〈Ⅴ〉業華絢嵐の冬季休日(ふゆやすみ)前

〈1〉冬休みの最重、最終

 あの日。

 遅ればせながら、部室で活動方針を定めた、あの日。

 あれから俺達は、4人で色んなことをして来た。



 それっぽいスポットでそれっぽいイベントはしそうなのに。

 相変わらず、さほど進展もく、ただただ騒がしく遊び呆けて、目的も忘れてフラグ作りとフラグ折りに専念する俺達。 



 なにはともあれ。

 求めてない方向でばかり色々と起こりつつも。

 それでも、自分達の思いや関係性を再確認し。

 ゴールデンウィーク、夏休み、文化祭と季節は移ろい。



 そして、季節は冬休み1週間前に突入。

 先輩の卒業式であり、俺達『ニアカノ同盟』の期日まで、あと3ヶ月。

 そろそろ本腰を入れるべきだと、俺は察した。


 

 今年の冬休みの最重、最終課題。

 それは、「宿題」でも、「志望校絞り」でもない。

 ずばり、「告白」だ。



 これまで俺は、あの手この手で逃れ、先送りにして来た。

 しかし、もう後が無いし、後戻りも出来できない。

 本気で望む、臨む時が来たのだ。

  


 ここだけの話。

 すでにプランは出来できている。

 だが、実現するには人手が足りない。

 ゆえに、ずは協力者を募らなければ。


 

「てわけで、七忍ななしの

 これより俺は、二人をスカウトに行く。

 この場しゅくだいは、お前に任せた。

 先生てきに気取られぬよう、最大限の細工はいりょもって、ことに当たってくれ」

巫山戯ふざけんなぁ!!」


 

 いきなり発狂する七忍ななしの

 俺は、理解に苦しんだ。



 やれやれ。

 なんて反抗的な奴だ。

 せっかく善意で出番を与えてやったというのに。



「それくらい、自分で済ませろやっ!!

 大体、なんでもう宿題ゲット出来できてんだよっ!?」

「日頃の行いの賜だな。

 ダメ元で先生に頼んだら全員、快諾してくれて、フラゲ出来できた」

「この、仮面優等生がっ!!

 まぁ、それはいっ!!

 なんで、お前が女遊びでうつつを抜かすために、お前の宿題代行なんぞ無償で引き受けさせられにゃならねんだよぉっ!!」

「違う。

 これは、将来を見据えての行動だ」

「はんっ!!

 く言うよ!!

 向こうがOKしてくれるとも限らねぇのになぁ!!

 勝算なんて、万に一つたりとも、りゃしねぇのになぁ!!」

「チクショー!

 手前てめえコノヤロー!!

 生意気だぞ、しゃしゃんなよっ!!

 こっちが下手したてに出てりゃ、付け上がりやがってぇ!!

 たかが、たかだか七忍ななしのの分際で!!

 仕事振ってもらえただけ、ありがたいと思いやがれっ!!」

「やんのか、コラ!!」

「やってやんよ、ボケッ!!」



 暴れ狂う七忍ななしの

 俺は、やつの前に、必中必倒のアイテムを繰り出す。

 こんなことろうかと用意していた、寿司とラーメン、炭酸ジュース数本である。

  


「ここは、俺に任せろっ!!

 お前は早く、先に行けっ!!」



 買収、成功。

 相変わらず、コスパぎて、助かるけどビビる。



七忍ななしの!!

 後は、頼んだぞ!!」



 それだけげ、家族に挨拶を済ませ、俺は家を出た。



 すでに手筈は整えてある。

 ずは、彼女に会わないと。

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