〈4〉ハーレ無双でトロピ狩(が)るバケーション
Vランド。
電車で1時間
そこの無料チケットを、同業の
彼女が、
で、実際に遊びに来て、数
ただ、それだけの
棚ぼたでこそあれど、特段、不思議ではない。
で、だ。
それはそうとして
今、俺の目の前に広がる光景は、
てか
そして、
「おーっとぉ!!
またしても一人、脱退だー!
恐るべき執念、女体への果て無き好奇心!!
この、ボォクの妹だー!!」
「
ナレーターとバイトらしい(
いや、
「ねぇ、
あの女、誰ですか?
「
羨まけしからんとです。
それは妹、後輩、年下であるサキの役目でげす」
「違うよ、
飼い主である私の使命、責務だよ。
こんな時にばっか、年下マウント取らないで」
「ふっ。
悔しいでありんすか?」
「トロピ
処すよ?」
「同士討ちはお
あれは、
誠に嘆かわしい
見ての通り、女性らしさや品の
かのアラタくんにさえ見限られてる、哀れな大学生よ」
「解説、ありがとうございます。
理解
どうやら、参加者ではないらしいですね」
「
でも、そうね。
ここのスタッフでなければ、日頃のネタバラシの憂さ晴らしに、真っ先にパージしてあげたのに」
「今からでも遅くないです。
どさくさに紛れて、方向音痴で迷子の振りして忍び込んで脱がして、退場させましょう」
「これが
「
「いや、余裕だなぁ、あんた
こっち、ゲーム開始と同時に強制的に捕まってんだぞ!?
そっちだって、話しながらも、他のプレイヤー潰しに掛かってんだぞ!?
アバターとはいえ、深夜アニメばりに規制、修正入るとはいえ、ともすれば自分
よくもまぁ、そこまで効率
てか、
もっと健全なの、他にも
「
「
「あわよくば、ライバル共を蹴落として、カイ
「はい全員、ラブコメ、ヒロイン、失格、失格ぅ!!
純粋に俺を守ろう、救おうだなんて、誰一人として思ってなぁい!!」
今日も今日とて、ニアカノは平常運転です。
相変わらず、イチャイチャとは無縁の高校生活です。
「ん盛り上がってる所、悪いけどねーぇ、
きーぃみも、
つまり、絶賛レスってヒスってるルェディーやぁ。
「マジの意味でVしてんじゃねぇか!!
思いっきりバ美肉ってんじゃねぇか!!
しかも、のうコ◯みたいなのまで混ざってんじゃねぇか!!」
「
んーVIPエリアでのデート権を、
きーぃみにとっては、約得かもしれないーぃねっ」
「
中身が人妻、同性とか、
俺は、同世代の異性と付き合いたいんだよっ!!
それ以外とのデートとか、バーチャルですらしたかねぇよ!!」
「
元々は、この、ボォクが『スマッシュ・ブラジャーズ』と名付けたんだがねぇ。
おーぉ偉いさんに、却下されてしまったーぁよ、はっはっはっ」
「ったり前だろがぁ!!
任天◯が怖くねぇのかよっ!!」
「そうよ、姉さん。
そんなタイトル、間違ってるわ。
彼女達がスマッシュされるのは、『ビキニ』であって『ブラ』ではないもの。
しかも、それじゃあ『パンツ』は含まれじゃない」
「
早く
これ以上ツッコんでても仕方
ここらで、三人の衣装にでも触れておくとしよう。
ラッシュ・ガードでの剣士っ
次に、
麦わら帽子とパレオが
それでいて、シールド型のガントレットの銃口で戦う姿のベテラン感が
そして、
スク水とゴーグルと水鉄砲という、あざとく意図的な合法ロリ路線と、胸の「いさき」ゼッケンが実に刺激的。
「……ちょっと待って。
聞き捨てならないんだけど」
と、ここで暗雲。
「この人達も、私達と同じなの?
ただのCPUじゃないの?
あまつさえ、別に親交
一時の遊び感覚で、私の
そういう大事な
だったらさぁ……本気で、始末しなきゃじゃん。
どうせ、アバター。
現実世界にも、私達にも、なぁんの影響も
ガントレットを外し、腰にセットしていた棒を取る
そのまま、2つの武器を合体させ、盾に仕込まれていた刃を出し。
身の丈さえ上回る、巨大な
「
「あいつ……っ!!」
危機を察し、即座に距離を取る
彼女の暗黒面に不慣れな他のプレイヤーは、一斉に
その隙を、
「あーあ。
メイン、逃げちゃった。
まぁ、
出会い頭に、こんな
丁寧な言葉を述べ、愛想笑いを浮かべつつ、斧を構える
すると、みるみる斧に光がチャージされ、明らかに危険そうな音が響き始め。
「二度と湧いて来んな……!!
ゴミ共がぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!」
一振り。
たったの、一振り。
斧を持ったまま、一周しただけ。
が、それで事足りた。
岩や木々といったオブジェすら薙ぎ倒し。
回転斬り一発で、ステージには『ニアカノ同盟』の3人しか残らなかった。
やっぱり、恐ろしい子……!!
「ひぃぃぃぃぃ!!」
かの
そんな中。
物陰に隠れ、
が、再びガントレットを装備した
「
邪魔者は消え去ったんだから、停戦協定は無効でしょ?
だったら、サキちゃんに続いて、とっとと脱落、脱衣してくださいよ。
「それは、こっちの
あなたこそ、そろそろ引きなさい。
あれだけの技を披露して、平気な
「ご心配
この世界では、想像力と精神力が
これまで私は、現実世界で幾度と
彼との理想のヒモ生活のビジョンを、来る日も来る日も描き続けていた。
これ
「言っても分からない
とんだじゃじゃ馬っ
「お褒め頂き、
お礼と言っては
今
これは、あくまでもゲームの話です。
決して、デスゲームとかでもありません。
注意書きをした所で。
先手必勝と言わんばかりに、
その腕が先輩の胸を
次の瞬間。
隠されていた黒ビキニが、現出した。
「なっ……!?」
まさかの重ね着に意表をつかれ、油断する
対する
紐が、はらりと落ち。
アバターとはいえ、恥部を隠されているとはいえ。
「いっ……!!
目をグルグルにし、紅潮し、本気で泣き叫び、慌てて胸と下腹部を隠す
「うむ。
まっこと美しい、嬌声よ」
最低な発言をしつつ、刀をしまう
そこで、はたと
そして、他の参加者は、もう残っていない
なのに
「マジカル簡単。
今まで、マジカルかくれんぼしてただけ」
後ろから聞こえる、慣れ親しんだ声と口癖。
振り向いた時には、
背後には、
俺の腕は、
今度こそ、試合終了のゴングが鳴った。
は、いいものの。
「だから、言ってるじゃないですか。
私は、プレイヤーの過半数を、一網打尽にしたんですよ。
シークレット・ミッション達成でMVP扱いされても、不思議も不満も
「あんな攻撃、チートよ。
それに、そのMVPシステムが採用されるのは、時間切れになったケースのみよ。
「それ言ったら、メグ先輩も大概ですわ。
二段構えとか、ズルでしかないでごわす。
そもそも、まだサキが残ってたし、正確には勝ってないでし。
カイ
「アカウント掛け持ちして、私の
百万歩譲って、それが
だったら私だって、
「許してないし、サラッと
みっともないわよ」
「いや、みっともないのは、あんた
誰一人として、正攻法で勝とうとしてないじゃん!!
いつも通りじゃん!!」
こんな調子で
意味不明な
いや、これ、
で。
結果、どうなったかってーと。
「
「いいえ、
彼をとっ捕まえ、今度こそ女装させ、アンサンブらせるのよっ!!」
「カイ
サキが推し倒すので、今日こそは推しの子ごっこしましょーぜー」
ぜ っ た い や だ。
「お前
VRだからって、やりたい放題にも
「そっちだって
「いや俺、そんなゲーム内容だなんて一切、聞かされてませんでしたけどぉ!?
そもそもあれ、『ホストの趣味によってシステム決まる』って話だったよね!?
誰だよ!? 代表者!!」
「
「はい、知ってた、熟知してたぁ!!」
「
早い話、規制外れるらしいでやんすよ」
「ねぇ、
今にも営業停止食らいそうじゃん!!」
食らいました。
オープンして1ヶ月で。
俺達が遊びに来た、翌日に。
いや、
チケットくれただけなのに、
余談だが。
ネタ方面の時だけ、存在感と謎スキルを発揮する
そんなだからアサプ□枠とか言われるんだぞ。
とまぁ。
プールでのイベント(?)を挟んでも、やっぱりドキドキ展開にはならない、我等がニアカノ。
ニアミスった日々は当分、続きそうだ。
※
とは言うものの。
あれから半年近くが
そんな
「……
お前、本気か?」
「はい。
バッチバチに」
「そか。
んじゃあ、その上で聞こう。
そんな無茶が、通るとでも?
お前の都合に振り回される、我々、教師陣の苦労を。
少しでも、考慮しなかったと?」
苦い顔をする先生。
当然
「いえ。
その上で、ダメ元で頼んでます」
「そこまで分かってるなら。
大体、あと1週間と待たずに、お前の元にも届くだろう?
じゃなければ、ここまで、生徒の
であれば、俺も敬意、誠意を表さなくては。
出し渋らず、ありのまま伝えなくては。
「ずばり、『告白』です」
「……
俺の言葉を受け、明らかに顔色を変える先生。
そのまま
「お前……!!
冗談じゃないぞ、
それ、最重要案件じゃないか!!
他の
入室の挨拶なんぞより、そっちを優先しろ!!
今の数分、無駄だっただろうが!!
その時間さえも、補填
いや……そもそも、この数日すら、空費してしまったじゃないか!!」
俺の肩に手を回し、背中を叩いて来た。
こういう時、
この人は紛れも
恋愛脳の
「よし、任せろ!!
我が教師生命に賭けて、
私が全員分、今日中には調達してみせよう!!」
「
色々と」
「なぁに、気にするな!!
酒なり寿司なりで釣れば
私の諭吉と引き換えに、出してくれるさ!!」
「
それ!」
「ああ!!
今を生きる若人の、リアルでフレッシュな悶々たるエモを味わえる!!
それを
それが、それだけが、それこそが、今の私の生き甲斐!!
その
一切、惜しくも恥ずかしくもない!!」
「俺……!!
やっぱり、先生が担任で
こんなに生徒に親身になって融通が利かせてくれる、ダサカッコイイ
惜しむらくは、恋愛事情にのみって所ですが!!」
「
さては相当、ほの字だな!?」
「それ今、通じないですよ!?」
「お前には通じるだろ!?
なら、問題は
「確かに!!」
「その代わり、誓約しろ!!
成功した暁には一杯、付き合え!!
可能であれば、アベックでな!!
何人だろうと、大歓迎だ!!
多いに超した
お前
「結婚式の披露宴感覚で、カップル誕生を祝おうとしてません!?」
「気にするな!!
私は兼ねてより、お前を大層、気に入っている!!
常日頃から、私の妹も世話になってるしな!!
お前だけ、特別だ!!
お前は
……この人が彼女でも、
惜しむらくは、
敷居の低さと、スペックの高さが、まるで釣り合っていない
一応、結婚願望は
早い所、誰かと結ばれてくれ。
頼むから、スパダリ辺りと報われてくれ。
「まぁでも、
これでも私は、お前に申し訳
お前達に
「え?」
手を戻し、テンションを戻し、席に戻る先生。
一方の俺は思わず、想定外の意味深ワードに意識を奪われる。
「……あ」
口を滑らせたと
先生は、鉄面皮を少し崩し、額を抑えた後、キリッとした顔で俺と向き合った。
「
こっちの
頼まれた物は、意地でも手配する。
お前は、自分の
「……分かりました」
「うむ。
お前らしい、素直な返事だ。
私としては、もっとフランクな方が好みだがな。
そこまでお前を導けず、情けない限りだ」
「……あなたが、
どう考えても」
「ははっ!
言う
その調子で、そいつもガンドコ陥落させてやれ。
相手は知らんし、まだ聞かんがな。
楽しみは、先に取っておくさ。
ネタバレなんぞ、言語道断だ」
俺にそう告げ、立ち上がり、クルッと体を回し、背中を叩き激励し。
先生は、職員室のドアを指差した。
「進め、
お前の恋路、ヒロイン、未来に向けて!!
脇目も振らずに、一直線にな!!
余計な遅れは、断じて取るな!!
私の犠牲を、諭吉を、勝利の美酒を、無駄にしてくれるな!!」
「……っ!!
……はいっ!!
あざっす!!
失礼しましたっ!!」
「その考えこそが、失礼だ!!
お前は、もっと失礼しろっ!!
私で
腰に手を当て、快活に笑う先生。
他の先生方にも見守られながら。
俺は体を反転させ、お辞儀をし、職員室を出た。
ところで。
図らずも今回の話で、
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