第2話

 さて、俺がなぜこんな絶世の美女で、しかも今人気のてぇてぇカップリングである二人とこんなに仲良くなってしまったのには、エベレストよりも高く、マリアナ海溝よりと深い事情と理由がある。


 俺がまふこはの二人と出会ったのは、まだチャンネル登録者が5000人のときだった。その時の俺は、初めての一人暮らしで色々とストレスが溜まってしまい、勉強にも手につかなかった時、ヤケになってサイトを開いている時に、この二人を見つけたんだ。


 Vtuber?なんそれとか思いながら興味本位で開いてみると、なんとそこはてぇてぇワールドが広がっていた。


 可愛い声、可愛いイラスト、トドメになんと自然とニヤついてしまう二人の絡み。


『抱き着いていい?』


『ん、いーよ』


 もうダメだった。ただの雑談ラジオらしかったが、俺はこの二人の可愛さに心底惚れーーーハマってしまったのだ。


 調べていると、なんとニョロライブという、女性Vtuberだけが所属している所に所属していると知った時はビックリした。


 さて、ここからが本題なのだが、まふこはの事を知って5ヶ月。一人暮らしにも完璧になれ、新しい環境にも完璧に順応した時、とある事故が起きてしまった。


 この学園に入学してそうそう、付き合いたい女子ランキング(友達調べ)同率トップを取ったクラスメイトである、犬山小鞠と冬城寧々子、そんで俺がたまたま休んでいた時に、何やらグループ活動があったらしく、教師に『皆やったからお前らもやれ』という、ありがた迷惑なお言葉を貰い、しぶしぶ放課後に居残っていたのだ。


 少し………というかあまりにも俺達の間には接点はない。犬山さんと冬城さんのの方はいつも休み時間にゆるゆりワールドを繰り広げているから問題はなかろうが、その中に俺という不純物が入ってしまった。


 ………不安だぁ……とても不安だなぁ………。


「えっと……氷川くん……だよね」


「お、おう……」


 急に話しかけられてビックリした。待って、可愛すぎて目を合わせられないんだが。


「よろしく、氷川くん。知ってると思うけど、冬城寧々子よ」


「犬山小鞠です!よろしくね!」


「ひ、氷川裕翔です……」


 今まで、俺はこの二人と会話をしたことがないため、物凄い緊張をするのだが………。そして、案の定、俺をほっといて二人の空間を作り上げる2人。まぁそりゃそうだよね。態々あんまり親しくない人と話したくはないもんね……。


 と、その時、俺のポケットからスマホが電話を知らせるメロディが鳴った。それは、この前まふこはの二人が歌ってみたで出した曲で、あまりにも好きすぎて着メロにしてしまったのだ。


「ちょっとごめん」


 二人に断りを入れて電話に出る俺。


 俺は、ついついこの2人が好きすぎて切り抜き動画を編集してあげることをしていたのだが、ちょっと忙しい時には、誰かに編集を頼む時があるのだ。


 相手は、同じまふこは好きの同士。Twit〇erでたまたま知り会い、こうして電話番号も交換するほど意気投合した。


「もしもし」


「もしもし、氷川氏でござるか?」


「おう、俺だ」


 相手は、語尾にござるとかつけているが、これは完璧にキャラ付けである。


「氷川氏に頼まれていた仕事、終わったでござる」


「おう、お疲れさん。後でDMに動画送っといて」


「承知。それではまた、まふこはのライブで」


「おう、またな」


 と、通話を切った。今日夜9時からまふこはの生放送があるので、スパチャの準備しておかないとな……。


「ごめん、二人とも、今電話終わーーーーーうおっ!?」


 振り返ると、二人の綺麗な顔が物凄い目の前にあった。


 え?なになに!?なんか俺されちゃうの!?


「……い、今の……」


「ん?」


 冬城さんが、唇を震えさせながら言った。


「今の……わたーーーーんんっ、まふこはの……?」


「………へ?」


 ビックリーーーーいや、唖然といったほうが正しいな。だって、まさかこの人からまふこはという推しキャラの名前が出てくるとは思わないかった。


 ………てっあれ?なんかこの声すっげー聞いたことある気がするんだけど……というか、耳元で毎日聞いているような……。


「す、すごいね!まふゆ!私達のことを知っている人がいたよ!」


「え、えぇそうねーーーーっておバカ!」


「…………え?」


 ……まふゆ?このお方は寧々子さんではないの?………ってあれ?私達………?


 そういえば、さっき冬城さんもなんか言い直してたよな………わた…とかなんとか。


「……………あっ」


 ガッシリと、点と点が繋がった。


「……も、もしかして……まふこはのお二人……」


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