〈Ⅳ〉大嵐闘(だいらんとう)なスピン休日(オフ)
〈1〉ニアカノが本気になったのでGWに備え打開策を出そうとしたら、新ヒロイン(?)でカオスな件
「ニアカノ 5つの誓い」
「一つ。
皆、対等、均等、平等に扱うべし。
年齢、学年などを理由にはしない
本命が定まるまでは、露骨に優先しない
「一つ。
目に余る反則(ヘイトスピーチなど)は、無意識は除外して、なるべく禁止。
仲良く楽しく安全、健全に、正々堂々、駆け引きし、笑顔で駆け抜ける
「一つ。
ハニトラは死、負けと同義。
想いは言葉で、行動で示すべし。
常に正直である
「一つ。
黒一点を大切に扱う事。具体的には、必要以上に
「一つ。
誰が選ばれても、選ばれなくても。
形は変わっても、思いを違えても。
場所も気持ちも、離れていても。
4人は、一緒に繋がり続ける
内容はさておき。
そんな
改めて5人で撮った写真も部室に飾り、これで一段落。
理想の恋人ライフを満喫すべく。
気持ちを新たに、今日から活動再開だ。
ゴールデン・ウイークも間近だし早速、ニアカノから進化する方法を探らなくては。
そう思い、身嗜みを整え、ネクタイを直し。
ドアを開け、元気に玄関を通り。
「容疑者、発見!!
確保ぉ!!」
逮捕された。
「いや、
部室にまで担ぎ込まれてから、
俺を拉致り、
その後ろの
……
ずっと思ってたけど。
「
私達に無断で、あんな
ねぇ?
「『オーパーツ』って。
「はい?」
まるで噛み合わない、それでいて下ネタで返す
「考えてみて
だって、『オーパーツ』よ?
一粒で二度美味しい、一石二鳥じゃない?」
「はぁ」
「あと、『OP』もエモいし、『ED』はエグい。
それと、南の島のハメハ◯ハ大王は、どっちの名前も」
「先輩。
ちょっと、失礼します」
食い気味に断りを入れつつ、チョップをする
すると、
「……助かったわ、
どうやら、禁断症状が出たみたいね」
「本来の『禁断』って、そういう意味じゃないですけどね」
「的を得ているわ。
それはそうと、ちょっと失礼」
「え?
あ、はい」
許しを得ると、
そのまま、ペアリングしたスマホで
口元を隠し、涙を流し、ガッツポーズをし、テーブルに置いた枕に顔を埋め奇声を発し。
「待たせたわね!
さぁ!
どうやって回復したんだ。
……長くなりそうだから、割愛しとくか。
「
私、クッキー焼いて来たの。
さ、さ。
遠慮しないで、食べて。
紅茶も
まぁ、拒否るのも怖いし、
っても、手が動かせないから、食べさせて、飲ませて
まさか、こんな形で「あ〜ん」が実現しようとは。
「で?
俺が、
「
もうネタは割れてるのよ」
「
「昨日、私達の知らない女と密会してたでしょ?
ファミレスで。
私とのデート蹴ってまで」
「違うわ、
私達、『ニアカノ同盟』のよ」
「平気です。
それはもう、私達のデート、独壇場なので」
「そういう話じゃないわ」
おい。
ミイラ取りがミイラになったぞ。
「それについては、もう謝っただろ?
先約が
「でも、その詳細については、教えてくれなかったよね?」
「あの場で安易に触れる
「じゃあ、この場では
「どういう理屈だよ。
大体、場所自体は変わらないだろ。
断ってた時だって、部室だっただろ」
埒が明かないし、拉致が終わらない。
……しゃーない。
やっぱ、説明しとくべきか。
図らずも、今は本人不在だしな。
「……中学の頃に、
色々
自主退職したから、今は違う場所で働いてるんだけどさ。
それからも定期的に、
今でも、俺や
それ以外にも、経過観察も兼ねて、定期的に会う機会を設けてるんだよ。
昨日のが、その定例会。
そんな話、
空気悪くするだけなのが、自明の理だ」
「……あ」
「……あー……」
色々と察し、押し黙る2人。
分かってくれた
「そういう
ごめん、
私、浅慮だったよ」
「
2人に、悪い
最年長として、失格だわ。
「気にしないでください。
冤罪が晴れたのなら、それで。
これで俺は、釈放ですよね?」
「ええ。
「いや。
待ってください、
言うが早いか、ロープを切ろうとしてくれる
彼女の持つ
「ねぇ。
まさかとは思うけど。
このまま、『束縛ごっこしたい』とか、言わないでしょうね?」
「それは大変魅力的ですが、違います。
そっちとは別件です。
ギロッと俺を睨み、
あ、あれ?
「そもそもの話。
「……そうかしら?
私は別に、そんな
「いいえ。
明らかに、特別扱いしてます。
先輩、ご存知ですか?
私達が『ニアカノ同盟』を結成した日。
あの日の
あれ、実はトラップ、フェイクが仕込まれてるんです。
そこら辺も見越して、
「
「ええ、間違い
あの時の、2人の意味深な顔とやり取り。
私の目と直感に、狂いは
不平等ですよね?
私、そんな
そりゃ、普段からお世話になってこそいるけどさ」
「確かに。
それが
「ね?
ですよね?」
「あの土壇場で、怪しまれずに切り抜けるとは!!
蜜月を彷彿とさせる、禁断感!!
これは、エモい……エモいぞぉ!!」
「すいません、今そういう話じゃないです。
恋愛脳な先輩を味方に付けようとした私が愚かでした。
とっとと切っちゃってください、どーぞ、どーぞ。
「それは断固、拒否するわ」
「投げ遣りと見せ掛けてサラッと仲間を裏切ろうとすんなよ、
あー。
自由に動けるって、素晴らしいー。
「ちーっす。
あー。
やっぱり、ここに
ちょっと、カイ
常日頃から甲斐甲斐しくお世話してる妹を置いてくなんて、罰当たりではなくなくなくないですか?
サキは泣いてます。おろろろろろ。
ですが、まぁ、サキは御心が深いので、ナデナデで穏便にして差し上げやがります」
「はいはい、どーぞ」
遅れてやって来た
ご機嫌斜めだったらしいが、これで恐らく戻るだろう。
「それと、
俺は、お前を置いて行ったんじゃない。
あの2人、取り分け
「チャプター、ほーほーほーう。
だったら、話は変わってクルーシオ」
「
今までも、これからも、お世話するって決めてるのに!!
そんなの、ただのご褒美だよっ!!」
「ねぇ。
この子、
全員、揃ったので、会議を始めるとしよう。
「『どうすれば、この宙ぶらりんを終えられるか』。
今日の議題は、これだ。
で、俺は考えた。
名付けて……『サブラブ作戦』だ!!」
「
「
「そこまでガツガツしてると、ちょっと引くわよ」
「そういう意見は、求めてない!」
ネガキャンしかしない3人を説得。
しようと試みるも。
「そもそも
ずーっと深窓の佳人として賛美されていたし」
「今となっては、影も形も
「お黙りなさい。
姉さん
「すみません、それだけはガチのマジで平に勘弁してください、この通り」
丁重に、土下座でお断りした。
「私も、申し訳
友達同士で拗れるのは、ちょっとねぇ。
あ、でも、妹なら、紹介
「え?
「そうでぇす。
っても、
私に似て、フレンドリーでぇ、お淑やかでぇ、優しくってぇ、明るくってぇ、家庭的でぇ。
ただ一つ、ちょっと困った所が
「ふっ」
アーニ◯みたいな顔と声で失笑する
吹き出しかけ、顔を逸らす
これは、あれか?
俺がフォローする流れ、だよな?
「ゆ、
「目。
泳いでるけど?」
「そ、そんな
それで? その、『困った所』ってのは?」
「あの子、ポテッとした人がタイプなんだよね。
あとデートが、単なる食べ歩きツアーにしかならないの。
他にも、ミステリー好きが高じる
年がら年中、ハロウィン感覚で、誰かに変装して悪戯して来たりぃ」
「一つじゃねぇじゃねぇか!!
大問題だらけじゃねぇか!!」
残留という
「じゃあ、最後に
お前の友達は」
「そんな、ラノベみたいな相手が
この、万年ボッチの『元・保健室の主』の『眠れる氷の美少女』の、サキめに?」
「いや、ほら。
今は、
「自分の教室では浮いてるからでやんす。
つまり、今のサキのファンは、カイ
にも
これ
完全なる脈無し、アウト・オブ・眼中」
「はい、次、次ぃっ!!」
脈が!!
俺の脈が、
もう、
「ちょぉっと待ったぁ!!」
クリティカル・ヒットを受け、倒れる俺。
そんな時、部室に現れたのは、着衣と呼吸が
……はい?
「いや、どちら
「
「この、女狐め!!
やはり、くノ一の一族だったか!!
あれは、貴様の影分身かっ!!
一人だけ、楽しおってからに!!
罰として、サキにも忍法を教えやがりなさいませ!!」
「
「日頃の行いが祟っただけ、
「だぁ・かぁ・らぁ!!
私が、本物の
「『本物の
だったら、証明してご覧なさい。
普段の彼女は、どんな子なのか」
「え?
そりゃあ、もう。
フレンドリーでぇ、お淑やかでぇ、優しくってぇ、明るくってぇ、家庭的でぇ」
「ふっ」
「依咲ちゃん!!
その顔、止めてっ!!」
「いや、結構、余裕だなぁ、いつもと
今、中々の異常事態なんですけどぉ!?」
またしてもアーニ◯みたいな顔で失笑する
思いっ切り釣られ、赤面する
そこに来て、俺はハッとした。
今日の
どこか、いつもと違ってた。
普段の2割増しで執着したり、露骨に
しかも、朝食直後という謎のタイミングで、唐突にお菓子を振る舞ったり。
そして、先程の
ま……まさか……!?
「ふっふっふっー。
バレてしまっちゃあ、
先程、
かと思えば、他校の制服に早着替えする。
「我こそが、
モジモジしてた
「
私が寝てる間に、雁字搦めにして、身動き取れなくするなんて!!
おまけに、自由に動ける
そんなの、我慢
そもそも、緊縛ごっこして
八つ当たり、罰として、今から
「あ、ごめん、
俺、数分前まで、もう拉致られてたわ。
って、これ謝る必要
「私以外の女に誘拐されるなんて!!
最っ低!!
これは重大な裏切り行為、深刻な契約違反だよっ!!
「
「おーっほっほっほっ!!
精進が足らんて、
一体、いつになったら、私に勝てるのかなぁ?
恋に
今回の女子力勝負も、
すげー。
キャラと口調と声と表情が、大渋滞してるー。
闇鍋みたいになってるー。
「
大体、フッ軽
「甘いぜよ、
高校生としての君の寿命は、あと2年ぽっちなのよ!!
そんなんじゃあ、逃げられて終わりじゃけぇですわぁ!!
「そもそも、戦ってすらいないじゃん!!
戦う前から、仕掛けて来たじゃん!!
私の
大体、私の
「
色々と、違うぞー?」
まだ俺は、君の物じゃないぞー。
あと、2人の心配もしろー。
「あっそ。
だったら、ご覧遊ばせ」
髪を靡かせ、テーブルに座り、足を組み、中がギリ見えない範囲でガードしスカートを捲り、俺に顎クイし。
「
私と、付き合わない?」
これまでキャラ変し捲ってた割に、普通
俺には、迷いなんて
答えなんて、決まってる。
「ガチのマジで本気で本当にリアルに冗談抜きで
俺、渾身の土下座(本日2回目)。
第1回ヒロイン作戦。
これにて、閉幕。
で、こんな
気付いたら、俺達の部活は。
「という
部員、実績の欠如により。
君達には申し訳無いし、心苦しいが。
このままでは、あと1週間で。
我が校の文芸部は。
ーー『廃部』だ」
こんなんなってた。
わー、どうしよー。
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