〈3〉ガチでマジわる最終日
「……寒くないか?」
「……うん。
……
「……パジャマ、着てるし」
「……そうだった。
私が買った、着せたんだった」
体育座りをし、
そのまま、目のやり場に困っていると、不意に「ねぇ」と、
「ごめん。
やっぱ、寒い。
……暖めて」
「……それ、って」
「つまんない質問したら、キルから」
「服を!?」
「は?」
「わ、分かった、悪かった!」
キッと鋭く睨まれたので、慌てて移動し、雪山の遭難方式で。
後ろから、
「……
この期に及んで、
恥と一緒に、服も迷いも捨ててよ。
ここまで晒してるんだから、シて
それどころか逆効果、失礼だよ。
そんな調子で
「……ごめん」
「
ともすれば、私よりネガティブだよね。
私が近くに
さもなきゃ、誰とも結ばれなかったよ」
「そしたら、
「は?
私の
そんなの絶許だし、私が
「すみません、嘘です
どうにか、痛みから解放された。
あ、あぶねー……。
「……もう
「……卒業式で、
……
……ねぇ、
私、君達の
そこまで、ここまで、心を開けたよ。
本当に沢山、傷付けたし、振り回したけど。
それでも二人に、背中押されたよ。
二人だって今頃、苦しんでるのに」
「そう、だな……」
分かってる。
俺も、
俺を送り出す際に
そこにはきっと、
俺達は、それ
なのに、
二人が慰め合ってる最中に、本格的に恋人同士になろうとしてて。
挙げ句の果てに、今朝までの
こんな傲慢な拷問を、実行しようとしてる。
恋人としての俺を、そこまで二人は求めていなかった。
確かに、それは間違いではないだろう。
二人の本命の俺は、『同士』と『最推し』だ。
けど……
どうしても、思ってしまう。
もしかしたら二人も、去年までの俺と同じなんじゃないかなって。
あわよくば、俺と恋仲になりたがってたんじゃないかって。
俺がその気になって、こっちから告りさえすれば。
もしかしたら、そういう可能性も、ワンチャンだったんじゃないかって。
だって、そうだろ?
じゃなきゃ、実験も実践もしない。
デートなんて手間暇挟まずに、俺に自分の願望を押し付けたり、別の候補を見繕えば済んだ話じゃないか。
それなのに、二人は合わせてくれた。
趣旨は違えど、本気で俺をオトさんと奮起してくれた。
俺達を、次のステップに、ステージに進ませてくれた。
自分達だって、それ相応に深手を負わされたのに。
だからこそ。
二人の思いに応える
俺達は今日こそ、今度こそ、ケジメをつけなくてはならない。
それが二人に対する、今の俺達の
そう、思いたいから。
「だから……もう、
二人は私を、私達を、許してくれたって。
私は最低限、義理を果たしたって。
そう、
君に、私の
「……どっちかってーと、俺じゃね?
俺が今から、
「そうだけど」
「否定、しないんだ?」
「そんなの、したくないし。
それ以上に、されたくない」
俺の手を操り、タオル越しに。
赤面しながら、必死に声を我慢しているのが、
そのまま、湯気でも出そうな顔で。
几帳面な彼女にしては珍しく、服の方は、やや雑に置いて行く。
「そんなの、後で
少し前までの、私と同じ。
俺の注意を引き付け、にじり寄り、生々しいキスで攻撃し。
勢い良く抱き付き、倒して来る。
「ねぇ。
電気、どうする?」
「『点ける』一択」
「
恥ずかしいじゃん」
「だって、
てか、じゃあ
「後で文句言われない
「
「女々しい男」
罵倒し合い、軽く頬を抓り合う。
余談だけど。
行動に反して、
「別に、『消す』でも
そしたら
「それ盾に取る方が、恥ずかしくない?
あと、やっぱまだ羞恥心、捨て切れてないじゃん」
「ギリ一張羅だからな。
衣服、捨て去ってないからな」
「課金制度持ち込むなぁ♪
そんなの、ひん剥いてやるぅ♪」
「きゃー。
「遅いよ?
知るの。
どうせ、
こうして俺は、
いや、順序おかしくない?
布越しに、手取りとはいえ、揉む所までは行ったのに。
「あーあ、残念♪
とんだ悪女だなぁと、再確認した。
「逃げるかよ。
お前じゃあるまいし」
「私だって、もう逃げないよ。
だって
「お前の、底意地と
「あはは。
かもね。
でも、そうだよ。
私、また逃げちゃうかも」
「心配
その前に先読みして、俺がお前を逃がさねぇ。
何度だって、とっ捕まえてやる」
「そっか。
それなら、安心だね。
私が、
Win-Winだね」
「少しは、残ろうとしろよ。
結構、大変なんだぞ」
「保証は致し兼ねます。
私だって、
好きでこそあるけどさ」
改めて見ても、意味不明な関係
sumik◯のL◯VERSみたいだ。
でもさ……ここまで、来たんだぜ?
こんな軽口でさえ、叩けるまでに発展したんだぜ?
俺達さ。
互いに、迷惑掛け合ったけどさ。
その
今度こそ、
もう、大丈夫だろ。
「ねぇ、
私も、
私はもう二度と、君を手放さない。
君が、私に素直で、一途でいてくれる限り。
私は、君を信じ続ける。
君
君にとって、そういう存在でありたいと、思ってる。
その
俺の前で無防備になり、こちらに両手を伸ばし、
最後の一枚……。
心の壁を、取っ払ってくれ、と。
ここまで来て、されて、「
そんな
俺は、おずおずと、彼女のタオルを剥がし。
彼女と出会って、2年。
プライベートでも会う
俺は、理想郷に。
一糸纏わぬ
「えいっ」
起き上がり、無邪気にパフパフして来る
そのまま、俺の頭を撫で、褒めてくれた。
彼女に認められ、求められたのだと、改めて実感した。
と同時に、悟った。
こんな
「……
決意は、定まったらしい。
ハグから開放し、まだ照れは隠せずにいるが。
正面から、告げた。
「『優しく、して』ってのが。
こういう時、決まり文句だけどさ。
それを踏まえた上で、言うね」
俺を道連れにして倒れ。
バーストの感触をダイレクトに届けながら、
「『優しくなんて、しないで』」
「私……
君を生かす、君に愛される、使命も
けど……君に、手加減されたくない。
特に、今は」
「でも……」
「……平気。
私だって、その
入念な準備は、施して
アフター・ケアだって、きちんとする。
だから……ね?」
「……っ!!」
……してたんじゃん。
やっぱ、準備。
しかも、入念に。
バッチバチに、添い遂げる腹だったんじゃん。
俺の
意識して、くれてたんじゃん。
「きゃっ。
もぉ……」
思わず、飛び付いてしまった。
「俺……
やっぱ、お前を選んだ俺は、間違ってなんかない。
俺には、お前しか
「今の、
なぁに? 今更。
私にだって、
「……お前の
「あはは。
すっかり、私にご執心だねぇ。
この分なら、もう逃げる必要
ご愁傷様」
「
……ひっでー女……」
人が、こんなにバグらされてるのに。
こんなにも、飼い慣らされてるのに。
首輪もリードも
それ見て、笑ってやがる。
とんでもねぇ堕天使だ。
「ねぇ、
どっちから、挿入れる?
私、先に
「
俺からに決まってんだろ」
「へたれろ、ダメンズれ、忠犬」
「いつまでも『待て』強いてねぇで、とっとと
「じゃあ、代わり番こね。
「だから、俺からだってんだろ」
「ねぇ
どうせ、結果は同じでしょ?
早く、シようよ」
「『ニアカノ同盟』設立後の初対面で、
てか、回数は違うかもだし、気分とプライドの問題だ」
「今それ、関係
変な上げ足取らないでよ、おバカ。
交代制導入した意味
「後退して挿入する意味もな」
「もげろ」
「
「治す」
「
「ちょっとは興味
「悪いか?」
「ダメカワ」
色んな意味で、
どっちも裸にまでなって、いつまでも
いつもとノリ変わらなさ
この、『大人と子供の中間』みたいなやり取りは。
確かに『高校生』って、それ
「
じゃあ、交換条件」
バーストを寄せながら、
「もし、私に最初を譲ってくれるなら。
好きにして
私の、双丘」
「……上だけか?」
「『だけ』って
恋人、女として現状、最大限の譲歩だよ。
無実で、無料で
これでも私、形も色も感触も香りもサイズも、割と自信
しかも、VRで眺められるんだよ。
クリームとかフルーツとか、リボンとかも使っても
私の宝石を、押して、弾いて、摘んで、吸って、舐められるんだよ。
「んな、勿体
「少しは私を案じろ」
最愛の人に、ここまでされて。
折るべきは、心か、体か。
そんなの、考えるまでも
こうして数分後。
キラッキラした
1回戦を終えたら、さっさと寝落ちしちまいやがった。
おい、こら、
※
「『触らせてくれる』って言ったよな?
お前、
てんで、触れさせてくれなかったよな?
んで、自分だけで味わい尽くして、張り切り過ぎた結果、病弱でもないのに、速攻で、正体も
「
別に、『初回から』だなんて、一言も言ってないよ……?
てか、起き抜けは勘弁してよぉ……」
「『次回からは』、ともな。
あと、一抜けといて、ほざくな」
「分かってるじゃん」
「
事実上!!」
「おっ。
よく
「て、
こっちが今まで、どんだけ我慢してたと思ってんだよ……。
一刻も早く追求、再戦したくて、お前が起きるの、寝ずに待ち続けてたんだぞ……?
起こすのも忍びないし、電気消して、ずっと手は出せずに、据え膳食らわされてたんだぞ……?
それでいて、ちゃんと体を拭かされたり、
ベッドに戻った
こんな仕打ち、初体験、ピロー・トーク
「ごめんってば。
でも、許してくれるでしょ?
「そりゃ、まぁ……。
……好きだから、な」
「うん。
……私も」
俺の上に乗っかり、ピタッと張り付き、爆弾を押し付ける
まだ
空かさず、俺の顔を正面に戻し、
「私さ……
「別に、そんな気にしてないって。
それ補って
「そうだけど。
それだけじゃなくって」
「お前、自信付け
「『客観的に見たら、そうかな』って。
ただ、ぼんやり思っただけだよ」
ツッコミつつも、
月明かりに照らされた彼女は、実に美しく、艶やかだった。
「『
そう、
「あー……」
3人で、ラジオやってた時の……。
「あれ、当たってるんだ。
私、
決して、自分の手を汚さまいと、自分だけ安全圏に永住しようとしてる。
その
大切な君
まるで、カミキヒカ◯かディアボ◯だね」
神妙に自嘲しつつ、
「そこら辺、
あの子、『メグ先輩』とは呼んでるのに。
私は、そうじゃなかった。
それでいて、探ろうとして、近付いて来たりもする。
君と
私も、そんな彼女を
今でこそ、どうにか丸くなったけどさ。
「そんなレベルじゃないけどな。
ガチで破綻しかけてたけどな。
フォロー大変だったけどな」
「その説は、御迷惑お掛けしました。
まぁ
「お、おう……」
これは、あまり突っつかない方が吉か。
「
君達も、似てるからな」
「確かに。
揃いも揃って、ペシミストだもんね。
でも、その実、似て非なるんだ。
それでいて、
意図的に、周囲を振り回したりしない。
でも、私は違う。
突発的で、嘘
だからこそ……君に選ばれるべきじゃないと、思ってた。
「
だから、俺に見初められなくても、そこまでショックは受けなかったかもしれない。
けど、
あいつは、少し違う。
俺を『最推し』『相棒』『偽兄』として慕い。
図らずもとはいえ、結果的に俺は、そんな
いつ死んでも
そんな
今となっては、それ以上に、生活面で
役割の重さ、数、入れ込み具合とて、大差無い。
最後に明暗を分けたのは結局、俺の気持ち。
だからこそ、不思議で、不安で
「
拠り所も見付けられるし、働けるし、程々に息抜き
けど、君は違う。
俺が助けないと、君は本当に死んでしまう。
俺みたいな
今日とか、いつにも増して、顕著だった。
逆に言えば。それ
それに、声も見た目も性格も趣味も俺好みで、
他は、昨日も言った通り。
俺にだって、
けどさ。理屈じゃないからこそ、『好き』って
俺は、説く。
「本当の所なんてさ。
俺にだって、未だに不鮮明だよ。
その答えなら、これから二人で、ゆっくり探って行けば
それじゃ、
「……ううん。
安堵し、俺の胸に手を置き、涙を流す
もう平気そうだ。
「……
今、好きな所を列挙されても。
多分、信用には至らなかった。
こんなタイミングまで、君と一緒だ。
だったら……君を、信じられる。
やっぱり、君で
隣に転がり、腕組みし密着し、
「私さ。
昔から、お母さんとお父さんに憧れてた。
だから、ずっと思ってたの。
いつかは私も、二人みたいに、立派なお医者様になるんだって」
「うん」
「で、小学生になる前だったかなぁ。
自主的に医療ドラマとか観て、勉強してたらさ。
思ってた以上にグロくて、ハードで、具合悪くなっちゃって。
同時に、茫然自失になった。
それからだよ。私が、とかく自信を
サポーターに徹するようになったのは。
そっちのが、性に合ってたし」
「……災難だったな」
「確かにね。
でも、悪い
お
それに、
けどさ……まだ、トラウマではあるんだよね。
そういえば。
俺が頭を打った時とかも、かなり心配し、甲斐甲斐しく看てくれていた。
あれは、その表れだったのか。
「白衣の堕天使だって、そうだよ。
動画なら、画面越しなら、コメントだけなら、そこまで血を見ずに、苦しまなくて済む。
間接的な、
自分が誰かを傷付けるのも、その
だから、『堕天使』なんだ。
ううん……
堕天使にして、ペ天使。
皮肉にも、それは彼女という人間を表すには、しっくり来
俺もちょくちょく感じていた、キャッチ・コピーだった。
天使っぽいのに、闇落ち多くて、策略家。
これでは、そう呼ばれても逆らえない。
けど。
「
それで」
「今は、多様性の時代だ。
医療系の配信者だって
大方、君の
ノリや思い付きだけで、決めた
「そりゃ、まぁ……そうだけどさ」
「おまけに、君はビジュアルも性格も声もウケる!
VTuber路線だって、
そもそも!
「その頃には、結婚してるよ?
還元
あー、でも……既婚者って、イメージ悪いかなぁ」
「いや。
後々スキャンダるより、最初からオープンにしてた方が好都合だろ。
それに、『人妻』って属性もバズると思うぞ」
「むー。
旦那様としては、少しは嫉妬、心配して
「
リモートなら、
しかも、俺の最高の嫁を、全世界に発信、共有
俺にとっては、旨味しか
「オバカレシ」
危うく手を出しかけたが、
「でも、まぁ。
そうだよね。
未来は、分からないもんね。
憂いてばっかいても、詮無いよね。
「ああ。
その意気だ」
笑ってくれた辺り、リラックスは
「それに、言ったろう。
何度だって、俺が君を逮捕、束縛する。
君が、俺を拘束するのと同じ
大丈夫。
今日だって、難なく実演、実行してみせたろ。
クールだろうと、熱血だろうと、極寒だろうと、激痛だろうと、コミカルだろうと、任せてくれよ」
「……そうだね。
ありがと、
惚れ直したよ」
俺の唇にキスをし。
油断し切った表情と無防備極まれりな格好で、
結果。
またしても、俺は負けた。
それも、今度は戦わずして。
数分後。
今日は
デートやプランの選択肢を広げられるし。
※
1時間後(ベッドの上の時計が示していた。)。
妙なレーダーに導かれ、目を覚ますと、
俺の服を握り、縋り付いていた。
「……
どうしたんだ?」
「……怖いの。
幸せ
報われ
全部……単なる夢だったんじゃないかって……。
なまじ、
起きたら……今の
また、遠ざけなきゃいけないんじゃないか、って。
まるで、
不安がる
彼女の頭を撫でてから、俺は
「……大丈夫。
全部、現実、真実だよ。
至れり尽くせりで、一途で一人な、一介の高校生。
正真正銘の、
だから、安心して」
「……
嘘じゃない?」
「
「また眠れなくなったら、落ち着かせてくれる?
私と一緒に、徹夜してくれる?」
「
「……信じるからね?
嘘付いたら、針一億本だからね?」
「数え切れるのか? それ。
まぁ、好きにしてくれ」
「うん。
じゃあ、
もう少し、おしゃべり、
やっぱり、まだ、寝られそうに
「喜んで」
「それでさ、
本気で自堕落、奈落まで行きそう、壊れそうだから。
やっぱり、まだ抵抗、
もし、このまま、冷静になれなくて。
話すのさえ、飽きて、疲れて。
意識と体力の回復を優先して。
なのに何度、試しても、やっぱり眠れなかったら。
違う意味で、寝ても、
「……そこまで行ったら、もう俺を使ってくれよ。
お預けにも
「確かに。
じゃあ、その時は、お願い」
「超喜んで」
「現金だし、元気だなぁ。
それで、それで。
どんなお話、聞かせてくれるの?」
笑いながら、俺の胸に頬をスリスリしつつ、俺の腕を胸で挟む
ここまで求めて
にしても、一体。
これから俺は、
今、
その原因は、単に疲労困憊で眠かったり。
他にも。
裏方に専念して来たのに主役に大抜擢されて、サブ・ヒロインからヒロイン、
表舞台に立って、不遇じゃなくなって。
そのギャップに戸惑って。
とまぁ、こんな調子で。
俺が思い付くだけでも、これ
付け足せば、俺も俺で、普通ではなくて。
あの
けど、それを明かしたら、発狂なり落ち込んだり最悪、刺されたりしそうだし。
互いに、こんな状態で
そんな
「……俺さ。
2年
「面白そう。
「『ニアカノ』って、ラブコメ。
「あ……」
俺なんて所詮、読む専で。
AIや
ウイットとかアドリブ力、語彙力なんてチートさえ、持ち合わせていないし。
でも、
だったら、もう、こういう手段に出るしかないじゃないか。
俺が補強して書いた、小説を題材に。
1キャラとして、彼女の魅力を、余す所
……まぁ。
自分のラブコメ脳っ
こんな、「これは友達の話なんだが」的な感じでしか切り出せない辺り。
そこら辺の機微を、酌み取ってくれたらしい。
相変わらず、器用なんだから不器用なんだか、
「……知ってる。
ピンクの子が、地味な
「そう言ってやるな。
君が今ディスったピンクの子こそ、俺の本命、本妻なんだよ。
てか、それ言ったら、主人公だって中々、破天荒だろ?
その日の3種のラブ・レター添えだぞ?」
「そう言わないでよ。
私、主人公くんの
そもそも、あそこまで非常識じゃなきゃ、対等に張り合えないじゃん」
「『割と大好き』とかいう矛盾、好き」
「
嫌いな所だって、少なからず
今日、徹底的に思い知らされちゃったんだよ。
思ってた以上に、惚れ込んでたんだな、って」
さて、と。
時計を確認すると……現在、明け方の4時。
きっと、朝になる頃には、
つまり俺は、あと3時間
もしかしたら、途中で寝落ちするかもしれんし、
彼女の期待に最大限、応える
※
5時。
「
改めて考えると、
魔王とか魔女とか魔性とか、そんなレベルじゃないよ。
大魔王すら超越した、『
「だとすれば、主人公は
さしずめ、『
「
あれだけラスボスに嵌められてるのに、ネチッこく付き纏ってさ」
「
ピンクが、
ワンチャン
「嘘ばっかり。
あのピンク、鞭しか与えてくれないじゃん」
「その鞭が飴で
「それ多分、サルミアッキだよ」
「飴ではあるなら、食べられるだろ?
ましてや、恋人からのプレゼント、デザートなら、殊更だろ?」
「おバカ」
※
6時。
「そもそも、作風からしておかしいだろ。
いきなりVRとか出て来るし、法律違反スレスレだし。
あまつさえ、後に伏線になった上に、そもそもの使い道がアレだぞ?
しかも、スピンオフ産だぞ?」
「欲望全開だったよねぇ。
ノリノリだし、ノリでばっか書いてて、チグハグだし、説明不足だよねぇ」
「
「おまけに、いきなりナノマシンとかまで出て来てさ。
かと思えば、
あんなの、イレギュラーでしかなくってさ……。
「……あ」
「……やっぱ、さぁ……。
私なんかが、君と付き合ってて、
私の
今からでも、
「
俺は、君が
君でなきゃ
「でも……」
「迷ったって
悩んだって
落ち込んだって
信じてなんて、くれなくたって
ただ、
そういう時こそ、俺を当てにしてくれ。
俺……ちゃんと、聞くから。
何度だって、必ず」
「……こんなだよ?
こんな、根暗女だよ……?
私……」
「だったら。
俺が、その根っこを照らす。
君の心を、眩しく輝かせてみせる」
「……私……
「こちとら、野蛮勇者だ。
任せてくれよ」
「……ありがとう……。
私だけの、勇者様……」
「どういたしまして。
俺だけの、お姫様」
「やったぁ。
格下げされたぁ」
「俺が、悪魔を倒したからな」
「さっすが。
私の、
「
これ
※
7時。
「だからさ、
俺は、知ってるから……。
だから、俺は……
お前が本当に、
よしんば、犯罪者になったとしても……。
家族や、
俺だけは、お前の味方、仲間、理解者として……。
半永久的に君臨、再臨してやる……」
「あはは……。
変な、
今のは、ゲームの話でしょ……?
私には、関係、
「ぅ
今、俺が
そもそも、お前の
全部、全部……お前が、引き金じゃねぇかよぉ……。
ここまで、俺や
こんなにヘトヘトなのに、
相手が、お前だからだろぉ……。
だったら、
いつまでも、俺だけの物であってくれよぉ……。
俺だけのヒロインに、なり続けてくれよぉ……。
お前は、俺の横で、黙って幸せになってくれてさえいりゃ、それで
「……滅茶苦茶だよ、
こんなに、時代錯誤に俺様な本性曝け出して……。
ここまで、がらっぱちになって……。
私の無茶振りに、付き合ってくれて……。
私に気を遣って、この3ヶ月の話は、
グロッキーなのに、私の
あんまりなんじゃ、ないかなぁ……。
こんなの……こんなのって、さぁ……。
色んな意味で、ご褒美でしか
この、オバカレシ……」
意識も、視界も、定まらなくなって来た。
薄れ行く世界で、どうにか視認、記憶
晴れ晴れした顔で、俺に倣って、瞼を閉じ、安らかに眠りに落ちた。
そんな、
※
昼に目覚めた時。
先に起床し、食事の準備を進めていた
その頬と目が、やや腫れていた。
気になって、本人を問い詰めたら。
「ぶつかった」
とだけ教えられた。
俺は、納得した振りをした。
彼女の手、目元もまた、赤くなっていた
その日に、互いの清算を済ませたのだろう。
それから
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