〈4〉テスト→デート→テンペスト
「お、お風呂、頂きました……」
「頂かれちゃいました♪」
「お風呂をね!?」
「
分かってるよぉ。
「
狙ってるだろ……」
「
それより、ほら、こーこ。
早く来て。髪、乾かさせて?
そしたら、
「……お喋り、だけか?」
「あははっ。
ボロが出て来たねぇ。
まぁ、
「あ、ああ……。
お邪魔、します……」
例の
俺は、ご両親不在の中、
彼女と一緒に本を読んだり映画を観たり、一緒に料理に行ったりと、この前の焼き直しみたいな、けれど似て非なる時間を過ごしていた。
そして、夜。
二人っきり。
年頃の男女。
お風呂上がり。
気心の知れた間柄。
ネグリジェ。
という、朝チュン疑惑が浮上する、この状況に、我ながらドギマギしていた。
が、ずっと固まっている
「もぉ。
ちーがーう。
こっち」
トントンッと、
こ、これは、
いやでも、背いて
「じゃ、じゃあ……。
失礼、します……」
そう判断し、俺は
……
「
などと
弱だったから
「ふんだ。
今、一緒に
こんな時
「す、すまん……」
「分かれば
じゃあ、乾かしてくね」
「頼む……」
出鼻を挫きこそしたものの、それ以降は特に滞り
そして、ドライヤーの電源を落とした、正にそのタイミングだった。
「……
……どうかしたか?」
「……呼んで……」
俺が心配すると、更に強く、ギュッと。
「私……。
君に名前を呼んで
最高に、
こんな
だから……もっと、呼んで?」
「……
「……はい……」
「……
「……はい」
「
「はい……」
生きている
同じ未来を見詰め、目指している
好意を持ってる異性に、こんな
「
今日は、
「うん。
……幸せだった。
やっぱりこの人は、私と似てて、通じ合えてるんだ、って」
「俺も、幸せだったよ。
でも、
どうせだったら、喜びよりドキドキの方が、勝ってて
「それは、君の今後の活躍次第だよ、彼氏候補くん」
「そっちも活躍してくれよ、彼女候補さん。
ヒロインが魅力的じゃなきゃ主人公だって本気出せないんだから」
あははっ、と笑った
俺の肩に、
「……ありがとう。
私の心を、解放してくれて。見付け出してくれて。
私に、君の恥ずかしい部分も、見せてくれて。
私を……選ぼうと、してくれて」
話しながら、
「前も、言ったけどさ。
私、実は全然、
いつも、いつも、周囲の目や、皆からの印象を、絶えず気にしてる、臆病者なの。
だから、少しでも好かれる
コミュ力とか、お料理とか。
取り繕う
でも……それでも、不安で。
好きな相手
私から離れられない
私を放してくれない
私
その
自分に自信が
自分から進んで近付く
そんな自分が
変えたくて
万人に好かれたいのと同じ
そんな、相反する渇望を宿してしまったの。
その
手中に収めようと、術中に陥れようと。
支配、洗脳しようとした。
だから私は、ヒモが
家族でも、義理でも義務でもない、便利な召使扱いしてくれる人。
それならきっと、私を見捨てたりなんてしない、
私の一部になって、私を一部にしてくれるから。
ずっと……私と一緒に、一対で
俺の胸に、手を這わせる
このまま、溶けてしまいたかった。
一人に、一つに混ざって。
「私が、君や、『ニアカノ同盟』の
どれだけ冷酷に、意地悪く振る舞っても、それでも変わらずに私の隣に、
……嫌な女だよね、私。
サークラって言われても、
「……そうかもしれない」
ポンッと
いつもの口調を崩し、少しでも優しく聴こえる
「でもさ……
生まれてこの方、四六時中、年中無休で自信満々、純粋無垢な人なんて、
だって、そんなんじゃ疲れるし、保たないだろ?
人間には、良くも悪くも、心が備わってるんだから。
不安定で、不案内で、不健全で、不可解で、不愉快で、不公平で、不透明で、不思議。
だからこそ人間は、強くなりたいって思うし、誰かに惹かれたりするんじゃないかな?
意地張ったり、
時に、そういうのを全てかなぐり捨てて。
弱い所も黒歴史も、隠しておきたい秘密も、大嫌いな自分も、
そうして
その果てに、やっと付き合って。
それからも、幾度と無く、擦れ違って、衝突して、落胆して、失望して、失恋しかけて、号泣して。
けれど、やっぱり離れ難くて。
仲直りして、打ち明け合って、打ち解けて、笑い合えって、好き合える。
人間なんて、そんなもんだよ。
そんな
だからさ」
俺は、懇願する。
「これからも俺に、君を好きで
俺も、君に嫌われない
走って、走って、時に歩いて、稀に休んで。
今度は全速力で、一直線に走るからさ。
どうか、これからも、俺を。
君の
「うん……」
恋人繋ぎをフライングして、
「まだ、答えは出せてないけど。
この関係に、気持ちに、名前は付けられないけど。
どうか、『恋』で、『両想い』であって
だから、それが判明するまで。
ううん……突き止めてからも。
私を、君の
君の
「……お願いします」
「……されました」
やっと少しだけ重なった、溶け合った、二つの、二人の心。
改めて、痛感した。
今、俺が一番求めてるのは、
「ところでさぁ、
ビクビクッ!!、と俺の体が、拒絶反応でも示す
思わず飛びのき、彼女から離れた。
な、
「は、はい……」
「
そんなにビクビクしないでよぉ。
簡単な質問に応えて
ゆ、誘導尋問の間違いでは……?
と思ったのはさておき。
そういえば笑顔って、昔は恐怖の象徴だったらしいね。
ピエロ恐怖症だっけ?
「
キス、したよねぇ。二人とぉ。
私に、無許可で。事後報告も
「え?
まぁ、確かにした……というか、されたが」
あれ?
でも、
ハッと、
目の前には、今にも赤く染まった包丁を見せびらかしそうな、物々しい覇気、邪気を放出する
「ふーん。
したんだぁ。やっぱり。」
「い、今の、鎌かけ……!?
それに、『した』んじゃなく、『された』……!」
「どっちでもってか、どうでも
それより、
「は、はいぃっ!?」
トンッと胸を小突かれ、ベッドに倒される俺。
そして、馬乗りになる
あ、あれ?
今月だけで何回目だ?
あと、今更だけど、逆じゃない?
「してよ。
私に。
キス」
「え?」
「『え?』じゃないよ。
だってさぁ。私、二人と違って一週間もお預けされたんだよぉ?
この一週間、
それ
「じ、自分で後回しにしたんじゃあ……?」
「
今、そういう話、してないよね?
ここで大事なのは、私が最後尾だったって
だからさぁ。せめてものお詫びとして、
やり方や場所は任せるからさ。昨日のデートみたいに、リードしてよ。
それ
「は、はぁ……。
……昨日も昨日で、そんなにリードしてなかったよーな……」
「
ハッキリしてよ、
ねぇ、
君は今、恋人候補としての岐路に立ってるんだよ?」
ツンと俺の胸、心臓の辺りに人差し指を当て、
「今、私達がやってるのは、デートであり、テスト。
これは、君にとってだけじゃなく。
他の二人は、合格ラインに到達したかもしれない。
でも、言っとくけど私、倍率高いよ?
そもそも、癖の強さは攻略難易度に比例、直結するからね」
「な、
「つまりはさぁ、
「ひぃっ!?」
俺の体をキャンパスに見立て、爪を立てた指を、縦横無尽に動かして行く
こそばゆい上に、物凄い誘惑力。
こ、これは……。
いつオトされても、誰も何も言えないのでは……?
「これからの君の選択、コマンド次第で、私が
逆に、君のアクション次第で、私を完落ちさせられるかもしれない。
分かる?
ともすれば、ここで
だったらさぁ……制限時間内。
私の気が変わるまでに、せめて動かないとって。
そういう思考に、ならない?
私と、付き合いたいんでしょ?
だったらさ……私をその気に、虜にさせるだけの男気を、気概をさ。
じゃないとさぁ……不平等だよ。
信じられないよ」
正論で。
それ以上に、正気だ。
今度こそ、確実に。
だったら。
俺に
「……本気、なんだな?」
「どうやら、
普段の
「俺だって、その場のノリとか若気の至りとか、そんな無責任な建前で、彼女欲しいとか言ってる
切望してるからこそ、口にしてるんだ。
それに、
「それを聞いて安心したよ。
私だって、同じ。
こんな大切な
君を選んで、託して、正解だった」
これは、つまり……。
そういう合図に、違いない。
「……最終確認だけどさ。
キスの場所って、知ってる?」
「……ああ」
「そっか。
じゃあ、話は早いね。
自由にしていいよ。
全部、君に任せるよ。
……容赦、しない」
フワフワした空気から一転。
最後だけ、殺伐とした語気で告げる
俺も気を引き締め直し、深呼吸し、起き上がり。
けれど、そこまで。
それ以上、先に動けなくなってしまった。
確かに、俺は決意した。
しかし……どう、どの辺りまで?
はたまた、負けイベントの
まだ俺達は、普通のクラスメートで。
親しき仲にも礼儀ありな
恋人同士ですらない
世間一般では子供に該当してこそいるものの。
人間の産まれる仕組みを理解し、分別も付けられる年齢で。
つまり。
アクション以前の、分厚く巨大な壁に阻まれてしまい、身動きさえ取れずにいた。
というか……
この、
未だに受け入れられずにいるのだが。
「
固まり尽くしていた、機械みたいな体と思考。
それが、まるで幾億年
「あ、い、いやっ!
これは、その……!」
時間切れか。
愛想尽かされのか。
そう思い、必死に取り繕うと試みる。
が、ご覧の通り、見るも無惨な始末だ。
嘆かわしい。
穴が
常日頃から『彼女欲しい』などと、あれ程までにほざいておきながら、
これでは、
などと、自己嫌悪に陥っていた、正にその時だった。
ギュッと。
キュッと。
しかも俗に言う、恋人繋ぎで。
「ゆ、お……り……?」
「
こんなに勇気出して、曝け出して、据え膳
まぁ……そんな君だからこそ、こんなにも愛しいんだけど」
俺の困惑を、緊張を和らげる
「大丈夫。
言ったでしょ?
ちょっと暑苦しくって、時代錯誤で、そそっかしくって。
いつだって、
でも、
私に似てて、それでいて、やっぱり優しい。
そんな君に出会って、初めて思った。
この人となら、特別な関係になれそう、なりたいな、って。
それこそ、身も心も捧げたいと、本気で、シンプルに思える
だからさ」
グイッと俺の手を引っ張り、自ら覆い被せる
その顔は、真っ赤に染まっており。声も手も、震えていて。
一杯一杯なのだと。
「お願い……。
お願い、だからぁ……。
これ以上、言わせないで……。
もぉ……焦らさないでよぉ……」
そんな、色んな意味で惹かれる顔、見せられたら……。
そんな、愛しくて仕方が無くなる、懇願されたら……。
もう……逃げられない。
男として、色々と決めなくては。
ピタッと、
そして、冷静さを取り戻し持ち返した心で、告げる。
「……すまない。
少しだけ……目を閉じて、じっとしててくれ。
俺の言葉を受け、
手を離した俺は、
そして、
順番に、ゆっくりと、キスをし。
ベッドから、降りた。
「……終わったぞ。
目を、開けてくれ」
俺が告げると、やや残念そう、けれど演技だと分かる様子で、
「あーあ。
こういう時は、王子様のキスで目を覚ますのが、セオリーなんじゃないかなぁ?」
「
「ふーん。
その割には、
まぁ……私はキス以上でも、一向に構わなかったけど。
まるで婚約指輪を自慢するかの
も、もしかして……!
俺は、とんでもないミスをしでかしてしまったのではなかろうか……!?
「じっ……自由にやれと言ったのは、君だろ!?」
「そうだけどさぁ。
まさか、ここまでとはねぇ。
ママとしては、
「またそうやって、
「もぉ。
怒らないでよぉ。
それより、ほら。早くしてよ」
苦笑いしつつ、
話が読めず、俺が疑問符を浮かべていると、待ち切れなかったのか、
「……もう
今度は、私の番だから」
「え?
あ……。
は、はい……」
「ゆ、ゆゆゆ、ゆおりさんっ!?」
「
君のアクションに最低限、合わせるから。
ギリ友達の範囲で、抑えるから。
その代わり、
あ……喘ぎ声とか、『もっと、もっとぉ』的なのだったら、特別に許可するよ」
「わ、分かっ
答えようとしたら、
これ
そのまま上裸にされ、大人しくベッドに寝させられる。
ゆ、
残り香が……!?
って、俺!
このタイミングで、『女の子だけ着衣状態の方が一周回って扇情的(byめぐむ)』とか、余計なこと、思い出すなぁ!!
いや、思いっ切り実感してるけど!
「じゃあ……行くよ?」
端的に宣言すると、
まるで、上書きをするかの
「これで、打ち消し、浄化は完了と。
次はぁ……」
別に、呪いとかでは無いんですが……。
とは口が裂けても言えない俺。
が。
「少し、我慢してねぇ。
それ以前に、キスの
というのはさておき。
続いて
も、もしかして今日、半ズボンだったのって、この
てか、罷り間違えばパンイチだった!?
恥ずかしがり屋な俺を
「そうです。
これでも私は、我慢した方なのです。
それも、特別に許すよ?
ね、ねぇ? どうなの?
そろそろサイレントもキツいんじゃないかな?」
あ、悪魔だ……。
俺が必死に堪えてるのを、楽しんでる……。
「さて、と。
じゃあ、そろそろデザートにしよっかな。
これが終わったら、楽にしていいよ?」
脛、足の甲、足の裏に、短めのキスをした。
「お疲れ様。
釈放です」
「はーっ……」
部屋の主から承諾が降り、俺はそのまま、
あー、マジしんどかったぁ〜……。
「よく耐えたねぇ。
偉い、偉い」
解放されたにも
こうしてだけいれば、
でも、まぁ……
こっちのが気楽だなんて思ってる辺り。
やっぱり俺も、彼女
「よっと。
ちょっと、お手を拝借」
などと
意味が違うのだが、ツッコんだら負けだと思う。
「それにしても、勿体無い
「それこそ、勿体無いだろ。
もっと、付き合うまでのプロセス、プロットを大切に、緻密に練らないと」
「まぁ、君はそういうタイプだよね。
「言っとくけど。
それを台無しにされた件に関しては、依然として根に持ってるからな?
遺恨は残ってるからな?」
「はいはい、失礼しました。
でも、私だって、君に対して、悪い意味で思う所が
けど、まぁ……盲目的じゃないからこそ、長続きする、先を望める関係だって
きっとそれが、君の理想なんだよね」
「それは……」
言われてみれば、
それでいて趣向が似通っていても、いきなり一方的に押し付けられるのは、
騙されたり振り回されっ放しなのも、同じく違う。
かと言って、昨日の俺と
普通の恋人っぽく振る舞うのも、正しくない。
恋とは、実に面倒で、理不尽で、まるで呪いの
恋とは、実に面白くて、面映くて、まるで
知らなかった。
一口に恋と言っても、実際の恋愛が、こんなにも奥が深いなんて。
でも、考えてみれば、当たり前か。
現実世界の恋愛が興味、趣深いからこそ、フィクションの恋愛も反映、繁栄されているのだ。
まぁ……反対に、リアルで恋愛とは無縁の人生を送ったからこそ。
憧れを全部乗せした結果、心惹かれるラブコメが誕生するという、複雑なパターンも
「どうしたの?
「いや……俺はまだ、恵まれてる方だな、って。
ちょっと複雑だけどな」
「
変な
相手に求めるポイントは奇妙な上に手強い、難題美女達。
けど、ひょっとしたら恋人になってくれるかもしれない相手が、周りに三人も
俺にはまだ、チャンスが
普通かどうかはさておき、創作めいた最高の恋愛を、心ゆくまで楽しむチャンスが。
「
これからも、
「
こちらこそ、
早く私の、私だけの、ヒモノンになってね?」
「
「しーまーすー」
「さーれーまーせーん」
「彼氏にだけど?」
「今
いや、でも、やっぱ過程……あ〜っ!!」
「あははっ。
やっぱり、
「
そんな調子で、ゆったり、騒がしく、やっぱり肩透かしにイチャイチャしつつ。
そのまま俺達は、やや経過してから、どちらからともなく、二人して寝落ちし、夜を明かし。
「ちょっ……!?
何これぇぇぇぇぇぇ!?」
翌朝、洗面台の前で、大量のキスマークを付けられていた事実に慌てふためき。
「あははっ♪
やっぱり、
そんな俺を見て案の
※
翌日。
『ニアカノ同盟』の5人は、朝から部室に会していた。
その目的は。
「パーペキでござりゃんす」
「お?
見せて、見せて」
「敵襲確認。
敵機撃墜ですます」
「ちょ、待っ……!?
鞄はあかんて!」
「うーん。
まぁまぁかなぁ。
「
うふふ。にしても、面白い提案ね。
今になって、こういうのを準備しようだなんて。
一体、どういう風の吹き回しかしら?」
「べ、別に、そんな……」
「もぉ。
それ、遠回しでも何でもなく、肯定してるよぉ。
ちゃんとしてよ。
それでも、私のヒモノンなの?」
「なってないから!
「あなた達……
もしかして、もう……?」
「し、してないから、何もっ!
駄弁ってたら寝落ちしただけだから!」
「よーっし、
じゃあ、最後は、俺が!」
「最後は、四人で書こっ♪
「カイリョー」
「『了解』、だってさ。
俺も了解。
「
うふふ。やっと、部活らしく、同盟らしくなって来たわね」
「いや、俺は!?
俺は、どうなの!?
俺は、仲間じゃないの!?」
「あ、すみません。
この同盟、男子禁制なので」
「
こういう時だけ、普通な喋り方でマジレス、止めて!?
てか、だったら
「
「
じゃあ、俺もバビって来る!」
「……歴史上、類を見ないんじゃないかしら……?
ここまで寂しい、みっともない、嫉妬塗れでバビる男子高校生……」
「あー、はいはい。
「おーーーっし。
行ぃこうぜぇ」
「「「「せー、のっ!!」」」」
「あー!!
「はい、じゃあ次、写真撮るよー♪
ほら、
「い、
俺も!?
撮影係じゃなく!?
っしゃぁぁぁぁぁっ!!」
「おまっ……!
センターは、
「ここで呼び方変わってる
「確かに。
それ
「うーん……戻しちゃおっかなぁ……」
「ねぇ、
「
じっとしてろ!
花形が映らないだろ!?」
「ここで、そういう表現、発言をサラッとするのが、カイ
「意味が少々、異なっている気がするけれど……まぁ、気分が
「花だなんて、そんな……えへへ……。
照れちゃうな……。
事実だけど……」
「ねぇ、ねぇ。
「扱って
「……
君が言うと、重みが違い
「それは失礼。
それはそうと、えいやー」
「い、いさささ
なぜ、腕を!?」
「あー、サキちゃん、
じゃあ、私はぁ」
「ゆ、ゆおっ、
な、
思いっ切り当たってますが!? 頭と肩に!」
「左腕、か。
まぁ……
「め、
「なぁ。
俺、やっぱ帰りたいわ。
「まぁまぁ、そう言わずに。
それじゃあ、撮るよー♪」
こうして俺達は、気持ちを新たに『ニアカノ同盟』を発足し直し。
俺達の気持ちを証明する
未来なんて、分からない。
この中から誰を選ぶかも、誰と恋をするかも、誰が抜けるかも、誰が泣くかも喜ぶかも。
何もかもが不鮮明だ。
けど……俺達は、突き進む。これからも全力でデートし、テストする。
そして、遠い未来に。
これを高らかに持ち上げたり、話題として持ち出して、いつだって盛り上がれる笑い
この一年は、今までの人生で格別、
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