〈3〉似た者同士の爆風(ばくろ)大会
ともすれば不謹慎かもしれない来校理由に萎縮しながら、校門を潜り。
擦れ違った先生達に、抵抗を持ちつつも適当に言い分けして躱し、廊下を渡り。
けれど、相手に気取られぬ
そうして俺は、目的地へ。
彼女の待つ舞台へと辿り着いた。
我ながら
俺は足を踏み入れた。
壁に持たれ掛かり、開けた窓から流れる風で、カーテンと共に髪を靡かせ、こちらに一瞥をくれると、再び青空を見上げ。
「
絶好の告白日和だと思わなぁい?」
アイコンタクトで話を振られるも、俺は
普段の、それまでの、のんびりした雰囲気は消して、厳かに。
「リアルで既読スルーなんて、あんまりじゃないかな?
それでさ……
確かに、言ったよね? 私。
『これから付き合いたい子の元へ行って』って。
『私じゃなくて、二人のどちらかを選んで』って。
そう、確かに伝えたよね?
どういう
まさかとは思うけど、私にしたっていうんじゃないよね?
別に、そんな気を利かせてくれなくっても……」
最後だけ、やや
対する俺は、依然として、閉口したまま。
ここに来て
「ほ、ほらっ。
私って、ラスボスだしっ。
沢山、漫画とかアニメとかゲームとかでラブコメに触れてるエイくんだって、知ってるでしょ?
この手のキャラってさ。
大抵、負けヒロインっていうか当て馬っていうか友人止まりっていうか、そんな感じしない?
確かに王道だし、需要とインパクトは
やっぱりヤンデレって、どうも勝ち目が薄いっていうかさっ「間違ってない」」
俺はやっと、言葉を紡ぐ。
「
その認識も。
この場所に来た目的も。
君に対する、俺の気持ちも。
俺は今、今日……君に告白する。
その
ここに、来たんだから」
俺は、
もう逃げない。
そして何より、逃がさない。結
そう、訴える
そんな俺の覚悟の幾ばくかが伝わったのか、
「
私って、ほら。
恋愛とは無縁そうではないにせよ、一般的なカップルとは正反対な。
隷属関係みたいなのを望んでる
昨日だって……それなりに楽しんどきながら、最後の最後でエイくんを一方的に突き放した、絶対零度人間だよ?
人選ミスだよ。やり直す……」
自虐を
「そうだよ!
一旦、リセットしよ!?
今からでも遅くないよ!
ユウ先輩かキヌちゃん、どっちかの所に行こっ!
ねっ!?
二人も、エイくんの
少し拗ねたりするかもだけど、きっと
ほらっ!
私に諭されて
ねっ!? そうしよっ!?
そうすべきだよ!
それしか
私も一緒に、謝るからさっ!」
俺は無言で
それを拒絶、否定の意味だと察し、困惑と悲しみの混ざった表情の
……どうやら、切り札を出すしか
あわよくば、墓まで持って行きたかったんだがな。
俺は複雑な心境のまま、自分の机の上に、持って来た鞄を起き、ジッパーを開け。
状況が読めずにいる
「
中を見てくれ。
中に入ってる物を、取ってくれ」
相変わらず当惑しながらも、
俺の机の前、俺の横に立ち、鞄の中を見る。
「……え……」
そして、絶句しながら、中に手を入れ、中身を取る。
手紙だ。
淡いピンクの、手紙。
そして……黒と、水色の手紙。
合計3枚。
それぞれの髪色、イメージカラーを想起させる手紙。
明らかに三人に因んでいる、ラブ・レター。
「……どういう、
「どうもこうも
見ての通り、俺は君達に、告白しようとしていた。
特に親しくしてくれてる異性、君達3人と触れ合う、時間を共有する。
その中で一番、好きになった相手に、ここぞって時に、送ろうと思っていた。
俺の日課は、ラブ・レターを書く
いつ何時、何が起きようとも、どこに誰といようとも
その時の発見や気分に合わせ毎日毎晩、
先週、俺の部屋に来た時を覚えてるか?
あの時、俺が慌てていたのは、これが原因だ。
こんなの、
未来の俺から見ても黒歴史に他ならないからな」
「あ、あはは……確かに、そうかもね。
これは、ちょっと引くなぁ。
優柔不断で強欲っていうか、用意周到で重
「最後だけは、君が言うか?
その真偽については、別の機会に審議するとしてだ」
強引にならない程度に、
俺は
「……
改めて、言わせて
「……はい」
俺の、こんな一面を知っても、まだ俺を嫌わないでくれる。
それでいて、きちんと自分の気持ちも伝えてくれる。
俺に合わせて、心の準備を済ませ、
やっぱり、俺の思った通り。
だからこそ。
俺は、今日という時を
「俺は、君に告白する。
自分の願望、理想を明らかにした三人と時間を共にし、取り分け楽しかった、気になった、普通だった。
けれど、その
でも、その前に。
いや……その
やや焦らした口調で
次の瞬間。
俺は
「ちょっ……!?」
思わぬ展開に面食らいつつ、俺の
そんな
ヤブレター達は、風に乗って、程なくして何処かへ運ばれて行った。
「もう必要
書くのも止めた」
「
今日のエイくん、今までと違う……ううん。
今までよりも、謎
「……かもな。
ところで、
ここに来た時の
「そろそろ、本題に入ろうか。
俺は確かに、『君に告白する』と言った。
でも、『今日告白する』とは、断じて言ってない。
徹底的にではないにせよ、今の俺達に
「何、言ってるの……。
私に告白したいから、今の私をフる……?
全然、分からないよ、エイくん」
「だろうな。
当然の反応だよ。
だから、これより説明する。
俺の持論、仮説をな」
壁から離れ、入口の前まで移動し、
「そもそも、一連の騒動についてだが。
冷静に考え直してみれば、引っ掛かる点が
「1つ。
君達が全員、俺を好いてくれているという、
「2つ。
事情を知らないと
「3つ。
他の2人の、取って付けた
露骨にズレている、偏った、意味深でしかないパワー・バランス」
「そして
タイムリーかつ即座に
最年長であり、普段は冷静な方である
その
この一見、バラバラらしき謎ポイントに、俺は一つの共通点を見出した。
それが、他ならぬ君だ。
目線だけ運んだ先で捉えた
思った通りビンゴか。
そう受け取った俺は、続ける。
「さて。
ここから先は
少しでも異なる点が
甘んじて訂正、撤回しよう」
逆に言えば、「こちとら確固とした自信を持った上で、色々と恥ずかしいのを忍んで言ってるんだから、正解なら、悪いが清聴しててくれ」って
「
君は俺を憎からず思ってくれていた。
異性としてか人間としてか、クラスメートとしてかタイプとしてかは定かじゃないが、少なからず好意を持ってくれていた。
しかし、後ろに下がり常に他者を立てたがる、君の悪い
だからこそ
『てんで本命が靡いてくれないんで一旦お試しで付き合ってみて、嬉しいし楽しいし幸せだったけど、行く所までは行けなくって結局、別れちゃって、紆余曲折を経て何やかんやで本命と結ばれたから祝福する側に回って、結婚式でウエディングケーキ作ったり、何年後かに子供同士がカップルになったりする』っていう、そういう固定観念がな」
「そこまで具体的に言ってないし、確実に色んな作品が混ざってるし、
「言ってない、
論破。
ただ、『気持ち悪い』とまでは言わなかったのは評価に値する」
「
卑怯者……。
あと、思ってはいるからね……口にはしてないだけで……」
「意見するなら、もう少し考えて物を言ってくれ。
次に行くぞ」
「もう勝手にしてくださぁい……」
少し投げやりになりつつ、
聞いてはくれるらしいので、俺は再開する。
「前述の通り。
君は、『告白したいけど、自信と勝算が無いから
そこで思い付いたのだ。
だったら、自分に強い
それぞれにデートを執り行い、その上で自分を選んでくれるようなら、その時は彼を信じようと。
どうだ?」
「あー……今は、発言しても
分かり
あと、ドヤ顔止めてよ。
つまり、何?
エイくんは、
「いや。
じゃなきゃ、不自然だろ?
言っとくが俺は、
友人への反抗心と見栄のみで声を女装させてるだけの、ラブコメに対しては激重長文を繰り出す、しがない一介の高校生だぞ?
「ラブコメに激重な所は、つい今しがた知ったんだけどね。
でも、まぁ……大体は合ってる。
確かに、
で? それが
プッツン、と。
俺の中で何かがキレた。
今まで絶えず、耐えて耐えて耐え抜いていた本音が。
「『それが
言ってくれんじゃあねぇか、いけしゃあしゃあと、小娘の分際でぇ……。
この後に及んで
舐め腐ってんなぁ、おぉい……」
滅茶苦茶な速さと、イントネーション。
がらっぱちな口調に、ドスの効いた低い声。
決して人前では見せまいとしていた。
心の声にも出さないレベルで固く封印していた。
嫌いで嫌いで、変えたくて仕方なかった。
キャラ変してない、深奥の俺が、目を覚ます。
「え、エイく、ん……?」
が、それより先に、逃げようとする彼女を俺が捕まえ、追い詰め、壁ドンの態勢を取り、
「お前はなぁ……俺のテストを!
一年にも長きに渡る、俺のテスト勉強を!
受験勉強も就職試験も目じゃないレベルで、人生において最重要課題だった、俺の一世一代のテスト……告白をっ!
台無しにしやがった、最低女なんだよぉっ!!」
「……はい?」
この、最初の意趣返しみたいな流れ?
てか、告白シーンで、これ?
そもそも、ここに来てキャラ開放って、
みたいに思ってそうだな。
とか考えるだろうな。
普段の、主にツッコミ専門の俺なら。
だが、悲しいかな、今は違う!
時折、やり取りの中に出ていた、欲望と本能に忠実な!
思春期男子らしい、
「『はい?』じゃねぇよ!!
俺はこの一年、ずーっと、お前等の誰かと付き合いたいって切に願ってた!
そして、お前! 一番、気に入ってた、気になってた、第一志望だった
フレンドリーなクラスメートで、
あーもう、抱き締めてぇ飛び付きてぇ甘えてぇ耳掻き
一緒にプールとか海とか、
つーか、何?
『割を食いがちな引っ込み思案な優しい系ヒロインは勝ち目が無い』?
一般的な意見なんて知らねぇよ!!
俺ん中じゃあ、東城◯も小野寺◯咲も桜井◯果も天見◯衣も神咲◯海も桜◯墨も高崎◯咲も氷芽川◯糸乃も二代目鳶一◯紙も園神◯袮も小木曽◯菜も高嶺◯花も好◯静も汐◯栞もレ◯も、登場した時点で
「分かった、行くから、温水プールに!
一旦、落ち着こ!? ねっ!?
私が悪かったから!
ごめんね、大事な告白の邪魔しちゃって!」
「言ったな!?
言質録ったかんな!?
確約したかんな!?
スマホで隠し撮りしたかんな!?」
「隠せてないっ!」
「
そして、違ぇ!!
告白の邪魔をした
思春期男子校生の純情な感情を空回りさせ踏みにじった
「懐かしいよ!? ネタが!
神曲だけど!」
「分かってんじゃねぇか!
はい、カラオケ行くの決定、拒否権ゼロ、無遅刻無欠席でどぞ〜!!
そうじゃねぇ!!
お前は
こちとら一年間も、お前等の勉強してた!
外面、内面、趣味、得意分野、タイプ、口癖、フェチズム、デリケートな部分を除外してその他諸々!」
「プライバシーは!?
あと、良かった!
そこまで把握されてたら、
「親しき中にも
お前等を構成するあらゆる要素を、俺は絶えず、訴えられない範囲で研究してた!!
来たるべき聖戦、
にも、
挙げ句の果てに、ファボってたお前がレベチ、カテチでドギツい属性、持って来やがって!!
全員、恋人的な意味でキュンキュンさせるの、難し
略して『キュンムズ』だ!!
お
俺はこの一年、テコ入れされた
あー不憫ビンビン!
俺、可哀想!!
同情するよ、過去の俺!
一人だけならいざ知らず、よもや全員たぁ、さしもの俺も想定外だったなぁ!!
もし仮にここがフィクションの世界で、俺が主人公だってんなら!
こんな傍迷惑で
全部、お前等の
責任取って全員、俺の面倒、見やがれってんだ!
こちとら、ハーレムも余裕で圏内、守備範囲内だってんだよっ!!」
思いの丈を一頻り
と同時に、
俺は
「ご、ごめんっ!!
無かった
頼む!!
この通りだ!!
俺の
「無理だよっ!?
そんな勢いじゃなかった!
爆風だったもん、完全に!
てか、『最低女』って!
幾ら
否定はしないし
エイくん、めっ!
また爆風にならない
「ははーっ!!」
もしかして、鞭とかじゃないよな……?
とビクビクしていると、
顔を上げると、
「ゆ、
これは、一体……?」
不貞腐れた顔色で腕組みをしつつ、
分かったのは、ただ一つ。
俺にはドM属性までは備わっていないという、どうでも
「って、言おうとしたんだけどね?
まぁ、
で?
「あー、いやー……。
ありのままの俺、かな……。
っても、自分ですらドン引く一面だったから、固く閉ざしてた、ってーか……」
「ふーん。
ああいう、『上からな自分が
へー、そー。
エイくん、私達の
ずっと黙って、騙して、信じてくれてなかったんだ、嘲笑ってたんだぁ。
へー」
「べ、別に信じてなかった
「質問するなら、挙手してよ。
一般常識さえ身に付いてないの?
まだ気付いてないの? 大事な
私達は、似た者同士。
口にするのも憚られる本性を厳重管理してる、いい人気取りの、欲望全開コンビだって
これまでの言動や気持ちはさておき、私の趣味には、何一つ嘘偽りが
干物染みたヒモ……『ヒモノン』にしたいって
「え?」
「昨日は、ごめん。
私、どうかしてた。
そして、ありがとう。
本心を、曝け出してくれて。
あんな恥ずかしい
追追試になっちゃったけど……きちんと、合格してくれて。
お
そして。
「
……好きだぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!」
俺だけじゃなく校舎中……いや。
この街どころか世界中、地球中、ともすれば宇宙中にさえ響かせようとする。
普段の姿からは想像も及ぼないボリュームと元気で、彼女は叫んだ。
校庭で練習していた運動部達。
外で演奏していた吹奏楽部。
そして他の教室や廊下、職員室に
そういったギャラリーが、何事かと、こっちを早くも窺っていた。
「エイくん……『未希永くん』!!
私は、君の
最初は少し怖かったけど、偉そうに妄想一色な持論を
そして、あんなに暴走しながらも、ストレートに下ネタを言わない、まだ理性を、上品さを、常識を
心がっ!! 体中が、叫んでるっ!!
過去も、今も、未来もっ!!
私の
君の全部が……大っ大っ大っ大っ大っ大っ大っ大っ!
大、大大大大大大、い大大大大だ大大大っ大大……!
大大大大っ大大大大大大、大、大大!!
大
大大大大大大ぃっ、大大大大大大大大大大大大大大大大!
大っっっ大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大っっっ……!!
好きぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃっ!!」
五臓六腑を吐き出さんばかりの、文字通り、
両手を俺に掲げ、まるで抱き合う
呆気に取られている、俺に向けて。
「前言撤回する!
君の言う通りだよ!
私達、まだ出会ったばかり、始まったばかりだよ!
偽りの私
お互いきちんと分かり合えてないまま、セーブもロードもコンティニューも
どうせ歳取ったら、ここまで騒げない、はっちゃけられないんだからっ!
だからさっ!
ひょっとしたら、また違った一面、ポテンシャルが掘り出せるかもしれない!
ドン引きったり、ギャップ萌えで惚れ直したりするかもしれない!
未来は、謎と可能性、個性とフェチズム、夢と希望に満ち溢れてる!
早く来て、見付けてって、笑顔で手招きしてる!
私達は、似た者同士!
片方がプラス、ボケ、キャラブレしてる時は、もう片方はマイナス、ツッコミ、ブレーキ!
どっちも
相性ピッタリじゃん!
どっちも、阿吽の呼吸な私達の次に、息が合ってる!
そうだよ!
オリミキもミキオリも、メグミキもミキメグも、サキミキもミキサキもっ!
全部違ってる特別なご馳走、デザート、最上級の特上メインディッシュだよっ!
だからさ! 行こうよ、全力で!
果ての果てまで、全速力で!!
騒いで朗らかに、自由に一目散に、時々ダラダラしながら、駆け抜けようよ!
きっと、その先に、ニアカノ同盟の
理想の相手が見付かるよっ!」
「
どう考えたって、普通じゃない。
だってさ。
仮にも青春ラブコメ謳って、看板背負ってんだぜ?
こんな、開き直って、恥も外聞も無く、一般向けの自分をかなぐり捨てて
、周囲が卒倒、そっ閉じしそうな、意味不明な怪文書を、高らかに周知してる
謎めいてて、演技派で、気まぐれで、計算高くて、稀に意地悪で、ドSな振りして
他のキャラを一通り制覇してでしか辿り着けない隠しルート、
今までで断トツで、可愛く輝く、
「……ああっ!!」
止まない
「とことん付き合ってやる!
折衷案でも、ましてや妥協案でも代替案なんかでもない!
ニアカノ同盟の理想を余さず逃さず溶かさず透かさず全部乗せした、最高の、文句無しの!
満情一致のハッピーエンドをなぁ!
覚悟しろよ、
「もうしてる!
君を、
すっかり打ち解け合った、俺と
これで、偽物の
こっからが本番。
本当の、恋人テストだ。
「ところでさぁ、
「ん?」
え? 何?
まだ続くの?
ずぶの素人が書いた二番煎じにしては、まぁまぁ
「これ、なーんだ?」
「え? スマホだろ?
『geate《ゲート》』でライブ配信中で、コメントとスパチャと風船で
別に、
「……え゛」
次の瞬間。
『
師匠のドン引きる本性を見抜けなかった、未熟な自分をお許しくださいっスゥゥゥゥゥッ!!
後生、後生っスからぁぁぁぁぁ!!
せめて、結婚式には呼んで欲しいっスゥゥゥゥゥッ!!
あわよくば、自分と先輩の結婚式にぃぃぃぃぃ!!』
「逆、逆ぅぅぅぅぅっ!?
ちゃっかりしてるぅぅぅぅ!?
あと、後生の無駄遣い止めろ、インペルダウ◯のLEVEL6囚人かぁぁぁぁぁ!?」
『貴様
よくも……よくも、我の目を搔い潜って、イチャイチャとぉぁぉぉぉ!!
許さんっ! 断っじて、許すまじ!
けしからんっ、もっとやれっ!
それと、アラタ! ミキたんになって、我にも壁ドンしろっ!
『
俺だと一目で分からないレベルでコスるのと、
『
素敵な奥さんが見つかって良かったわねー。
早速、
素敵な肴、ありがとねー』
『お父さんだー。
いやー、
今後とも
『こちらこそ。
『あらあら、
若いって、
ママ、パパと出会った頃を思い出しちゃったわー。
久し振りにパパと、夜の大運動会しちゃおうかしらー』
「
あと、呑ますなよ!? 二人には呑ますなよっ!?
未成年だかんなっ!?
チョコレートボンボンも
この手のジャンルだと、ほぼ確実に酔っ払うからなっ!?」
「
「祝福でも罵詈雑言でもない大して面白味も問題も無い極めて平凡なコメント引っさげて
「
殊更目立ってるネーミング・センスには一切触れてない、
それはともかく、もう滅茶苦茶だよっ!
何もかもカオスだよっ!
「それは全面的に賛成だけど。
それはそうとして、
「わー」
はい、忘れた頃に、新呼称と共にやって来ました、最早懐かしい
教鞭が様になっているー。
「『取って付けた
やっとヒモらしくなって来たじゃない」
「
てか、ドSっぽいしドMっぽいとか、何それ!?
俺は平凡だ……少なくとも今は、常識人だ、自制しろぉ……!」
「
よって素敵よ。
あぁ……
ゾクゾクしちゃう……。
さぁ! もっと……もっと、ダメンズなさいっ!!
『一生食わせてくれ、
「心得たっ!!
じゃなくてっ!
だが断る!!」
こうして俺は、猛ダッシュで逃げる。
伸縮自在のプラスチック教鞭と、両家と
あとは、駆け付けて来た学生や先生達ギャラリーの群れ。
どうやら、ムズキュンでキュンムズな日々は。
俺達の恋人テストは、まだまだ続くらしい。
余談だが。
『ライブ初挑戦だった
『居合わせたリスナー達が、どれだけ語彙力フル活用しても、スクショ投稿しても、
という背景により、余談だが、
具体的には、トレンド一位になり、『geate《ゲート》』どころか全ラジオアプリ史上最高のスパチャ、リスナー、コメント数を記録し。
それでいて、話題にこそなったものの、知る人ぞ知る幻の配信となったのであった。
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