第3話
俺がそう言った瞬間、二人の顔がどんどん蒼白になって行った。なんだったら俺も俺で「やっちまった……っ!」的な感じで顔からどんどん血の気が引いていくのを感じた。
なぜ俺はこの2人がまふこはだ!とか言ったんだ俺は!?いや、確かに気付いた口からこの言葉出てたよ?でも今言わなくてもいーじゃーん!?おれぇ!!
教室の空気がめちゃくちゃ悪くなる。
「……お、お願いします……」
犬山さんから、ポロポロと涙が出てきた。
「お願いします……、どうか……どうか……この事は誰にもーーーー」
「お願いします!絶対に他言無用するのでどうか訴えないでください!!!!」
と、俺は犬山さんが言葉を言う前に見事なジャンピング土下座を噛ました。思いっきり地面と額が当たってめちゃくちゃ痛かった。
いや、ほんと!お願いします!!ニョロライブに報告されて、その結果この二人がライバー活動辞めることになったら、損害賠償やべーぞこれ!!俺まだ生活破綻したくないんですぅ!!!
「ほんの出来心だったんです!!毎日毎日聞いている声にあ、なんか似てんなーとか、なんか既視感あんなーとか思ってもしかして……だなんて思って発言した俺が馬鹿でした!ほんとすいませぇぇぇぇん!!!」
俺の無様な声が教室中に響く。
「おい!うるさいぞ!一体なにやって………る……」
俺の大声に反応した担任の教師が慌てて教室に入ってきたが、この現在の光景を見て硬直した。
現在、俺、二人に対してジャンピング土下座。犬山さんと冬城さん、抱き合ったままぽかんとした顔で黙って俺を見つめている。
そこから出した担任の結末はーーーーーー
「…………………」
ーーー黙って見なかった振りでした。
……なるほど、先生。これはきっと先生が俺に与えてくれた更なる謝罪の時間なんだろう………分かった。それなら俺は、もう一度謝罪の言葉を口にしよう!!
「この度は誠にーーー!!」
「ちょ!!ストップ!お願いだからストップしてー!!」
「ゲボっ!?」
まだまだ謝罪の言葉を口にしようとした俺に、犬山さんが何を思ったか突進してきた。急な衝撃に勿論、耐えきれることはなく、俺は情けなく痛みに悶えながら床に倒れ落ちる。
「……マズっ!!」
あとなんか犬山さんが土下座状態の俺に横から突進してきたため、このままだと犬山さんも地面と強く衝突事故させてしまう!怪我だけは!!まふこはファン古参勢としてさせる訳にはいかない!!
どたん!!と今度は大きい物音が響いた。
「い、いたたた……」
「こ、小鞠!?あなた、急にどうして突進してーーーー」
「こ、今度はどうし………た……」
さて、現在の状況を確認しようか。
俺、床に背中をひっつけるような形で、犬山さんを怪我させないように下から肩を支えている。
犬山さん、多分これさ、客観的に見なくても俺にのしかかってるよね。
さて、先生が取った行動は!!
「………………………」
はい、黙って教室のドアを閉めて出ていったです。
「………とりあえず、一旦落ち着きましょうか、私たち」
異議なし。
席に座り、一旦まともな思考ができるほどに落ち着いた俺は、まずやっぱり二人に対して謝罪をした。
「その……本当にごめん」
「ううん、いいよ。その、私たちもかなりやらかしたし……」
「そうね、だから氷川くんが謝る必要は無いわ」
と言ってくれる。
「いや、でも………」
ライバーにとって中の人がバレるというのは結構それなりヤバいのである。
「いいから、それに、氷川くんは言いふらすなんてことしないでしょ?」
「そ!それは勿論だ!まふこはの名にーーーいや、俺の命をかけてそれは保証する!」
もし二人の正体がバレたら責任取って腹切ろう。介錯してくれる人って今この時代いるのかな……。
「そ、そこまでしなくても大丈夫だよ!」
「いや、この件に関しては、そこまでしないとダメだ。それは俺のまふこは好きである意地なんだ」
俺にとって、まふこははある意味恩人なのだ。もしこれが原因でまふこはの2人が引退したら絶対に俺は命をポイ捨てする自信がある。
「とにかく、俺はこの事実、誰にも言うつもりないし、言いふらすこともしない……信じてもらえるかどうかは分からないけど………この通りだ」
俺はもう一度頭を下げる。
「………分かったわ。そこまでされるなら信じるわ」
「ほ、ほんとか!」
「ええ…その代わり、1つ質問があるのだけれど………」
なんだ?この際もう全部応えるから。
「その……あなたがまふこはを知ったのはいつ頃からかしら」
と、冬城さんが質問をしてきた。
「俺がまふこはのことを知ったのは5月で、まだまふこはのチャンネル登録者数が5000人未満だった時だ」
「え……めっちゃ古参勢なんだ」
「そう……デビューしてからのファン……ちょっと嬉しいわね……」
と、何やらモジモジしだしたお二人さん。
おや……なんかめちゃくちゃ可愛くないっすか?
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