた弱いモンスターとは比べ物にならない危険なモンスターだ。
ちなみにそのG共の皮を用いて作った武具は、鉄で出来た武具より質がいいらしい。
これは俺の仮説だが、あのGには大量の鉄分が含まれている。
「ねぇ、やっぱりチリのステータス、何かの手違いだと思うの。一応馬車はこれで全速力なのよね? それでも追いつけないほどGは早いのにその追撃から逃れてるって、俊敏性は少なくとも絶対B以上あると思わない?」
「生まれた時から逃げ足的なスキルをを所持してるんだろきっと」
「呑気に話してないで助けてくださいっすよォォォ!!」
呑気にチリのステータス談議しながら、今も追いかけてる俺たち。
元を辿れば今逃げてるお前が勝手に一人で寄り道した挙句、修理に使えるかもと言って孵化前の卵を持ってきたのが全ての元凶だろうが。
しかも赤外線スキャンで調べたら使い物にならないどころか、手を滑らせて卵割るし。
そんで出てきたG見て気色悪いって騒いだあげく、エクレシアの腰元にぶら下がってる剣を勝手に抜いて滅多斬りだよ。
そこを運悪く親のGが見たら一斉に襲いかかるのも当然だわ。
G1匹見たらあと30匹はいると思えってこう言うことだね。
っと思っていたら、エクレシアが突如何かに反応する素振りを見せる。
「どうした? 上の空のような顔して」
「うん、なんかあっちの方角から膨大な魔力が……」
魔力? 誰かがG狩りでもやってるのか?
そんな中、一匹のGが途中で足を止めた。
そしてエクレシアの言う方角へと歩んだ後、パクっと何かを口で加える。
口元からぶらんと赤いものが見える。
エクレシアも気づいたのか、一緒になってよくよく見てみると、人の足だった。
しかもその足は、ビクンビクンと震えている。
っていうことは……。
「人だぁぁぁぁぁーーーーっ!!?進◯の巨人のモブ的な食われ方してる人がいたぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!?」
俺とエクレシアは一斉に飛び出し、Gが捕食している人を救出した。
「ぐずっ、えぐっ、ううううう……」
エクレシアの一撃でぐったり倒れているGの隣でうずくまり、口の中の粘液でベタベタになりながら泣きじゃくる一人の少女。
見るからしてチリと同じ中学生くらいの身長でピンク色の長いツインテール。
黄色いロリポップ衣装を着て、Gの粘液により全身ヌラヌラとテカらせている。
「もう大丈夫よ。怪我はない?」
「ぐずっ……、誰か知らないけど……、ありがとう……、わあああーーーー!!!」
「え!?……あ、ぐぁ……、こ、怖かったわよね……」
助け出した少女は、エクレシアに飛びつき大声で泣きじゃくった。
エクレシアは何も言わず少女を笑顔で受け入れたが、口元が妙に引きつっていることから我慢してるんだと思う。
なんとなくわかる、だってこのロリ、Gの粘液が原因で生臭すぎる!!
「とにかくすぐ戻りましょ! 急すぎる事態だったしチリより危険っぽそうに見えたから最初に助けたけど、このままだとチリもGの餌食に」
ちょっと引きつった顔しながらも、冷静に仲間を助けに行こうとする勇者エクレシアさん。
だけどさっきのドタバタでかなり距離ができてしまい、今追いかけても間に合うかどうかわからない。
いや、寧ろ既に食われてるんじゃ……。
っと思っていると、エクレシアに泣きついていたロリ少女が、急な何かを思い出したような素振りした後離れる。
「妹は!?アタシの妹はどこ!?」
「え?妹ですって?」
「ええ、アタシら姉妹でパーティー組んでんだけどさ、この一帯にいるビッグG討伐するクエスト受けてて、アタシが魔法で全部吹っ飛ばすまでの準備が終えるまでの時間稼ぎを頼んだんだけど!?」
……なぜだろう?嫌な予感しかしない。
”お約束“と言う言葉を思い浮かべた俺は、すぐさまチリが逃げた方角を振り向いてみると、そこは既に大量のGが群がっている。
その群れの中にチリも混ざっているが、殆どのG達に踏まれ蹴られと、こうなったのもあいつの自業自得だが、捕食以上に酷い目に合わされている。
「………!! ーーーー!! ……ー……ーー!!!」
チリの奴、必死になって叫び続けているけど、そこからある程度距離があるのとG共の足音などでかき消されて聞こえない。
だけど『助けて!!』って言っているには違いない。
それにしてもこんなの見たらエクレシアはすぐ突っ込んで助けに行くと思っていたけど、どう言うわけか疑いの目で1匹のGをじっと見つめている。
「ねぇ、あれ何かしら?」
見つめているGの口元を指差し、俺は視線をそのGに向けてみると。
ビクンビクンと震えている一本の一足が……。
「アタシの妹の足だァァァァァ!!!」
エクレシアはすぐさま捕食しているGと袋叩きしているG共を倒し、気を失っているチリと修道士ローブを着た少女を救い、みんな一緒に連れて夕暮れ頃サンタロールに辿り着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます