〈Ⅳ〉大嵐闘(だいらんとう)なスピン休日(オフ)

〈1〉ニアカノが本気になったのでGWに備え打開策を出そうとしたら、新ヒロイン(?)でカオスな件

「ニアカノ 5つの誓い」



「一つ。

 皆、対等、均等、平等に扱うべし。

 年齢、学年などを理由にはしないこと

 本命が定まるまでは、露骨に優先しないこと



「一つ。

 目に余る反則(ヘイトスピーチなど)は、無意識は除外して、なるべく禁止。

 仲良く楽しく安全、健全に、正々堂々、駆け引きし、笑顔で駆け抜けること



「一つ。

 ハニトラは死、負けと同義。

 想いは言葉で、行動で示すべし。

 常に正直であるように心がけ、なるべく秘密を持たないこと



「一つ。

 黒一点を大切に扱う事。具体的には、必要以上に揶揄からかったり、怖がらせたり、驚かせたり、隠したり、騙したり、撃ったりしないこと



「一つ。

 誰が選ばれても、選ばれなくても。

 形は変わっても、思いを違えても。

 場所も気持ちも、離れていても。

 4人は、一緒に繋がり続けること



 内容はさておき。

 そんなふうに、活動方針を定めた俺達。

 改めて5人で撮った写真も部室に飾り、これで一段落。



 理想の恋人ライフを満喫すべく。

 気持ちを新たに、今日から活動再開だ。

 ゴールデン・ウイークも間近だし早速、ニアカノから進化する方法を探らなくては。

 みんなも本気になったみたいだし、きっと協力してくれるだろう。

 


 そう思い、身嗜みを整え、ネクタイを直し。

 ドアを開け、元気に玄関を通り。



「容疑者、発見!!

 確保ぉ!!」



 逮捕された。



「いや、なんでだよっ!?」



 部室にまで担ぎ込まれてから、もっともな主張を唱える。

 俺を拉致り、椅子いすに縛り付けた結織ゆおりは、腕組みをしつつ、暗黒微笑。

 その後ろの恵夢めぐむさんは、何故なぜか虚無な顔をしている。



 ……恵夢めぐむさんまで連れて来る必要、ったのか?

 ずっと思ってたけど。

 結織ゆおりだけで事足りたんじゃね?



ひどいなぁ、未希永みきとくん。

 私達に無断で、あんなことしといて。

 ねぇ? 恵夢めぐむ先輩」

「『オーパーツ』って。

 すごく、エモいと思わない?」

「はい?」



 まるで噛み合わない、それでいて下ネタで返す恵夢めぐむさん。

 結織ゆおりも、流石さすがに困惑した。



「考えてみて頂戴ちょうだい

 だって、『オーパーツ』よ?

 なんと、『パイオツ』と『パンツ』が同時に摂取出来できるのよ?

 一粒で二度美味しい、一石二鳥じゃない?」

「はぁ」

「あと、『OP』もエモいし、『ED』はエグい。

 それと、南の島のハメハ◯ハ大王は、どっちの名前も」

「先輩。

 ちょっと、失礼します」



 食い気味に断りを入れつつ、チョップをする結織ゆおり

 すると、恵夢めぐむさんの顔に、かすかに普段の精悍さが戻った。

 


「……助かったわ、結織ゆおり

 どうやら、禁断症状が出たみたいね」

「本来の『禁断』って、そういう意味じゃないですけどね」

「的を得ているわ。

 それはそうと、ちょっと失礼」

「え?

 あ、はい」



 許しを得ると、恵夢めぐむさんは何故なぜかヘッドフォンをセット。

 そのまま、ペアリングしたスマホでなにかを眺め。

 口元を隠し、涙を流し、ガッツポーズをし、テーブルに置いた枕に顔を埋め奇声を発し。



「待たせたわね!

 さぁ! あたしたち部活デートを、始めましょう!!」



 らんほどに元気になって、帰って来た。

 なにしたんだ、この人。

 どうやって回復したんだ。

 


 ……長くなりそうだから、割愛しとくか。



えず、ご飯にしよっか。

 私、クッキー焼いて来たの。

 さ、さ。

 遠慮しないで、食べて。

 紅茶もるよ」



 何故なぜかティー・タイムを始める結織ゆおり

 まぁ、拒否るのも怖いし、無下むげにも出来できまい。



 っても、手が動かせないから、食べさせて、飲ませてもらうしかわけだが。

 まさか、こんな形で「あ〜ん」が実現しようとは。



「で?

 俺が、なにしたってんだよ」

とぼけても無駄よ、アラタくん。

 もうネタは割れてるのよ」

なんのですか」

「昨日、私達の知らない女と密会してたでしょ?

 ファミレスで。

 私とのデート蹴ってまで」

「違うわ、結織ゆおり

 私達、『ニアカノ同盟』のよ」

「平気です。

 未希永みきとくんと私が揃ってさえいれば。

 それはもう、私達のデート、独壇場なので」

「そういう話じゃないわ」



 おい。

 ミイラ取りがミイラになったぞ。



「それについては、もう謝っただろ?

 先約がったんだって」

「でも、その詳細については、教えてくれなかったよね?」

「あの場で安易に触れるような内容じゃなかったんだって」

「じゃあ、この場ではいの?」

「どういう理屈だよ。

 大体、場所自体は変わらないだろ。

 断ってた時だって、部室だっただろ」



 駄目ダメだ。

 埒が明かないし、拉致が終わらない。

 なんだかんだ、恵夢めぐむさんも気にはなってるっぽいしな。



 ……しゃーない。

 やっぱ、説明しとくべきか。

 図らずも、今は本人不在だしな。



「……中学の頃に、依咲いさきが世話になってた校医さんだよ。

 色々って、きちんと依咲いさきを助けられなくなったのを憂いて、学校に反発して。

 自主退職したから、今は違う場所で働いてるんだけどさ。

 それからも定期的に、依咲いさきことだけ、なにかと気に掛けてくれてるんだよ。

 今でも、俺や依咲いさきRAINレインはしてるけどさ。

 それ以外にも、経過観察も兼ねて、定期的に会う機会を設けてるんだよ。

 昨日のが、その定例会。

 そんな話、依咲いさきる前で、みんな出来できわけないだろ?

 空気悪くするだけなのが、自明の理だ」

「……あ」

「……あー……」



 色々と察し、押し黙る2人。

 分かってくれたようで、なにより。



「そういうことだったんだ。

 ごめん、未希永みきとくん。

 私、浅慮だったよ」

あたしもよ。

 2人に、悪いことしちゃったわね。

 最年長として、失格だわ。

 本当ほんとうに、ごめんなさい」

「気にしないでください。

 冤罪が晴れたのなら、それで。

 なにはさておき。

 これで俺は、釈放ですよね?」

「ええ。

 勿論もちろん

「いや。

 待ってください、恵夢めぐむ先輩」



 言うが早いか、ロープを切ろうとしてくれる恵夢めぐむさん。

 彼女の持つはさみを、結織ゆおりが止めた。



「ねぇ。

 まさかとは思うけど。

 このまま、『束縛ごっこしたい』とか、言わないでしょうね?」

「それは大変魅力的ですが、違います。

 そっちとは別件です。

 折角せっかくなのでこの際、洗いざらい、曝露ばくろしてもらおうかと」



 ギロッと俺を睨み、結織ゆおりは続ける。



 あ、あれ?

 なんか心なしか、マシマシでヤンデレてない(当者比)?



「そもそもの話。

 未希永みきとくん、ちょっと依咲いさきちゃん優遇しぎてませんか?」

「……そうかしら?

 私は別に、そんなふうに捉えたことは……」

「いいえ。

 明らかに、特別扱いしてます。

 先輩、ご存知ですか?

 私達が『ニアカノ同盟』を結成した日。

 あの日の未希永みきとくんの、為桜たおちゃんを紹介した時の台詞セリフ

 あれ、実はトラップ、フェイクが仕込まれてるんです。

 本当ほんとうは、バイト中に倒れたのは、『未希永みきとくん』じゃなくて、『依咲いさきちゃん』の方なんです。

 そこら辺も見越して、未希永みきとくんはわざと、どっちとも取れるふうに話したんですよ。

 依咲いさきちゃんを、庇うために」

なんですって?

 本当ほんとうに?」

「ええ、間違いりません。

 あの時の、2人の意味深な顔とやり取り。

 私の目と直感に、狂いはりません。

 ズルくないですか?

 不平等ですよね?

 私、そんなふう未希永みきとくんに助けられたこと、一度もいよ?

 そりゃ、普段からお世話になってこそいるけどさ」

「確かに。

 それが本当ほんとうなら、ことね」

「ね?

 ですよね?」

「あの土壇場で、怪しまれずに切り抜けるとは!!

 たいした胆力、語彙力、気配り力、団結力!!

 蜜月を彷彿とさせる、禁断感!!

 これは、エモい……エモいぞぉ!!」

「すいません、今そういう話じゃないです。

 恋愛脳な先輩を味方に付けようとした私が愚かでした。

 なんかもう、冷めちゃったんで、結構です。

 とっとと切っちゃってください、どーぞ、どーぞ。

 なんなら、未希永みきとくんとの縁も切っちゃってくださーい」

「それは断固、拒否するわ」

「投げ遣りと見せ掛けてサラッと仲間を裏切ろうとすんなよ、結織ゆおり



 なにはともあれ、晴れて解放である。

 


 あー。

 自由に動けるって、素晴らしいー。



「ちーっす。

 あー。

 やっぱり、ここにた。

 ちょっと、カイせん

 常日頃から甲斐甲斐しくお世話してる妹を置いてくなんて、罰当たりではなくなくなくないですか?

 サキは泣いてます。おろろろろろ。

 ですが、まぁ、サキは御心が深いので、ナデナデで穏便にして差し上げやがります」

「はいはい、どーぞ」



 遅れてやって来た依咲いさきに、透かさず構う。

 ご機嫌斜めだったらしいが、これで恐らく戻るだろう。



「それと、依咲いさき

 俺は、お前を置いて行ったんじゃない。

 あの2人、取り分け結織ゆおりに、誘拐されたんだ」

「チャプター、ほーほーほーう。

 だったら、話は変わってクルーシオ」

未希永みきとくん!?

 ひどいよ!

 未希永みきとくんが、この私を売るなんて!

 本当ホント、信じられない!

 今までも、これからも、お世話するって決めてるのに!!

 そんなの、ただのご褒美だよっ!!」

「ねぇ。

 この子、すでに凸ってない?」



 恵夢めぐむさんの的確ぎる正論は置いといて。

 全員、揃ったので、会議を始めるとしよう。



「『どうすれば、この宙ぶらりんを終えられるか』。

 今日の議題は、これだ。

 で、俺は考えた。

 みんなに、それらしい候補を紹介、仲介してもらうという、素ん晴らしい名案を!!

 名付けて……『サブラブ作戦』だ!!」

ず、名前がさぶいです」

ていい逃げだよね?」

「そこまでガツガツしてると、ちょっと引くわよ」

「そういう意見は、求めてない!」



 ネガキャンしかしない3人を説得。

 しようと試みるも。



「そもそもあたし、あなたたち以外の友達なんて、ないわよ?

 ずーっと深窓の佳人として賛美されていたし」

「今となっては、影も形もいですけどね」

「お黙りなさい。

 かく、他を当たって頂戴ちょうだい

 姉さんくらいしか、紹介出来できないわよ」

「すみません、それだけはガチのマジで平に勘弁してください、この通り」


  

 丁重に、土下座でお断りした。

 結織ゆおりに連写チャンスを与えたにぎなかった。



「私も、申し訳いけど、パスかなぁ。

 友達同士で拗れるのは、ちょっとねぇ。

 あ、でも、妹なら、紹介出来できるよぉ」

「え?

 結織ゆおり、お姉さんだったの?」

「そうでぇす。

 っても、従姉妹いとこだけどねぇ。

 友花里ゆかりちゃんって言ってぇ。

 私に似て、フレンドリーでぇ、お淑やかでぇ、優しくってぇ、明るくってぇ、家庭的でぇ。

 ただ一つ、ちょっと困った所がってぇ」

「ふっ」



 アーニ◯みたいな顔と声で失笑する依咲いさき

 顳顬こめかみに怒りマークを出しつつ、強靭なメンタルと卓越した演技力で、どうにか笑顔をキープする結織ゆおり

 吹き出しかけ、顔を逸らす恵夢めぐむさん。



 これは、あれか?

 俺がフォローする流れ、だよな?



「ゆ、結織ゆおりに似てるなら、安心だな」

「目。

 泳いでるけど?」

「そ、そんなこといって。

 それで? その、『困った所』ってのは?」

「あの子、ポテッとした人がタイプなんだよね。

 下手ヘタな番宣並みに、隙らばお手製の料理やお菓子を食べさせようとして来るの。

 あとデートが、単なる食べ歩きツアーにしかならないの。

 他にも、ミステリー好きが高じるあまり。

 年がら年中、ハロウィン感覚で、誰かに変装して悪戯して来たりぃ」

「一つじゃねぇじゃねぇか!!

 大問題だらけじゃねぇか!!」



 残留というていで、保留、確定。



「じゃあ、最後に依咲いさき

 お前の友達は」

「そんな、ラノベみたいな相手がるとでも?

 この、万年ボッチの『元・保健室の主』の『眠れる氷の美少女』の、サキめに?」

「いや、ほら。

 今は、うちのクラスには溶け込んでるじゃん」

「自分の教室では浮いてるからでやんす。

 ついでに言うと、『ハナコー』はエスカレーター制で、カイせんは外部生ではない。

 つまり、今のサキのファンは、カイせんの長年のクラスメート、幼馴染。

 にもかかわらず、未だにアプローチされてない。

 これすなわち、悲しいかな。

 完全なる脈無し、アウト・オブ・眼中」

「はい、次、次ぃっ!!」



 脈が!!

 俺の脈が、くなっちゃうからぁっ!!

 もう、めてぇ!!


 

「ちょぉっと待ったぁ!!」



 クリティカル・ヒットを受け、倒れる俺。

 そんな時、部室に現れたのは、着衣と呼吸がかすかに崩れた結織ゆおり

 


 ……はい?



「いや、どちらさまぁ!?」

結織ゆおりが……2人!?」

「この、女狐め!!

 やはり、くノ一の一族だったか!!

 あれは、貴様の影分身かっ!!

 一人だけ、楽しおってからに!!

 罰として、サキにも忍法を教えやがりなさいませ!!」

依咲いさきちゃん、私にだけ当たり強火ぎないっ!?」

「日頃の行いが祟っただけ、なんでもりません、睨まないで、結織ゆおりっぽい人ぉ!!」

「だぁ・かぁ・らぁ!!

 私が、本物の結織ゆおりなんだってばぁ!!」

「『本物の結織ゆおり』、ですって?

 だったら、証明してご覧なさい。

 普段の彼女は、どんな子なのか」

「え?

 そりゃあ、もう。

 フレンドリーでぇ、お淑やかでぇ、優しくってぇ、明るくってぇ、家庭的でぇ」

「ふっ」

「依咲ちゃん!!

 その顔、止めてっ!!」

「いや、結構、余裕だなぁ、いつもとなにも変わんねぇなぁ!?

 今、中々の異常事態なんですけどぉ!?」



 わざと誘い、再び顔を逸し、顔を引き攣らせ笑いを堪える恵夢めぐむさん。

 またしてもアーニ◯みたいな顔で失笑する依咲いさき

 思いっ切り釣られ、赤面する結織ゆおり

 


 そこに来て、俺はハッとした。



 今日の結織ゆおり様子ようす

 どこか、いつもと違ってた。

 普段の2割増しで執着したり、露骨に恵夢めぐむさんを拒絶したり。

 しかも、朝食直後という謎のタイミングで、唐突にお菓子を振る舞ったり。



 そして、先程の結織ゆおりの、サブラブ紹介。



 ま……まさか……!?



「ふっふっふっー。

 バレてしまっちゃあ、仕方しかたいでござるなぁ」



 先程、依咲いさきが忍者扱いしたからだろう。

 何故なぜか、口調を変える結織ゆおりらしき人物。

 かと思えば、他校の制服に早着替えする。



「我こそが、母神家もがみや 友花里ゆかりその人よ!

 モジモジしてた結織ゆおりの名代、影武者としてユー達、そして昨日の真相を直に探らせてもらった、ヤッホー!!」

本当ホント、信じらんない!!

 私が寝てる間に、雁字搦めにして、身動き取れなくするなんて!!

 おまけに、自由に動けるようになって、合流しようとした私を、絶品の朝食で足止めしようだなんて!!

 そんなの、我慢出来できわけいじゃん!!

 そもそも、緊縛ごっこしていのは、すべきなのは、未希永みきとくんと私だけだよっ!!

 八つ当たり、罰として、今から未希永みきとくんを捕虜にします!!」

「あ、ごめん、結織ゆおり

 俺、数分前まで、もう拉致られてたわ。

 って、これ謝る必要くないか?」

「私以外の女に誘拐されるなんて!!

 最っ低!!

 これは重大な裏切り行為、深刻な契約違反だよっ!!

 未希永みきとくん、弛みぎっ!!」

ひでぇ!!」

「おーっほっほっほっ!!

 精進が足らんて、結織ゆおりホンマ!!

 一体、いつになったら、私に勝てるのかなぁ?

 恋にうつつを抜かすとは、笑止千万!!

 今回の女子力勝負も、友花里ゆかりちゃん、大勝利なりー♪」



 すげー。

 キャラと口調と声と表情が、大渋滞してるー。

 恵夢めぐむさんと変装ぐせと、依咲いさきのフワフワっりが混ざってるー。

 闇鍋みたいになってるー。

 



い加減にしてよ!!

 大体、フッ軽ぎ!!

 未希永みきとくんたちこと話したの、昨日じゃん!!」

「甘いぜよ、結織ゆおりちゃん!!

 高校生としての君の寿命は、あと2年ぽっちなのよ!!

 そんなんじゃあ、逃げられて終わりじゃけぇですわぁ!!

 結織ゆおり、ゆとり、敗北者!!」

「そもそも、戦ってすらいないじゃん!!

 戦う前から、仕掛けて来たじゃん!!

 私の未希永みきとくんに、ちょっかい出さないでよ!!

 ことと次第によらずに、ぶっとばっすぞぉ!!

 大体、私の未希永みきとくんがなびわけいじゃん!!

 友花里ゆかりみたいな、ダンダダ◯ばりに全部盛りな、真っ盛りな女に!!」

結織ゆおりー。

 色々と、違うぞー?」



 まだ俺は、君の物じゃないぞー。

 あと、2人の心配もしろー。



「あっそ。

 だったら、ご覧遊ばせ」



 髪を靡かせ、テーブルに座り、足を組み、中がギリ見えない範囲でガードしスカートを捲り、俺に顎クイし。

 友花里ゆかりさんは、げる。



未希永みきとくん。

 私と、付き合わない?」



 これまでキャラ変し捲ってた割に、普通ぎる告白。

 


 俺には、迷いなんてい。

 答えなんて、決まってる。



「ガチのマジで本気で本当にリアルに冗談抜きですこぶ絶対ぜったいに頼まれても積まれても無理です、ごめんなさい」



 俺、渾身の土下座(本日2回目)。

 結織ゆおり、全力の連シャッター(本日1回目?)。



 第1回ヒロイン作戦。

 これにて、閉幕。



 で、こんなことばっかやってたツケか。

 気付いたら、俺達の部活は。



「というわけで。

 部員、実績の欠如により。

 君達には申し訳無いし、心苦しいが。

 このままでは、あと1週間で。

 我が校の文芸部は。

 ーー『廃部』だ」



 こんなんなってた。 



 わー、どうしよー。

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